もともと胡桃はひどく面倒くさがりな性分で、甲斐甲斐しく我が子の世話を焼くタイプではない。それなのに、あの赤ん坊はどういうわけか、そんな母親にやたらとべったり懐いていた。産後一ヶ月半も過ぎる頃には、赤ん坊はもちろん、樹までもがまるでからくり人形のように胡桃の背後をついて回り、片時も離れようとしなくなっていた。胡桃と明里が顔を合わせれば、自然と話は同じ終着点へと向かっていく。世の男という生き物は、どうしてこうも面倒くさいのか――と。行き着いた結論は、二人揃って筋金入りの「愛が重い」男を引き当ててしまった、という事実だった。そんな重すぎる愛情を向けてくる男など、そうそう転がっているはずもないのに。よりによって、二人揃ってである。「完全ミルクにしておいて本当に助かったわ」胡桃はからりと言ってのけた。「じゃないと、明里の結婚式に出られなかったもの」「もしかして……」明里はふと気になって口を開いた。「胡桃が結婚しないのって、私の結婚式でブライズメイドをやるため、なんてことないよね?」胡桃はくすりと艶やかに笑った。「まさか。これだけの仲だもの。もし私が先に結婚してたとしても、ちゃんとブライズメイドはやってあげるわよ」明里が信じきれないという顔を向けると、胡桃はさらに続けた。「変な想像はしないでよ。そこまで自惚れないで。あなたのために私の一生を捧げる気なんてないんだから」「じゃあ、本当に結婚しないつもりなの?」明里は真剣な眼差しで尋ねた。「やっぱり、私はそれが心配で」「もう、一番の親友なのに私の選択を応援してくれないなんて。悲しいわ」胡桃は明里の膝に頭を預けたまま、わざとらしく嘆いてみせた。だが、その声の奥には隠しきれない笑みがこぼれていた。「反対してるわけじゃないけど……まあ、いいか」「アキってば毎回、樹の長所を必死に絞り出そうとするじゃない。涙ぐましいわね」「そんなことないわよ。彼はずっと優秀だもの」明里は素直な思いを口にした。「ただ……いつか樹の気持ちがほかの女性に向いてしまったとき、胡桃がちゃんと入籍していないのが心配で」「考えすぎよ」胡桃はふんと鼻を鳴らした。「本当にそんな日が来たなら、盛大に送り出してあげるわよ」もちろん明里にはわかっていた。それが胡桃なりの強がりであるということを。樹がそんな薄情な真似をす
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