その様子を見ていた雅が、勝ち誇ったような笑みを唇に刷いて歩み寄った。「まあ、紗音ちゃんのドレスがこんなことに!私、予備のドレスを持ってきておりますの。紗音ちゃんとは背格好も似ておりますし、よろしければ、私のでよろしければお使いになりませんこと?」ここで恩を売っておけば、この高遠家のご令嬢と繋がりができるかもしれない。しかし紗音は、その魂胆を見透かしたように首を横に振った。「いらない。わたし、自分のドレスを何着かここに置いてあるから」そう言うと、彼女は汚れたスカートの裾をつまみ、水琴の手を引いた。「水琴お姉ちゃん、一緒に来て」水琴お姉ちゃんを一人残して、こんな奴らにいじめさせるわけにはいかない。兄様との約束もあるのだ。まさにその時だった。一人の使用人が近づいてきて、水琴に深く頭を下げた。「静沢様。灼也様がお呼びでございます」それを聞いた紗音は、ぱっと水琴の手を放した。「水琴お姉ちゃん、先に兄様のところへ行ってて。わたし、着替えたらすぐ行くから!誰にもいじめられちゃだめだよ!」彼女は雅を鋭く睨みつけると、一人でスカートの裾を持ち上げ、階上へと駆けていった。水琴はふっと笑み、雅たちにはもう目もくれず、使用人に向き直った。「ええ、案内してちょうだい」その背中を、雅は歯が砕けんばかりに食いしばって見送った。「なんなのよ、あの女……!高遠灼也があんなに庇ってばっかりで!都合が悪くなった途端、すぐ呼び出すなんて!」「……呼んだのは、高遠灼也じゃないわ」紗夜が凍るような声で呟くと、雅は訝しげに彼女を見た。「え?じゃあ……お義姉様が?」紗夜が静かに頷くと、雅の顔に途端に意地の悪い笑みが浮かんだ。「っふ、ふふ……さすがお義姉様!これであの女に恥をかかせることができたら、お母様もきっと、もっとお義姉様のこと気に入るわよ!」「……見てなさい」紗夜の声は、夜の闇よりも冷たく響いた。水琴は使用人の案内に従い、喧騒に満ちたホールを横切って裏のガーデンへと足を踏み入れた。そこには誰の姿もなく、静まり返っている。「……灼也様はどちらに?」「静沢様、灼也様からは『こちらへお連れするように』とのみ。申し訳ございませんが、しばしこちらでお待ちいただけますでしょうか」そう言うと、使用人は一礼し、ホールへと続くガラスの扉を内側から閉めてしまった。カチ
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