新プロジェクトの発表により、アロー・フロンティアにはたちまち問い合わせが殺到し、再び活気が戻ってきた。紬は、彼らが多くの提携交渉を成立させていることを知っていた。だが、そのこと自体は気にしていなかった。アロー・フロンティアの実力は本物であり、成長するのは当然の結果だからだ。ただ、あの奪われた絵のことだけは、どうしてもしばらく頭から離れなかった。翌日、咲の個展の詳細が明らかになった。主催側が日時と場所を華々しく告知していた。かなり大々的に、一週間後と設定されている。こんなにも早く動くとは思わなかった。紬は、その住所を見た。一目でわかった。そこは、香凛の名義となっている美術館だ。寧音はやはりあの特権階級のコネクションを利用して、最高の会場を借りることに成功していたのだ。同じ頃。祖母の蘭子から着信があった。普段は温厚な彼女が声を荒げることはないが、その声は微かに震えていた。「……紬。粟野咲という、あの女が……帰ってきたのね?」紬の目の色がスッと冷たく変わった。「おばあちゃん……」蘭子の声は安定しないまま、一言一言、絞り出すように続けた。「今日、私のもとに招待状が届いたの。差出人は彼女の名で……特別に招きたいからと伝言もあって、私に個展を見に来るよう、寄越してきたのよ」そして、こんな残酷な言葉まで添えられていたという。「私の絵を見ると、お嬢様のことを、思い出されるかもしれません。会いに行くきっかけになれば」、と。電話の向こうで、蘭子は怒りと無念で体が震えているようだった。咲は、かつて栞里の一番の親友だった女だ。若き日の栞里は、資金を提供し、人脈を広げてやり、家にまで泊まらせて生活を支えていたのだ。なのに、あの女は親友としての笑顔の裏に、醜い本性を、その笑顔の裏に隠し持っていた。大学の卒業を前にして卑劣な剽窃事件を仕立て上げ、恩人である栞里に泥をかぶせ、卒業資格を取り消されそうになる瀬戸際まで追い詰めたのだ。それが今になって、厚顔無恥にも戻ってきた?紬の瞳から、一切の光が消え失せた。今度は、直接蘭子のもとへ挑発の招待状を送りつけてきたのだ。人の心を弄ぶような、その腹の底の黒さが許せなかった。ただ、取り乱すわけにはいかない。声を落ち着かせて宥めた。「おばあちゃん。
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