その夜、紬は気持ちが昂ったままで、結局なかなか眠れず、昭希と同じ部屋で一晩中過ごした。慎も文句を言わずに付き合って、ずっと隣にいた。翌朝。慎はすでに帰国便の完璧な手配を終えていた。新生児である昭希を連れての長距離移動だから、今回もプライベートジェットをチャーターし、医療の専門スタッフも同行させた。彼らには帰国後にまた戻ってもらう手はずだ。長時間の飛行における様々なリスクも、すべて想定し、きちんと対策を講じてあった。ニューヨークの気温は国内ほど低くなく、一行は気候の安定した午後の便を選んだ。帰国まで、約十三時間のフライトだ。現地に着くのは、午後三時になる。もっとも昭希の存在は、両家にとってあまりにも重大な意味を持っていた。両家の年長者たちは、まだ何も知らない。慎と紬はあらかじめ話し合い、蘭子と良平を長谷川の旧宅に招いて、一緒に知らせることにした。両家の親戚が同時に昭希と対面できるのが、一番いい形だ。紬もその慎の段取りに同意した。ただ蘭子については、紬から事前に電話を入れておく必要があった。いきなり長谷川家に来いと言っても、蘭子の気性からして、素直に応じないかもしれないからだ。そのため、離陸前に紬は蘭子へ電話をかけた。なぜ自分が長谷川家に行くよう言われるのか、蘭子には理由がさっぱり分からなかった。しかし、紬があえて何かを頼んでくるときは必ず重要な理由があると知っていたから、了承した。紬と慎が国内の空港に降り立つと、外にはすでに瑞季が車を回して待っていた。ゆったりとした乗り心地のリムジンタイプのワゴンを、特別に用意していたのだ。昭希は、慎がしっかりと抱いていた。長時間を抱き続けるのは、病み上がりの紬には負担が大きい。長谷川家の歴史ある旧宅の門をくぐるとき、紬は言葉にできない深い感慨を覚えた。この場所で、かつてどれほどのことがあっただろう。それが今、こうして三世代で……慎は昭希を安定した姿勢で抱いたまま、もう一方の手で紬の手を強く握った。そして少しからかうように言った。「自分の家に帰ってきて、何をそんなに緊張しているのか、紬」その一言で、紬の全身の強張りが少し解けた。特に「自分の家」という、彼なりの甘い言い方に、紬はその大きな手のひらをそっとつまみ返した。慎はただ静かに笑い、紬の
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