บททั้งหมดของ あなたの「愛してる」なんてもういらない: บทที่ 191 - บทที่ 200

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191話

病室に入って、扉を閉める。 窓から差し込む太陽の光に照らされているお母様は、本当にただただ普通に眠っているように見える。 肌色も良く、頬も赤く染まっていて。 今にも目を開けて「茉莉花」と私の名前を呼んでくれそうなお母様だけど。 お母様が私の名前を呼べなくなって、もう随分と長い月日が経っている。 私はゆっくりお母様に歩いて行くと、そっと手を取った。 「お母様、先日お祖父様に苓さんとお付き合いしている事も、報告したんです」 私がお母様に話しかける間、苓さんは優しい瞳で私を真っ直ぐ見つめてくれている。 「お父様も、お祖父様にもご報告出来たし……あとは、お母様がお目覚めになって……そうして下されば……」 苓さんと私は、そう遠くない未来。 結婚するだろう。 その時、お母様の意識も戻ってくれていれば──。 そう願わずには、いられない。 「茉莉花さん……」 苓さんがお母様の手を握る私の手に、そっと自分の手を重ねてくれる。 温かくて、私たちの手をすっぽりと包んでしまう程の大きな苓さんの手のひら。 私は苓さんを見上げて、そっと彼に寄りかかった。 苓さんは躊躇いなく私の肩に手を回すと、私の体を支えてくれた。 「いつか、直接お母様に苓さんの事を紹介したいです……」 「きっと、すぐですよ。茉莉花さんのお母様は、きっとすぐに目を覚ましてくれます」 「ええ、そうですよね……。きっとそうです、すぐに目を覚ましてくれますよね」 私と苓さんは、暫く無言でお母様を見つめ続けた。 お母様のお見舞い時間いっぱいまで部屋で過ごした私と苓さん。 そろそろ面会時間終了の時刻に近づいている事に気付いた私は、苓さんに顔を向けた。 「苓さん、すみません……。少しだけ待っていてもらってもいいですか?」 「──?分かりました、お母様の病室で待っていたら大丈夫ですか?」 「ええ、お願いします。すぐに戻ってきますから」 私がそう言いつつ、バッグからハンカチを取り出したのを見て、苓さんも察してくれたのだろう。 「分かりました」と頷いてくれた。 私は苓さんを残して病室を出ると、急いでお手洗いに向かった。 ◇ 茉莉花さんが部屋を出て行って、数秒。 俺のスマホに着信が入った。 「──っ!」 その番号を見て、俺は素早く電話に出る。 〈対象が病院に現れました〉
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192話

だが、用心するに越したことはない。 俺は電話を繋げたまま速水の動向を報告させつつ、茉莉花さんを迎えに行こうと、茉莉花さんの荷物を持ってお母様の病室を出ようとした。 だが、扉に手をかけた所で振り返り、俺は茉莉花さんのお母様に頭を下げてから病室を出る。 〈別棟に行くには、面会表が必要ですし、恐らくそちらには向かう事はないと思います〉 「そうか、分かった。だが、このままだと渡り廊下から来る俺たちを見られてしまう可能性がある。面会表を戻すのを頼んでいいか?」 〈かしこまりました。それでは、対象がそちらに行かないよう見張りを続けます〉 「ああ、よろしく頼む」 俺が電話を切った時──。 ちょうど茉莉花さんが廊下の角から姿を見せた。 ◇ お手洗いから出て病室に戻ろうと歩いていると、ちょうど病室から苓さんが出て来たのだろう。 苓さんは私の荷物を持ってくれていた。 「──苓さん、すみませんお待たせしました」 待たせてしまっただろうか。 そう考え、私が苓さんに駆け寄ると、苓さんは申し訳なさそうな顔をして、口を開いた。 「茉莉花さん、すみません」 「え?」 「お母様への挨拶は俺がさせていただきました。……面会表は、別の者に頼んで戻してもらうことにしました……大回りになりますが、駐車場に向かって戻りましょうか」 「──っ、分かりました」 苓さんの説明に、私の心臓が大きく脈打つ。 多くは語らないけど、苓さんがこんな風に言うって事は、理由は1つ。 以前、お母様の病室を探していた何者か──。 その相手が、もしかしたら今、この病院に来ているのかもしれない。 私が頷いたのを見て、苓さんは申し訳なさそうな顔をすると、私の面会表を受け取った。 「あちらに、小鳥遊の家の人間がいますから、これを彼らに預けますね」 「分かりました。よろしくお願いします、苓さん」 「ええ。大丈夫ですよ、茉莉花さん」 私を安心させるように微笑んでくれる苓さんに、ほっとする。 苓さんに手を引かれつつ、私達は行きとは違う道順で病院を後にした。
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193話

車に乗り込んだ私達は、苓さんの運転のもと、病院を離れた。 そして、苓さんが都内にある大きな公園の駐車場に車を停めると、シートベルトを外して息を吐き出した。 「──苓さん」 私の声に、苓さんが反応してこちらに顔を向ける。 ずっと、疑問だった。 何だか、苓さんは私が知らない情報を知っている気がしていた。 けど、その予感は、今日確信に変わった。 お母様に関する事、でしょう。 今までは苓さんが話してくれるまでは、と聞くのを躊躇っていたけど──。 小鳥遊の人間を、苓さんが個人的に手配していた。 しかも、恐らく今日の様子から、それは今日だけじゃなくって。 恐らく、毎日だ──。 そして、まるで「誰か」を避けるように。 見つからないように、あの病院を後にした。 見つからないように配慮してくれたのは、きっとお母様の病室だろう。 そうまでして、お母様の病室を隠すのは──。 「お母様は、もしかして……ただの交通事故じゃなかったんですか?」 私の言葉を聞いた瞬間、苓さんの目が見開かれる。 だけど、苓さんはその驚きを一瞬で消し去り、いつもの穏やかな顔に戻る。 「どうしてそんな事を聞いて来るんですか、茉莉花さん?」 「……そう、考えるのが、自然です」 うちの会社の。 戦略チームの志木チーム長の話を聞いてから。 苓さんは、彼の同僚の事故を調べてみるって言ってた。知り合いに、警察関係者が居るからって。 だけど、それ以降。 さらり、と少しだけその話はしたけれど。 不自然なほど、以降はその件について苓さんは口にしなくなった。 まるで、私がその事故の事を考えないようにするために──。 「茉莉花さん……まだ、まだ確信が持てていないんです」 苓さんは、ハンドルに額を預け、低く呟く。 そしてちらり、と私に視線を向けると言葉を続けた。 「だから、これ以上の事は言えないんです。……言える事は、茉莉花さんも周囲には気をつけて欲しいって事だけ……」 「──っ」 ゆっくりと苓さんの腕が私の頬に伸び、優しく髪の毛を耳にかけてくれる。 そして頬を撫でてから、苓さんの手のひらが離れた──。 ◇ 「──本部長、藤堂本部長」 「……っ!?ご、ごめんなさい、何かしら矢田主任」 私は、はっと意識を切り替えて目の前にいる矢田主任の顔を見る。 いけない──
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194話

お祖父様が主催している、チャリティー登山。 それは、藤堂家が昔から大事にしている事前活動の1つだ。 参加者は、藤堂グループ社員から始まり、系列会社、取引先、関係者など、多岐にわたる。 チャリティーと言う名の通り、その登山で使用された金額が、そのまま寄付されるのだ。 参加者が登山グッズを購入した費用も、領収書を添付して経理に申請すれば金額が帰って来るし、その費用は寄付される。 藤堂のこのチャリティー登山には、多くのスポンサーが手を貸してくれていて、登山中に利用する飲み物などは、そのスポンサーのメーカーが事前に会社に届けてくれるし、とても手厚い。 2年に1度開催されていて、このチャリティー登山での寄付金額は、毎回とても大きな額になっているとお父様から聞いた事がある。 困っている人達に、寄付が行き届いてくれればそれはとても嬉しい事だ。 「ええ、参加します。矢田さんも?」 私の返答に、矢田主任も笑顔で頷いた。 「はい。私も参加します。2年に1度、会社のお金で富士山登山に挑戦出来るなんて!こんな機会は中々ないですからね!──っ、と、すみませ……」 矢田主任は、はっとして自分の口を手で覆う。 会社のお金で、と言う発言を気にしているのだろう。 私が藤堂の家の人間だから。 「ふふっ、私も会社の──いえ、お祖父様のポケットマネーで富士山に挑戦出来るの、楽しみなんです」 私が矢田さんの言葉に乗っかると、矢田さんはほっと安心したように笑って「当日は頑張りましょうね!」と残して本部長室を退出した。 私は矢田さんを見送ったあと、息をついて椅子の背もたれに深く背を預ける。 そっか。 もうそんな時期なのね。 「そう言えば……以前、御影さんを誘った時は断られちゃったっけ」 彼は仕事が忙しい、と理由をつけてこのチャリティー登山に参加してくれた事は無い。 それに、今は御影さんの会社となんの関係も無いし、会う事は無いだろう。 「苓さんは……参加してくれるかな」 今は、苓さんの会社と事業提携を結んでいるし、苓さんが出張など入っていなければ、参加してくれるだろうか。 チャリティー登山は、ロッジも借りて、本格的な登山になる。 今まではお父様の近くで一緒に登っていたけれど、お父様の傍にはいつも会社の役員、重役の方たちが多くいて、会社にも属していなかった私はど
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195話

スマホで、苓さんの名前を呼び出してかける。 呼出音が鳴ったと思ったら、すぐにスピーカー越しに苓さんの声が聞こえた。 〈もしもし、茉莉花さん?どうしたんですか?〉 スピーカーから、嬉しそうな苓さんの弾んだ声が聞こえる。 私も嬉しくなってしまって、弾んだ声で苓さんに答えた。 「苓さん、こんにちは」 〈こんにちは、茉莉花さん〉 「その、今お忙しいですか?大丈夫ですか?」 〈大丈夫ですよ〉 優しい苓さんの声に、私は自然と頬が緩んでしまって。 私は目的のチャリティー登山の事を苓さんに話した。 「苓さん、うちの会社で開催するチャリティー登山なんですが……」 〈──ああ!俺の所にも連絡が来ましたよ。茉莉花さんは参加するんですよね?〉 「あ、はい!私はもちろん!」 〈そうかな、と思って。俺も参加する事を茉莉花さんのお父様に連絡していますよ〉 「えっ!そうだったんですね?」 〈ええ。以前、仕事の件でご連絡させていただく機会があって。その時に流れで登山の話になって〉 「もうご存知だったんですね」 〈ええ。近々茉莉花さんに話そうと思っていたんです。その、登山用の用品を一緒に揃えに行きませんか?〉 「──っ!も、もちろんです、ぜひ!」 まさか、苓さんからお買い物に誘われるなんて。 私は前のめりになって返事をしてしまう。 私の勢いがスマホの向こうにいる苓さんにも伝わったのだろう。 くすくす、と笑う低い声が聞こえる。 〈ふっ、では茉莉花さん……次の休日に買い物に行きましょう?〉 「ぜ、ぜひお願いします」 はしゃいでしまったのが恥ずかしくて。 私は自分の頬を手のひらで抑えながら、今度は落ち着いた声音で答える。 〈では、また連絡しますね〉 「はい……連絡待ってますね、苓さん」 通話を終えて、私は恥ずかしさに両手で顔を覆った。 休日。 あっという間に苓さんとの買い物の日がやって来た。 私は苓さんとのデートだし、と気合いを入れて支度をする。 昨夜、寝る間際まで服装に迷ったけど、落ち着いた色合いのシフォンワンピースに着替える。 歩く度にふわり、と舞うスカートがさらりと肌をくすぐり、何だか私の気持ちも落ち着かなくなってそわそわとしてしまう。 「いけない、もうすぐ苓さんが迎えに来てくれる時間だわ」 時計を確認して、慌ててバッグを掴
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196話

私が正門を出ると、そこには既に苓さんの車があった。 車から降りて、ドアに寄りかかっていた苓さんが私の姿を見つけて嬉しそうに笑みを浮かべる。 「茉莉花さん。おはようございます」 「苓さんおはようございます。迎えに来てくれてありがとうございます」 「いいえ、気にしないでください」 苓さんに手を引かれ、助手席のドアを開けてもらい、乗り込む。 苓さんも運転席に回り乗り込むと、シートベルトをしめていた私を優しい目で見つめられた。 「──?どうしたんですか、苓さん」 「いえ。……今日の茉莉花さんも素敵だなって。そのワンピースもとても似合っています、可愛い」 さらり、と苓さんから褒めてもらって、私は照れ笑いを浮かべつつお礼を告げる。 「あ、ありがとうございます。嬉しいです」 そして、ちらりと苓さんを見る。 苓さんはシンプルなワイシャツに、少しだけカジュアルなパンツを合わせていて。 シンプルだけど、苓さんのスタイルの良さをとても際立たせている。 それに、普段はきっちりとセットされている髪の毛も、今日は少しだけ遊ばせていて。 ──はっきり言って、とっても格好良い。 「れ、苓さんもとても格好良いです」 「あ、ありがとうございます」 私たちは2人して顔を赤く染めると、咳払いをした苓さんが「じゃ、じゃあ車を動かしますね」と言って、車を発進させた。 やって来たのは、都内にある登山用品の専門店。 店内には様々な種類の登山ウェアがあって。 私はいくつか持っているけど、この機会に新調してしまおうと考える。 だけど、苓さんは登山にあまり経験が無いらしく、一から用品を揃えるみたいで。 私は苓さんと手を繋いだまま、男性用のウェアがある売り場に向かった。 「富士山なので、しっかりとした防寒具があった方がいいです。本当は冬場は遭難のリスクも上がるし、一般のお客さんさんは登る事は出来ないんですが……」 「なるほど、今回のようなチャリティー登山は特別なイベントだから?」 「ええ、そうです。大勢の登山経験者が私たちをサポートしてくれますし、専門家も着いてくれています。もしかしたら積雪で登頂はできないかもしれませんが──富士山から見る景色はとても綺麗なんですよ」 「それは楽しみです。ただ、初めてなので本当に慎重に行かないと、ですね」 「ええ、無理は禁物です
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197話

──どうして、こんな所で会うのか。 だけど、声をかけられた以上、無視をする訳にはいかない。 私は、苓さんと手を繋いだまま背後を振り返った。 その先には、やはり予想していた通り、涼子と腕を組んだ御影さんの姿があった。 「奇遇ですね、御影専務」 「あ、ああ──。茉莉花も、登山用品の買い物に?」 茉莉花も、と言う言葉に少し引っかかったけれど、私は愛想笑いを浮かべ、御影さんに答えた。 「ええ、そうです。御影専務達もそうなのですね」 「ああ。ちょうど入用になってな……」 「な、直寛?藤堂さん達のお邪魔をしてしまうのも悪いわ、ね?私たちはあっちの商品を見ない?」 涼子が気まずそうに顔を伏せつつ、御影さんの服の裾を引っ張って声をかける。 確かに、涼子の言う通りだ。 挨拶が終わった以上、この場で話し続ける理由は無い。 私も繋いだ苓さんの手を少しだけ引いて、最後に挨拶をしてその場を去ろうとした。 「では、私たちはまだ買い物途中ですので──」 「茉莉花は確か、藤堂会長の主催するチャリティー登山に何度か参加していて、登山経験者だろう?」 「──っ、そう、ですが……」 まさか、話を続けられるとは思わなかった。 話が続いている以上、立ち去る訳にもいかない。 私が嫌がっているのが御影さんにも間違いなく伝わっているはずなのに、御影さんはそんなのお構い無しに言葉を続けた。 「経験者に意見を貰いたい。どんなウェアを購入すればいいと思う?一緒に回らないか?」 「──は?」 御影さんの言葉に、私を含めて苓さんも、そして涼子も驚いたように唖然とした。 どうして、そんな提案をするのか──。 御影さんの意図が分からない。 私が戸惑っていると、苓さんが御影さんに言葉を返した。 「すみません、御影専務。見ての通り、今は茉莉花さんとのデート中なんです。出来れば、邪魔をされたくないんですよ……。御影専務も速水さんとデート中でしょう?気持ちは分かると思いますが」 申し訳なさそうに苓さんは言うけど、その声音は驚くほど冷たく、低い。 ちらりと苓さんから視線を向けられた涼子が、びくりと肩を震わせるほどだから、苓さんの表情はとても怖かったのかもしれない。 だけど、御影さんはそんな苓さんの言葉にも臆せず、飄々と答えた。 「ええ、デートと言えばデートではありますが……
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198話

苓さんの言葉を受けて、御影さんの眉間にぐっと皺が寄る。 まるで、不快感を顕にするようなその表情。 不快なのはこちらなのに、どうして御影さんがそんな顔をするのか。 それに、御影さんは涼子が好きなはずなのに、今はちっとも涼子を気にした素振りを見せない。 涼子は悔しそうに唇を噛み締めていたけど、私に見られていると気付き、はっとして御影さんの背に怯えるように隠れた。 「──……」 何だか、むかむかとしてくる。 涼子のこの態度は昔からだけど、苓さんに言われて、気付いた。 この涼子の態度が全部「演技」だった、って。 そう気付いてから、涼子の行動が確かに態とらしく見えて。 怯える様子も、とても態とらしい。 涼子のこんな演技に長年騙されていたんだ、と私は馬鹿馬鹿しく思えてしまって。 無意識に御影さんにちらりと視線を向ける。 すると、御影さんは何の感情も乗っていない瞳で、涼子を見下ろしていた。 「──ぇ」 私が小さく声を漏らした音に反応したのだろう。 御影さんの目が、ぱっとこちらに向く。 その瞳は、涼子に向けられていた何の感情も浮かんでいなかった目と違い、何だか様々な感情が乗っているように見えた。 「茉莉花も、迷惑だと思うのか……?」 どこか弱々しく声を発する御影さん。 今まで、御影さんは私にこんな風に話しかけてきた事なんて無かった。 いつも冷たくて、まるでさっきの涼子に向けていたような冷たい目を、私は向けられていたのに──。 私が戸惑っていると、ふと視界が遮られる。 「茉莉花さんをそんな目で見ないでもらっていいですか?」 遮ったのは、苓さんの広くて頼りがいのある背中。 私は、御影さんの視線から遮られた事に、ほっと安心した。 苓さんの手をぎゅっと握りつつ、御影さんに向かってきっぱりと言い返した。 「ええ、迷惑です御影専務。私たちはまだ買い物途中なので、邪魔をしないでください」 「──そう、か」 どこか悲しそうな色を乗せた御影さんの声。 だけど、私は苓さんの手を引っ張り、売り場を移動しようと歩き出した。 「では、私たちはここで失礼しますね、御影専務。良い買い物が出来るよう、応援しております」 それだけを言い、私と苓さんは御影さんと涼子から離れるために足早にその場を後にした。 ◇ 急いで男性用売り場から離れた私と苓さ
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199話

「あまり御影専務の事は気にしないで、茉莉花さんのウェアを見ましょうか?」 「そ、そうですね苓さん」 確かに、苓さんの言う通りだ。 御影さんや涼子に気を取られて、せっかくの苓さんとのデートを邪魔されてしまったら辛い。 私はあまり御影さん達の事は気にせず、女性用売り場にあるウェアを苓さんと見て回る事にした。 「これなんてどうですか、茉莉花さん」 沢山あるウェアの中から、苓さんがいくつか手に取り、私に見せてくれる。 苓さんが選んでくれたのは、機能性も抜群で、色も私が好きな落ち着いた色合いのウェア。 私はぱっと笑みを浮かべると、苓さんが持っていたウェアを手に取った。 「いいですね! 男性用にも確か似たような物があったと思います……その……」 「?」 私は、ちらりと苓さんを見やる。 恥ずかしい……、恥ずかしいけど、ちょっと興味は、ある……。 私は意を決して、苓さんに提案した。 「そのっ、苓さんが良ければ、似たようなデザインを……一緒に着れればなぁと……思って……」 最後の方は、ごにょごにょと小さな呟きになってしまう。 ここまで口にして、私は急激に恥ずかしくなってしまい、まるで言い訳をするように口を動かした。 「あ、あの……!今って、恋人同士や、夫婦がリンクコーデしたりするんですって……!お、同じ色を服に取り入れたり、服に合わせる小物に、取り入れたり……っ、だ、だからそのっ」 「──ふふっ、もちろんです茉莉花さん。似たようなデザインにしますか?それとも、お互い同じ色を取り入れる?」 私があわあわと説明する中、私のしたい事を正しく汲み取ってくれた苓さんがあっさりと頷いてくれた。 男性は、あまりこういった事が好きじゃないと思っていた。 ──かつての、御影さんがそうだったから。 だけど、苓さんは少しも嫌な態度を見せず、むしろどんなのがいいか、と商品を見繕い始めている。 「苓さん、本当にいいんですか……?さりげない取り入れ方でも、やっぱり分かっちゃうと思うんです……」 「全然大丈夫ですよ。むしろ、リンクコーデはした事がないので、楽しみです」 苓さんは本当に嬉しそうに笑ってくれていて。 私はたまらず、苓さんの手に自分の手を絡めた。 「あ、ありがとうございます苓さん。好きな人と、合わせるの……憧れだったんです」 「──〜っ、いつで
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200話

「その色味じゃなくて、こっちの方がいいんじゃないか?」 「──御影、専務」 何で。どうしてまたここにいるの。 私と苓さんが顔を顰めたにも関わらず、御影さんは気にもとめず、沢山ある女性用ウェアの中から1つを選び、私に当てた。 「やっぱりな。茉莉花の肌は白いから、鮮やかな色が映える」 「鮮やかな色合いはあまり好きじゃありません。それに、涼子はどうしたんですか」 私が体を離し、苓さんの隣に寄り添うと、御影さんは鼻で笑ったあと「さあな」と答えた。 「用事があると言って、どこかに行った。そのうち戻ってくるんじゃないか」 「なら、ベンチか何かで待っていては如何ですか?」 苓さんは、薄っすらと青筋を浮かべつつ、御影さんに告げる。 言葉は穏やかだけど、苓さんの表情も、声も、冷たく恐ろしい。 だけど、苓さんがこんな態度になってしまうのも頷ける。 御影さんは、こんなに執拗い人だっただろうか。 ここまで、相手の事を考えず、自分の事しか考えないような傲慢な人だったのか──。 私たちが嫌がっているのはしっかりと伝わっているはずなのに。 御影さんはそんな事を気にせずになんて事ないように話し出した。 「買い物に来たのに、時間が勿体ないだろう。……だが、本当に昔の俺は自分の見る目が無かった、と痛感している」 「え……」 御影さんは、いくつかのウェアを手に取ると、私に振り向いた。 真っ直ぐ向けられる視線が、熱を帯びているように感じた。 「愚か過ぎて、本当に大切な物が何かを見誤っていた。今は、その過ちに気付き、目が覚めた。執念深い蛇のような女より、美しい天女のような女を取り戻さないとな、と思っている」 そう告げた御影さんの目が、しっかりと私を見つめていて。 ぞわり、とした寒気が背筋に這う。 すぐに苓さんが私を隠すように御影さんの視線を遮り、口を開いた。 「御影専務は、本当に愚かですね。……今更、茉莉花さんの素晴らしさに気付いたって遅い」 「遅いとは限らないだろう、小鳥遊部長?俺は俺に相応しい女を取り戻そうと思っている」 あっさりと、なんて事ないように告げる御影さんに、私はいい加減怒りが我慢出来なくなり、彼を鋭く睨み付けた。 「いい加減にしてください、御影さん。本当に自分勝手で、傲慢な人……!今更そんな事を言われても、私はもうあなたになんの興味も
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