All Chapters of あなたの「愛してる」なんてもういらない: Chapter 181

181 Chapters

181話

御影さんと話を終えた私と苓さんは、一旦会場を出る。 出る前にちら、と御影さんと涼子の方へ視線を向けると、涼子はちゃんと御影さんの助けを得たのだろう。 御影さんの隣で、彼の腕に縋り付き震えていたのが見えた。 「──速水さんも、いつまであれを続けるのか……。もう、御影専務には通用しなくなっているんじゃあ……」 「えっ。そうなんですか、苓さん?」 苓さんもちょうど、私と同じ方向を見ていたのだろう。 でも──。 御影さんに通用しなくなっているって……。 苓さんが前に話していた「演技」の事? でも、その事くらいしかなくて。 私がそう思いつつ苓さんを見上げると。 私の視線を受けた苓さんが、肯定するように頷いた。 「少し前から御影専務の彼女に対する態度が……その、盲目的じゃなくなった、と言うか……。正しいものを判断するようになった、と言うか」 「そうなんですか?苓さんは良くしっかりと人を見ていますね」 私は、苓さんに言われないと涼子の演技にも気が付かなかったし、御影さんが涼子の演技に惑わされ?なく?なった事にも気づかなかった。 「駄目ですね、私。役職に就かせてもらっているんだから、ちゃんと色々と周りを見ないと……」 「いえっ!その、彼女の場合は特殊ですから。……長年、時間をかけて信じ込まされていたようなものです。何か、きっかけが無いと自分では中々気づけないですよ」 「ふふ、ありがとうございます苓さん。私ももっと周囲に気を配るようにしますね」 気合いを入れるように私が拳を握って見せると、苓さんが笑みを返してくれる。 「あの手の女性は任せてください。違和感があるので、すぐに気がつけますから」 「頼もしいですね、じゃあこれからも苓さんを頼りにしていますね」 「ええ、任せてください」 そんな事を話しながら歩いていた私たちは、目的のフロア周辺にようやく辿り着いた。 私たちがやってきた事にすぐに気が付いてくれた海堂社長が駆け寄って来てくれた。 「藤堂さん!」 「海堂社長、先程は失礼いたしました」 私は、差し出された海堂社長の手を握る。 そして、海堂社長は私の隣に居る苓さんにも手を差し出してくれて、苓さんも握り返した。 気づけば、私たちの周りには、輪を作るようにパーティーに参加している人たちが集まっていた。
last updateLast Updated : 2026-01-11
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