บททั้งหมดของ あなたの「愛してる」なんてもういらない: บทที่ 171 - บทที่ 180

183

171話

「れっ、苓さん……!?」 どきり、と心臓が一際大きく跳ねる。 苓さんにファスナーを上げてもらおうか、と一瞬頭に過ぎったけれど、その考えをすぐに消し去る。 今のドレスは、背中がかなり大きく開いているドレス。 しかも、今はファスナーも閉めれていないから、前面も……腕を離したらドレスが下に落ちちゃう。 胸元も顕になってしまうし、下半身だって──。 そこまで考えた私は、苓さんに向かって答えた。 「だ、大丈夫です苓さんっ。その……店員さんを呼んでもらってもいいですか?」 「店員ですか?何か困ってるなら、俺が手伝いますよ……?」 「その、……ファスナー、なので……」 「……俺が、上げます」 私がそう答えるなり、苓さんが即座に答え、試着室の扉を開けて中に入ってきてしまった。 「れ、苓さん!?」 ぎょっとして私が叫ぶと、苓さんは自分の口元に人差し指をあてる。 「茉莉花さん、大声を出したらお店の人がびっくりしてしまいます」 ほら、背中見せて下さい。そう言いながら、苓さんは私の肩に手を乗せ、くるりと私の体を回転させた。 「それに、さっき店員の中に男性もいました……。絶対にないとは思いますが、もし男性店員が手伝いに来たら、もう一度呼び直さなきゃいけないし、時間がかかってしまうでしょう?なら、俺が手伝った方がいいです」 「た、確かに……そうですけど……」 「ああ、これか……。ファスナーが固いんですね……」 ぽつり、と呟いた苓さんがファスナーを掴んだ。 その拍子に、苓さんの冷たい指先が、剥き出しの私の背中に触れてしまった。 「──んっ」 「…………」 冷たくて、ついついびくりと震え、声が漏れてしまった。 私が慌てて両手で口元を抑えると、苓さんの手がぴたりと止まってしまう。 どうしたのだろうか、と思い、私が苓さんの名前を呼ぼうとした時。 背後から詰めていた息を吐き出すような音が聞こえた。 「──ぁっ!」 「ああ、もう……」 苓さんが吐き出した息が、私のうなじを刺激してしまい、私は再び声を漏らし、体をびくつかせてしまった。 苓さんが、低い声で呻いたと思ったら。 「せっかく、我慢してたんですよ……俺」 「え、あ……っ、苓さ……っ」 ファスナーを掴んでいた苓さんの手が離れ、離れたと思った瞬間、剥き出しの私の背中に苓さんの指先が這う
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-06
อ่านเพิ่มเติม

172話

その刺激に、私の体がびくん、と跳ねる。 え、と思った瞬間、恐らくキスマークを付けた場所を、苓さんの舌がゆっくりとなぞった。 「──ひゃっ」 「あー……茉莉花さんの甘い声……頭の中が蕩けそうです……」 「やっ、駄目ですっ、苓さん……っ!」 何度も何度も、私の剥き出しの背中に苓さんの舌が這う感触がして、ぞくぞくするのが止まらない。 びくびくと小刻みに震えていると、苓さんがすっと腰を伸ばし、くるりと私を振り向かせた。 きっと、私の顔は真っ赤になっているだろう。 視界も滲んでいて、苓さんの顔がぼやけている。 「苓さ──」 「すみません、茉莉花さん。我慢できないです」 「──ぇ」 どこか切羽詰まったような苓さんの声が聞こえた瞬間。 私の唇が、苓さんの唇に塞がれた。 「──んぅ!?」 いつものような、可愛らしいキスじゃなくって。 今日は、いつもより激しく、苦しい。 何度も角度を変えて唇が合わさって。まるで食べられてしまうんじゃないか、そう思えてしまうほど、苓さんのキスに着いて行くので精一杯。 「ぁ……っ!?」 私が苓さんとのキスにいっぱいいっぱいになっていると、無防備だった私の背中を、苓さんの手のひらが這う。 欲を引き出すような触れ方のそれに、私はつい口を開いてしまう。 すると、それを待っていた、とばかりに苓さんの舌がするりと私の咥内に潜り込んだ──。 嘘、だって、お祖父様に報告するまで、苓さんは恋人同士のキスはしないって言ってたのに──。 激しくなるキスに、私の足がガクガクと震えてきてしまう。 立っているのが辛くなって、私の足から力が抜けてしまった瞬間、私の足の間に苓さんの足が差し込まれてしまって──。 座り込む事も、苓さんの激しいキスから逃げ出す事も出来なくなってしまった私は、それから数分間。 苓さんに翻弄され続けてしまった──。 「お買上げ、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」 お店の店員が一斉に頭を下げ、私たちを見送ってくれた。 私は笑顔で店員に会釈をして、そのまま足を進める。 「まっ、茉莉花さん……!すみません……!」 私は、後ろから追いかけてくる苓さんの言葉には反応せず、そのまま真っ直ぐ駐車場に向かう。 せっかく気に入ったドレスがあったけど、あのドレスはもう着れない。 背中に
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-07
อ่านเพิ่มเติม

173話

翌日。 土曜日の夜に、そのパーティーは開催された。 私は苓さんに迎えにきてもらい、苓さんの運転する車で会場入りした。 会場は、都内にある高級ホテルのフロアをまるまるワンフロア貸し切ってのパーティーだ。 「茉莉花さん、手を」 「ありがとうございます、苓さん」 苓さんの手を借りて車を降りる。 すぐにホテルの人間が苓さんの車の傍に来て、頭を下げた。 「頼む」 「かしこまりました」 苓さんは車のキーを渡し、私は苓さんの腕に自分の腕を添えた。 「行きましょうか、茉莉花さん」 「ええ」 こくり、と頷いて苓さんと一緒にホテルに入った。 フロアの前で招待状を渡し、会場に足を踏み入れる。 すると、そこには既に沢山の人が溢れていた。 ちらちら、と苓さんに熱い視線を向ける女性──。 じっとりとした嫌な視線を向けてくる男性──。 色々な人達の視線を集めているようで、どうも居心地が悪い。 会社に復帰したばかりの私は、まだ多くの人に顔を覚えてもらっていない。 お父様と昔から交流がある方とは顔馴染みがあるけど、その方々はまだ私がやって来た事に気付いていないようだった。 「茉莉花さん、大分広い会場なのでお知り合いの方と顔を合わせるのも難しそうですね」 「ええ、そうみたいです。この辺りを移動しましょうか、苓さん」 「賛成です」 どうやら、今いる場所には年齢層の若い人達が集まっているようだった。 若い男女がお酒を飲み、談笑している。 そして、若さゆえに不躾な視線を私や苓さんに向けている。 じろじろと見られて、いい気分はしない。 それに、その視線に含まれた意図が明らさまで。 「ちょっぴり不愉快ですね。年齢層の高めな方々がいる方へ向かいましょうか」 「その方がいいですね、俺もそちらの方面の方が知り合いが居そうです」 2人でこそりと話をし、向かう先を決める。 さて、場所を移動しようか。 そう思い、動き出した所で私たちに声をかけてきた男女のグループが居た。 「こんばんは、見ない顔だけど……事業を起こしたばかり?」 「社長さんかしら?そちらの女性は、社長さんのパートナー?」 「随分美人なパートナーを連れてるな。少し話をしようよ」 馴れ馴れしい態度で、私と苓さんの目の前に立ち塞がるようにやって来た男女4人組。 しかも、その視線は明らさ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-07
อ่านเพิ่มเติม

174話

それに気付いた苓さんが、容赦なく女性の手を振り払った。 「許可もなく触ろうとしないでくれ。不愉快だ」 「──なっ!」 羞恥と怒りで顔を真っ赤に染めた女性が、悔しそうに私を睨み付ける。 その女性の友人なのだろうか。 4人の内の1人の男性が、苓さんに詰め寄った。 「ちょっと顔が良いからって調子に乗らない方がいいぞ?お前がどこの会社の社長だか知らねぇが、俺は今話題のIT企業の経営者だ。舐めた口聞いてると──」 「茉莉花さん、場所を移動しましょう」 「ええ、そうね苓さん」 男性が話しているにも関わらず、苓さんは彼を無視するようにふいっと顔を逸らし、私ににこやかな笑顔を向ける。 ここまで綺麗に無視されるとは思わなかったのだろう。 彼らは一瞬呆気に取られたようにぽかんと口を開けていたが、すぐに羞恥に顔を真っ赤に染め上げた。 ──話題のIT企業の経営者だか何だか知らないけれど、初対面の人に対してこんな口調で話す人がトップなんて……先が見えるわね、と私は胸中で溜息を吐く。 それに、話題と言っているけど、彼の顔を私は見た事も無い。 という事は、本当に最近企業したばかりか……それか、それ程の会社ではない。の、どちらかだ。 けど、私と苓さんは彼らに構っている時間は無い。 お父様のご友人方や、主催者に挨拶とお詫びのお品物を渡さないと。 そう考えていた私の頭からは、既に彼らの事なんて消えていた。 だから、私をエスコートしていた苓さんの腕が取られて、歩みが止まってしまった事に、びっくりする。 「待てよ!まだ話は終わってねぇぞ!すかした面しやがって!」 「……執拗いな」 苓さんの声に、苛立ちが混じる。 ああ、もう。 私たちの事なんて放っておいてくれればいいのに──。 そう思いつつ、苓さんに振り向こうとした私の腕を、もう1人の男性が突然掴んだ。 「ねえねえ、お姉さん!顔だけのあいつなんかやめて、俺と遊ぼうぜ。満足させる自信はあるよ?」 「──っ、最低ね」 ぞぞぞっと背筋に悪寒が走る。 このようなパーティー会場で。 大企業の社長だって参加しているこの場で、程度の低いナンパをするような人達がいるなんて。 お父様には参加するパーティーをちゃんと良く考えて、と言わなくちゃ。 私がそんな事を考えていると、不躾に私の手を掴んだ男性の舐めるような
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-08
อ่านเพิ่มเติม

175話

「た、大変お待たせして、申し訳ございません!それに、そちらは小鳥遊建設の小鳥遊部長!ようこそ起こしくださいました」 ぺこぺこと頭を下げる男性の登場に、私たちに声をかけた4人の男女は、呆気に取られている。 私は彼らを気にする事もなく、男性に向き直って微笑んだ。 「いえ、私たちも入る場所を間違えてしまったようで。声を掛けて下さって助かりました」 「とんでもこざいません。こちらの落ち度です。本日、藤堂社長からご事情は伺っております。海堂があちらでお待ちですので、御足労頂いてもよろしいでしょうか?」 「もちろんですわ」 私とその男性の会話に、さっきまで威勢の良かった男女4人は、途端に顔色を真っ青にした。 「待って、待ってよ……藤堂って言った?あの女、藤堂グループの……?」 「待て、あの男も、小鳥遊建設の部長とかって……」 「俺たちなんて足元にも及ばねえ大企業の人間……大財閥の人間じゃねえか」 「ふざけんなよ、誰だよ話しかけに行こうって言ったやつ!」 彼らは内輪揉めを始めてしまったようで、私は溜息を吐き出す。 「茉莉花さん、彼の案内に着いて行きましょうか?」 「ええ、そうね苓さん」 苦笑いを浮かべた苓さんの腕に手を通し、きゅっと抱きつくと、再び私の背後から声が聞こえた。 「──茉莉花?茉莉花じゃないか。こんな所にいたのか」 どこかで、黄色い悲鳴が上がる。 「きゃあっ!御影ホールディングスの御影専務じゃない!」 「滅多にこう言うパーティーに顔を出さないのにっ」 「お近付きになりたいわ!」 周囲がざわざわ、とざわめくのが分かる。 声を掛けられてしまった以上、返事をしなくては失礼に当たる。 私は御影さんに振り返った。 正面にいるのは、御影さんと──彼の腕に手を通している涼子の姿。 涼子は、御影さんに隠れるようにしていた。 「御影さん、こんばんは。奇遇ですね」 「──ああ。いや、お前が参加すると聞いたから今回のパーティーに参加したんだ」 「えっ、直寛!?」 御影さんの言葉に、涼子が反応する。 どうして私が参加すると聞いて、御影さんが来たのだろう。 意味が分からない。 私がそんな事を思っていると、ふと御影さんが笑った。 「いや、直接謝りたかったのと……怪我の具合を聞きたくてな。……先日の怪我は大丈夫だったか?」 どこ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-08
อ่านเพิ่มเติม

176話

「藤堂さん?どうされましたか……?」 「海堂社長。お待たせして申し訳ございません」 ちょうど良いタイミングで、海堂社長が顔を私たちを迎えに来てくれた。 だけど、海堂社長は近くにいる御影さんの姿にも気がついたようで、はっと表情を変えた。 「これはこれは……!御影専務もご参加くださっていたとは……!ご案内が行き届いておらず、大変申し訳ございません」 「いや、今回参加したのは会いたい女性がいたからです。用が済みましたら、すぐに帰らせて頂く予定です」 海堂社長に、御影さんは微笑みを浮かべたまま堂々と答える。 「会いたい女性」と御影さんが口にした瞬間、私をじっと見た事で、海堂社長は私と御影さんの姿を交互に見ている。 お互い、パートナーは別にいる。 何かを察した海堂社長は、一旦挨拶だけをする事に決めたのだろう。 軽く頭を下げ、言葉を続けた。 「そうですか、それでしたらお邪魔をしてしまう訳にもいきませんね。ご挨拶はまた後ほど……。藤堂さん、また後で」 「はい、海堂社長」 にこり、と微笑んで私が答えると、海堂社長はそそくさとその場を去ってしまった。 その場に残された私たち4人。 御影さんは、隣にいる涼子になど目もくれず、先程からじいっと私を見つめている。 その視線が何だか気持ち悪くて、私はそっと苓さんの腕を引っ張った。 「御影専務。お話は以上ですか?それでしたら、私たちはこの辺で……」 「待て、茉莉花」 私が立ち去ろうとしたのが分かったのだろう。 御影さんは、涼子が掴んでいた腕を緩く振り払い、私に近付くとぱしっと腕を掴んだ。 腕を振り払われた涼子は、まさか自分がそんな風にされるとは思わなかったのだろう。 唖然としていて。 そして、その後はっとしたように傷付いた表情を「作った」。 「な、直寛……痛いわ……急に手を払うなんて、酷い……」 涼子のか細く、泣きそうな声が響く。 これで御影さんも手を離して涼子に駆け寄るだろう。 そう思っていたのだけど、御影さんはちらりと涼子に視線を寄越しただけで、すぐに私に視線を戻した。 「ああ、すまない涼子。少し茉莉花と大事な話があるから、席を外してくれ」 「──ぇっ」 涼子が戸惑ったような声を上げる。 それでも、御影さんは涼子には一切目を向けずじっと私に視線を向けたまま。 「私には御影さ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-09
อ่านเพิ่มเติม

177話

「ちょ……っ」 私は慌てて胸元を抑える。 どうして見えてしまったのか。 ドレスに隠れている場所なのに。 私の腕を掴んでいた御影さんの手を、苓さんの手が素早く掴む。 「茉莉花さんに触らないでください」 「──お前か!お前がっ」 御影さんは、苓さんをじろりと睨み付ける。 どうして御影さんがここまで苓さんに怒っているのか、本当に意味が分からない。 自分には愛して病まない涼子がいるでしょう?それなのに、どうして今更私に関わってくるのか。 「茉莉花、俺はっ」 御影さんが何かを言おうとした瞬間──。 「きゃあっ!やめてください、何をするんですか!」 その場に、涼子の声が響いた。 「離してくださいっ、わ、私には婚約者が……っ」 「その婚約者ってのは誰だよ、お姉さん。その婚約者、他の女に夢中みたいだけど」 けらけらと笑う、軽薄そうな男が涼子の腕に触れ、話している。 「また、さっきのあの人達か──」 苓さんがうんざり、と言った声を漏らす。 それもそのはず。 さっき、私と苓さんに絡んで来たあの男女4人のグループの内、1人の男性が涼子に詰め寄っているのだ。 涼子が御影さんのパートナーだと分かっている他の女性2人と、もう1人の男性は顔を真っ青にして男性を止めようとしているけど、男性はお酒に酔っているのか、赤い顔をして尚も涼子に話しかけている。 そう、男性は涼子の腕に軽く触れ、話しかけているだけなのだけど、涼子は大袈裟な程怯え、泣きだしてしまいそうな顔をしている。 昔から、涼子はそうだ。 とても弱々しく、少し声をかければおどおどとして泣いてしまいそうな姿を見せていた。 大人になった今でも、そんな様子の涼子を見て、私は呆れてしまう。 今まで、御影さんが涼子を過保護なくらい守っていたのだろう。 だから、大人になった今でも、涼子は自分に降り掛かる何かを、自分1人で対処出来ない。 私は、御影さんがいつものように涼子に駆け寄るのだろうと思ったのだけど。 御影さんはすいっと涼子に視線を向けただけで、すぐにまたふいっと視線を逸らしてしまった。 「──えっ」 「涼子、今俺は忙しいんだ。少しだけ待っていてくれ」 「なっ、直寛っ、私怖いのにっ」 あからさまに涼子の瞳に慌てたような色が映る。 御影さんの変わりように、私が驚いていると、私に視線
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-09
อ่านเพิ่มเติม

178話

苓さんも居ていい? どうして御影さんが条件を決めるの? 私はむっとして、腕を組みつつ御影さんに答える。 「苓さんも一緒じゃなきゃ、話は聞きません。それに、場所を変える必要はないのでは?ここで話せない内容でしたら、お断りします」 きっと、御影さんは涼子から離れたがらない。 そうしたら、こんな無駄な時間は終わる。 私は海堂社長に早く挨拶をして、お父様から預かった贈り物をして、早くパーティーから帰りたい。 御影さんは私の言葉を聞き、涼子に顔を向けた。 涼子は御影さんが助けに来てくれると思ったのだろう。 ぱっと表情を明るくしたのだけど──。 御影さんは、そんな涼子に向かって信じられない言葉を放った。 「涼子、俺は少しだけこの場を離れる。……待っていてくれ」 「そんなっ、どうして直寛……っ!」 涙を目にいっぱい溜めて御影さんを呼ぶ涼子。 御影さんが、涼子の傍を離れる──? 信じ難い光景に、私が唖然としていると御影さんが話しかけて来た。 「この場では少し話しにくい。人がいない隅の方に行っていいか」 「──……」 まさか、御影さんがこの条件を飲むなんて。 私は思わず苓さんに顔を向ける。 苓さんも驚いた表情を浮かべていたけど、私と目を合わせてこくり、と頷いた。 「……分かりました。なら、あちらに行きましょうか」 「分かった」 私が示した方向に顔を向けた御影さんが、周囲に人がいない事を確認すると頷いた。 そして頷くや否や、そちらの方向に向かって移動を始めてしまう。 そんなに話したい事があるのだろうか。 私は、苓さんが差し出してくれた腕に自分の腕を絡ませ、御影さんの後を追った。 場所を移動した私たち3人は、会場の隅っこで飲み物のグラスを持って向き合っていた。 御影さんは涼子に背を向ける形。 その対応にも私はびっくりしてしまう。 涼子の姿が視界に入らなくて大丈夫なのだろうか、と私が考えていると、御影さんが口を開く。 「──確認したい事がある。以前……俺とある女性の熱愛記事が出た事を覚えているか?」 「熱愛記事──……?」 御影さんの言葉に、眉を顰める。 そんな事、あっただろうか、と考えて私はあっと思い出した。 確か、あの記事がきっかけで、私と御影さんの婚約は破棄されたのだ。 あの記事のお陰だったのに、すっかり忘れ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-10
อ่านเพิ่มเติม

179話

やっぱり?それってどう言う──。 私が何かを発する前に、御影さんが口を開く。 「当初、茉莉花……お前があんな記事を出したのかと……そう思った。だから、あの記事を出した会社も何も調べなかったのだが……」 「──私が?何のために……意味が分かりません」 「──ふっ、そうだろうな」 私の言葉に、御影さんは何がおかしいのか、楽しそうに笑っている。 「だが、あの記事の発信源はお前じゃないと思い始め……隠し撮りをした者と、記事を書いた者の調査をした」 「そうですか……。でも、別に御影さんはバレても構わなかったのでは?相手は涼子でしょう?私との婚約は大々的に発表していませんでしたし、放っておいても良かったのでは」 「確かに、俺もそう思った。だからこそちゃんと調査をしなかった」 それまで黙って私たちの会話を聞いていた苓さんが、不意に口を開いた。 「なら、どうして急にそんな前の記事の調査を……?御影専務は、何かご自分の中で変化があったようですね?」 ふん、と鼻で笑う苓さん。 そんな不遜な態度を取る苓さんが珍しくて。 私が驚いていると、御影さんは苦虫を噛み潰したような顔をした。 「──そうだ。確認をしたくて、調査をした。そうしたら、犯人が分かった」 「誰だったんですか、その犯人って」 「涼子だ。……涼子が、カメラマンを使い、あの写真を撮らせて、記事にさせた」 御影さんの言葉に、私は驚いて口を開けてしまう。 どうして、そんな事を──。 そんな事をしなくても、御影さんは涼子一筋なのに、どうしてわざわざ。 「なるほど……外堀を固めようとしたって事か……悪どい女が使いそうな手だ」 ぽつり、と苓さんの納得したような声が落ちる。 まさか、そんな。 私が無意識に御影さんに顔を向けると、御影さんは険しい顔をしていたけど、苓さんの言葉に一切反論しなかった。 それが、もう答えのようなものだ。 御影さんが、涼子を貶されているのに庇わない。 どころか、涼子の所業をわざわざ私に知らせるなんて。 御影さんは一体どうしたのか、と戸惑ってしまう。 「……あれが、涼子の仕業だと知ってあれから涼子を監視させていた。……涼子は普段から中央病院に通院していたんだが……茉莉花は知っていたか?」 「いえ、知らなかったです。……涼子はどこか体の調子が悪いんですか?だから
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-10
อ่านเพิ่มเติม

180話

「──それで?御影専務。あなたが茉莉花さんにしたい話って、それだけですか?」 苓さんは冷たい声で御影さんに話しかける。 苓さんと御影さんは、お互い数秒間無言で睨み合っていたけど、先に御影さんがふいっと視線を逸らした。 「いや……他にもある。茉莉花、お前は自分よりも家の格が下の人間を、どう思う?」 話したかった事が、よりにもよってこれ? 私は呆気に取られつつ、自分の考えを素直に口にした。 「家の格が上とか、下とか……どうもしません。人間の品格は、その人がどう生きていたか、どんな生活をして、どんな考えで人生を過ごしてきたかで決まると思います。品格は人生で備わるもの。家の格とか……そんなものを考えた事はありません」 「──そうか」 御影さんは、緩やかに口元を笑みの形に歪めると満足そうに何度か頷いた。 そして、ふと顔を上げると、言葉を続ける。 「話したかった内容はこれだけだ。……邪魔したな」 「ええ、本当に」 私の言葉に、御影さんはどこか吹っ切れたように笑い、その場から立ち去った。 背を向けて歩いて行く彼の後ろ姿を見ていると、隣に並んだ苓さんが私の腰に手を回し、ぐっと引き寄せる。 「──苓さん?」 「何だか、嫌な予感がして。……御影専務は何のつもりなんでしょうね?」 「さあ……私にもさっぱり。昔から、何を考えているのか良く分からない人でしたから」 あの人の事はとりあえず忘れましょう。 私がそう言うと、苓さんもようやく笑みを浮かべてくれる。 「ちょうど人もいないですし……一旦あそこの出入口から外に出て、海堂社長達がいらっしゃるフロアに入り直しましょうか、苓さん」 「そうですね。またあんな風に茉莉花さんに話しかける男がいたら厄介です」 「ふふっ、大丈夫ですよ。話しかけられても適当にいなします」 「茉莉花さんは綺麗だから、人の視線を集めて心配なんです……俺が隣にいるのに、話しかける男性も多いし……悔しいです」 「あら、奇遇ですね苓さん。私も苓さんを見る女性の多さに辟易としてたんです」 苓さんがそんな事を思ってくれていたなんて。 私は嬉しくてついつい口が滑ってしまう。 私の言葉に、ばっと勢いよく顔を向けた苓さんは、嬉しそうにとろり、と微笑んだ。 「茉莉花さんも焼きもちですか?はは、俺には茉莉花さんしか見えてないのに」 「…
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-11
อ่านเพิ่มเติม
ก่อนหน้า
1
...
141516171819
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status