王子と別れたあと、私はすぐにフリーダを探した。フリーダは、王子にあてがわれた一室で呑気に紅茶を飲んでいた。 「ゆっくりしている場合じゃない、フリーダ」 フリーダは露骨に嫌な顔をする。 「予定通り、アヌ国へ一週間後。……そこで王子が襲われる」 「あんたね、また肝心な情報を言ってないじゃない」 ため息をつきつつも、その目は鋭く窓の外を見た。 「今日ので止められると思った。咎人を捕まえて、それでおしまいだと。でも……このままだと前と同じ流れになる。護衛は少数のまま。アヌで――」 「マリク王子が襲われる」 私の言いたくない台詞は、フリーダが先に言った。 「咎人は、もうアヌに先回りしているはず」 「確証はあるの?」 「ない。でもアヌでの襲撃はあまりにも完璧だった。王子の動きも、謁見の時間も、護衛の配置も把握していた」 フリーダは目を細めると髪を揺らした。 「つまり、王宮に内通者がいるってこと?」 私はゆっくりとうなずいた。 「そう。少なくとも一人は」 それが、前回の私の結論だ。いくら咎人でも、王子の予定が把握できなければあの迅速な展開はできなかった。 王宮の中に内通者がいる。 「面倒ね。外より中のほうが厄介なのに。前の記憶ではわかんないの?」 私は目を閉じる。 あの日。出立前、違和感はなかった。咎人の気配は襲撃のときに初めて感じた。 だから、城には咎人はいない。 「さっきの会議で、王子の訪問日程を聞いた瞬間。ほんの一瞬だけ、空気が変わった気がした」 「それは、そうね。無茶な王子の話だもの。みんな驚くわ」 「そうじゃない。確かに、驚きの声がほとんどだったけど、一人だけ……悪意を感じた」 「悪意?」 フリーダはいらただしそうに頭をかいた。 「情報が漏れてるわね」 「咎人にはもう伝わっている可能性もある。だから向こうで待ち伏せが成立する」 少し考えた後、フリーダは
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