地を蹴り、空を舞い、視界に入ったフォヴォラを王からもらった銀の剣で次々に斬っていく。息はとっくに乱れて心臓がうるさいくらいに早鐘を打っているが、疲れるどころか指の先から足の先まで力が張り巡らされているように体は軽かった。 でも、心は次へ次へと急いでいた。頭の片隅ではあの光景がずっと続いている。今は、1秒でも早く王子の捕われた場所を見つけなければいけない。 今こそ冷静になれ、ティナ。何も考えなくていい。やることはと言えば敵の殲滅。そのためにするべきなのは剣を振るい、目の前の怪物をただただ消していくことだけ。 醜い豚のようなフォヴォラが列をなして向かってくる。「契約」の言葉を述べて強化した力で剣を横薙ぎにすると、一陣の風が撫でるようにフォヴォラの体を真っ二つにしていった。 「あそこだ」 開けた視界の先──梯子をいくつか上った先にある洞穴から、新たに何体かのフォヴォラが出現した。おそらくは鉱山夫が鉱石を掘り出すのに掘り進めた洞窟だ。 「王子……」 剣を片手に持ち直して今にも壊れそうな梯子を上り始める。洞窟付近に群がった羽の生えた怪物たちが金切り声を出して滑空してくる。鋭いくちばしが顔に触れる寸前に剣で薙いだ。 思わず舌打ちが出たのは、一体仕留め損なったからだ。左の頬に燃えるような痛みが走り、血が滴り落ちていた。 「うるさい!」 岩山の間を回旋し、もう一度鳴き声を上げながら突撃してきたところを確実に切り捨てた。 止血する間も惜しんで次の敵が出てくる前に梯子を上り続ける。洞窟が見えてきたところで、周辺に現れたフォヴォラを下から跳び上がって仕留めると、そのまま何の光も見えない洞窟の中へと入っていった。 「マリク王子!」
اقرأ المزيد