私は表情を隠すと一歩、前に出て王子の横に並ぶ。 「大臣、失礼ですが知りたいのは、どの情報でしょうか?」 ノルドマンは、鼻息を出すと手に持っていた紙をゆっくりと広げた。「だから王子の出立の時間だ。予定が早まったようだな? 明後日の早朝、西門より出立とあるが、勝手に決められては困る」 ……出立の予定は王に告げたあの日から何も変わっていない。一週間後だった。つまり、ノルドマンが言っているのは私が内通者を騙すために用意した完全に、偽の情報。 私は、王子の方をちらっと見ると、ほんのわずかに口元を緩めた。「……なるほど」 ノルドマンの目が、鋭く細められる。「なにか問題でも?」「いえ。問題はありません」「ほう? なら、なぜ勝手に予定を──」「ただ、その情報。どこでお知りになったのでしょうか?」 ノルドマンの言葉を遮ると、空気がぴんと張り詰めるのがわかった。後ろにいるフリーダが、距離を取るのがわかる。場合によっては魔法を撃つつもりということ。 王子は微笑みを浮かべたまま、私の言葉を待っていた。「……ふん。王子がいるからと言って、秘書官が、大臣に向かってずいぶんと不躾な」「ええ、不躾です。ですが、ノルドマン大臣。その紙は私が、賊への対策のために流した偽の情報です。王子の書類の束の中に紛れ込ませておいたもの。本来の出立時刻も、ルートも、護衛も――すべて異なります」 ノルドマンの瞳が、わずかに揺れた。「おわかりですね? つまり、その情報を知っているということは、わざわざ王子の部屋に忍び込んだということ。ノルドマン大臣。勝手に部屋に入るのは、不躾ではないですか?」 フリーダが噴き
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