理科室での捜査を終えた俺たちは、部室に戻ってきていた。 外はすっかり暗くなり、窓の向こうには街灯の光だけがぽつりぽつりと浮かんでいる。 ホワイトボードには、見つけた手がかりが箇条書きに並べられていた。◆ 理科準備室での発見 ・青い蛇の模型 ・タグに屋上と書かれた鍵 ・メモ① 『知らなければ、私の世界は穏やかだった。 けれど、青の幕が落ちた時、そこにあったのは染まった手。 その手から渡された扉を、私は恐れ、隠した。』 ・メモ② 『仮面は蒼。言葉は甘く、視線は氷。 本当の顔を知る者は、沈黙を強いられる。』「さて……どう見る?」 椅子に座ったまま、俺は頬杖をつきながら二人に問いかけた。 陸は椅子でくるくる回りながら天井を見ている。 その隣で澪は、いつものように無表情でタブレットを操作していた。 「青い蛇の模型に鍵が隠されてたってだけでも、十分異常だよな」 陸が渋い顔で言う。 「……しかも屋上の鍵だろ? 普通、生徒がそんなことするか?」 「……隠す理由があったんだろうね」 澪が淡々と答える。 「でも、なぜ暗号にまでしたのか……」 「ああ、そこが問題だ」 俺は腕を組み直し、机の上のメモに視線を落とす。 「佐倉先輩が暗号を書いたのは間違いない。……おそらく隠した理由があるはずだ」 俺はメモに視線を落としながら呟く。 「でもさ、もっと直接的なヒントを書けばよかったんじゃね?」 陸が首を傾げる。 「家族とか妹にだけ分かるようにすれば済む話だろ?」 「それができなかったんだろう」 俺は続けて言う。 「まだその時点で、殺されると決まってたわけじゃない。もし勘違いだったら、自分が危険になる。もしもの時に備え、誰が見てもすぐには分からない形にした」 「……直接的なヒントを書くのは危険だった」 澪が淡々と口を開く。 「だから、誰かが気づく形にした。それだけだよ」 「だけど……優衣ちゃんが見つけたとして、自分で動こうとするか?」 陸が疑問を投げかける。 「そこも計算済みだろう」 俺は軽く頷く。 「もし佐倉が自分で解けなければ、推理部に依頼すると考えるはずだ。俺たちは有名だからな」 陸は苦笑しながら肩をすくめる。 「困った時は推理部、っていうより悠真に任せとけって感じだろ?」
Last Updated : 2026-05-14 Read more