──こうして、俺たち推理部が受けた初めての本格的な依頼は、幕を下ろした。 すべてが明らかになったわけじゃない。 事件の裏には、まだ解けていない謎がいくつも残されている。 あの日、なぜ屋上の鍵が職員室から盗まれていたのか。 事件当日、校舎内の防犯カメラには、なぜ誰の姿も映っていなかったのか。 朝早く、誰が職員室の鍵を開けていたのか。 ──佐倉美月先輩が、どうしてあの時、職員室に入れたのか。 点と点は繋がったようで、まだ線にはなっていない。 そして綾野奏斗。 彼は、真相が明るみに出た後も、何ひとつ語ろうとはしなかった。 まるで終わった役割を果たした人形のように、口を閉ざしたままだ。 けれど、その後の報せはあまりにも突然だった。 事件から数日後。 綾野は、両親と共に乗っていた車で、交通事故に遭い──死亡した。 雨の日の夜、ブレーキ痕すら残らない奇妙な事故だったという。 原因は不明。詳細な報道もないまま、ただ一行の訃報だけが新聞の隅に載った。 偶然なのか、それとも……。 真実は、まだ深い闇の中に沈んだままだ。 それでも。 あの日、あの屋上で見届けたものは、確かな救いのひとつだった。 佐倉──いや、優衣は事件のあと、推理部に入った。 最初は戸惑いもあっただろう。けれど今では、俺たちと一緒に、校内のあちこちを駆け回っている。 ときには真剣に、ときには口喧嘩しながら。 それでも確かに、彼女は前を向こうとしている。 佐倉美月先輩のことは、まだ乗り越えたとは言えない。 けれど、家族に支えられ、友人に守られ、 そして、自らの居場所を取り戻しながら、少しずつ――歩き始めている。 そうだ。 この物語に、はっきりとした勝者なんていない。 でも……少なくとも、光を見つけた者は、いたのだと思う。 そして俺たちは、この事件がまだ始まりに過ぎないことをまだ知らなかった。事件を解決するたびに、何者かの影が潜んでおり、その影は俺たち家族の死にかかわっていた……。 長きにわたる謎、因縁解決へ今歩み始めた。
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