佐奈side「……佐奈! 待ってくれ!」颯は、颯は肩で呼吸をしながら私の左手首を力強く握っている。ピンクの華やかなネクタイとスーツ姿で、左手には引き出物の紙袋を持ち、先程の女性たちとは対照的に、後悔と焦燥と執着がどろりと混ざり合った瞳で私を見つめている。今の颯には、かつての冷静沈着なエリートの面影はない。「颯……なんでここに?」「友人の結婚式だったんだ。それで佐奈を見つけて。佐奈と話がしたい。頼む、時間を作ってくれないか」「話って何を語るつもりなの? もうあなたと私はとっくに終わっているの、手を離して」掴まれた腕を振り払おうとしたが、颯の指の力は驚くほど強くて離そうとしない。私は、冷たく言い放ち、毅然とした態度を保とうとしているが心臓は大きく脈打っていた。「颯は、私よりも出世やお金を選んだでしょ? 自分の出世のために璃子を選んで、私が邪魔になったから海外に異動させるようにしたんでしょ? それが、今度は私が令嬢だと知ったら復縁したい? ふざけないでよ」今まで胸の奥底の深いところに隠していた、颯の裏切りに対する怒りや絶望を声を荒らげて面と向かってぶつけると、颯の口から信じがたい言葉が飛び出した。「違う! 海外への異動
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