佐奈side「あの人と付き合っていたんでしょ。この前、食事に行って声掛けてきた人じゃない?」蓮は私を抱きしめたまま、耳元で静かに囁いた。「気がついていたの?」「ああ、今日は苗字だったけど、この前は佐奈って呼んでいたよね?お互い気まずそうだったし、何かあったんだろうなって」「蓮ってすごいね」「すごくないよ。佐奈をずっと見ていればすぐ分かるよ。佐奈が俺に返事が出来ないのは、あの人の影響?」「そんなことない。関係ないよ。私が恋愛の優先順位が低いと言うか、実家に帰ってから恋愛や結婚ってどうしても家のことが思い浮かんじゃって……」颯の事を出されて胸が苦しくなったが、私は強く首を振った。蓮に言ったことは、嘘ではなかった。自分の結婚は、自分だけなく家にも影響することであり自由とは言い難い。「そっか、それなら俺の魅力が足りないってことだな。もっと頑張らなくちゃ」「そんなことは……」蓮は、困ったように笑みを浮かべてから、私に気を遣わせないように努
Terakhir Diperbarui : 2025-11-12 Baca selengkapnya