Semua Bab 愛よりもお金をとるのならどうぞご自由に、さようなら: Bab 41 - Bab 50

77 Bab

41.つなぎ

颯side「本郷さん、私が璃子と婚約した経緯を話しますので、本郷さんと璃子のことを教えてもらえませんか?お互いに聞いている話にズレがあると思うんです。」「そうですね……。分かりました。」俺たちは、璃子だけの話しか聞いてこなかった。そのことで、璃子は常に被害者で、周囲の人間は悪役にされている節があることに、本郷玲央と話をしてようやく気づくことができたのだった。玲央は目の前にあるウイスキーのロックグラスを見つめながら、遠い目をして静かに語りだした。その声には、怒りよりも深く傷つけられた諦念が混ざっているようだった。「私の父と璃子の母親が大学時代の友人だということは以前、話をしましたよね。二人は同じサークルで、卒業してから十年以上経った今も交流があるそうです。それで、僕たちが大学に入学した年の春、お互いの親も交えて、初めて璃子に会いました―――――」小さく微笑んだ玲央は、初めて会ったときの事を思い出しているようで、璃子への真っ直ぐな気持ちが痛いほどに伝わってくる。それは、俺が佐奈に抱いていた気持ちと似た、純粋な愛情だった。「璃子の美人で清楚な雰囲気に見惚れていましたが、話をするとよく笑って、感動して泣いて、感情豊かな内面にも惹かれていって、大学一年の夏に告白をしたんです。だけど、断られて二年くらい知り合いのままでした。たまに連絡が来て迎えに行ったり、ご飯を食べたりいい雰囲気になるけれど、そのうち新しい彼氏が出来て、僕は次の彼氏が出
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-06
Baca selengkapnya

42.七年の純愛

颯side「大学三年になっても、璃子とは友達以上恋人未満の関係でした。僕の気持ちを知りながら、曖昧なままだと就職や社会人になってから支障が出る。そう思って、璃子に諦める決心がついたと言うと、焦り始めたのか急に態度が変わって、璃子の方から『付き合いたい』って言ってきたんです。」玲央は、懐かしむように語るが、その声の端々には静かな怒りと虚しさが滲んでいた。「結局、お互いの親も巻き込んで、みんなの前で『付き合いたい』と言われ、そのまま付き合うことになりました。大学一年の初めて会った時から、親同士から将来の結婚を仄めかされていたので、璃子が僕と付き合うことを歓迎してくれました。」「そうなると、本郷さんと璃子は大学三年から今まで付き合っていたということですか?」「はい、七年の付き合いになります――――。僕はこのまま結婚すると思っていましたし、結婚するなら璃子しか考えられないと思っていました。だけど、急にあなたが現れて、結婚すると言ってきた。」「七年、ですか……。」俺が佐奈と付き合っていたのは四年。その間、璃子には玲央という婚約者が既にいたのだ――――大学からの長い付き合いを経て、結婚を考えていた相手に、突然、別の婚約者がいて結婚すると報告を受けるなんて、考えただけで背筋が凍る思いだった。玲央は、俺が璃子との婚約で佐奈を失ったように、愛と未来の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-07
Baca selengkapnya

43.璃子の本性

颯side俺はグラスを傾け、玲央に全てを話し始めた。「ある日、社長に呼び出されて社長室に行くと、社長と璃子が座っていました。社長から、会社の後継者になって欲しいと思っているが、後継者は身内の中からしか選ばないという絶対的な意向があるため、孫娘である璃子と結婚するように言われました。」俺は、その時の衝撃を思い出しながら出来るだけ詳しく話を続けた。「璃子が社長の親族だということも、その時初めて知ったんです。呼び出されたのも仕事に関することだと思っていたので呆然としていると、社長は、もし断ったらこの会社での将来はないと思うようにと、間接的に脅しをかけてきたんです。そして、今まで仕事で評価してもらっていると思っていましたが、全て璃子が社長に影で糸を引いていたことを聞かされました。」俺の告白を聞いた玲央は、驚きの表情を浮かべていた。「それでは、あなたが強引に璃子と婚約関係になったわけではなく、社長の指示で断るに断れなかった。璃子は、祖父の言うことを聞くしかなく、仕方なく受け入れようとしているということですか?」玲央の言ってることは全うだが、「仕方なく受け入れようとしている」という言葉がやけに耳障りに聞こえてきた。『璃子は』ではなく、『璃子も俺もこの状況に抗えない被害者だ』と訂正したい気分だった。しかし、心底璃子に惚れている本郷さんにそのことを言うのはやめた。彼はまだ、璃子の中に純粋な心が残っていると信じたいのだろう。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-07
Baca selengkapnya

44.パンドラの箱

颯side「本郷さん、このままだと私たちは璃子の言うことに永遠に惑わされ続けるような気がします。もし、璃子の言葉が嘘だらけだった場合、あなたはどうしますか?それでも璃子の側にいたいですか?」俺は決意を込めて玲央に問いかけると、玲央は目を大きく見開き息をのんだ。「それは……嘘をつかれたことはショックで今後について考えると思いますが、最終的には僕は璃子を選ぶと思います。璃子が本当のことを納得できる形で話をしてくれるなら、璃子のことを許して受け入れます。」七年という歳月を一緒に過ごした玲央の瞳には、戸惑いはあっても、憎しみや後悔はなく、俺の抱く感情とは比べ物にならないほど深く、純粋で揺るぎないものだった。「そうですか……。分かりました。実は、璃子との結婚の条件は昇格試験の合格でした。そして、今月、試験に無事合格したんです。すると早速、社長が両家顔合わせや結納などの結婚準備を進めたいと私に言ってきました。今後、今までの婚約状態から一気に結婚まで話が進みそうで、璃子から話を聞くなら今しかありません」「結婚準備……。璃子は、璃子はなんて言っているんですか?」玲央の声が明らかに上ずった。「璃子は、私を選ぶためにあなたに電話で別れを告げてきたと言っていました。それが、先週の夜の話です。でも実際は、電話ではなくてあなたの家に行っていた。そして別れを告げるどころか『あなたと一緒になれるように頑張る』と全く逆の事を言っている」「一体、璃子はどうしたいんだ?誰かに言わされているのか?璃子の心には誰がいるんだ?」「……分かりません。ただ、個々に璃子と向き合うだけでは、ずっと分からないままな気がします。本郷さんが、真実を聞きたい、受け入れる覚悟があると言うのなら、璃子との情報を共有して貯まったところで、直接、璃子本人に聞いてみませんか?このままずっと振り回されるのは、私は嫌です」璃子との関係を止めることは、俺の出世に影響を及ぼすが玲央の璃子に対する真っ直ぐな気持ちが俺の良心を刺激した。そして、もし璃子の本心に玲央がいるなら、穏便に身を引こうと思った。玲央は、顎に手を当てて視線を鋭く前方の一点だけを見て深く考え込んでいたが、しばらくすると意を決したように俺の方を向いて口を開いた。「そうですね、社長の人柄を考えるとあまり時間の猶予はなさそうだ。璃子の本心を聞くためにも、協
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-08
Baca selengkapnya

45.新しい世界

佐奈side転職して約二年。仕事にも慣れて一通りの業務はこなせるようになってきた。元々、経営管理はやりたい分野の仕事だったので、新しいことを覚えることが楽しくて仕事に没頭していた。「佐奈、仕事お疲れさま。週末どっちか空いていたら会わない?出張に行ったお土産を渡したいんだ」昼休み、スマホを開くと蓮からのメッセージと、この前蓮と行った葉山の海辺のようなキラキラと輝く水面とテトラポットの写真が添付されていた。「お土産ありがとう、日曜日が空いているよ」すぐに返事を返して、持参したお弁当を静かに食べた。葉山に行って以来、蓮とはたまにメールのやり取りはしていたが、お互い忙しくて特に進展もなく、会うのも三週間ぶりだ。蓮への不満も特になく、付き合ってからの事を想像するくらい好意的には思っている。そして、颯への未練もない。蓮と付き合うことに躊躇することは何もないはずなのに、告白されてすぐに返事が出来なかったのは、しばらく恋愛から遠ざかっていたせいだろうか、それとも今は仕事に集中したくて恋愛が二の次になっているのか、自分でも不思議に思っていた。(頭も人柄も良くて顔もカッコいい。お父様は、大手人材派遣会社の藤堂グループの代表で次期社長は確実だし、これ以上素敵な人はいないはずなのに、何もったいぶることをしているんだろう?蓮なら他に声を掛けてくる人もいそうなのに……)
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-08
Baca selengkapnya

46.手の温もり

佐奈side日曜日、この日も蓮が家まで迎えに来てくれることになっている。いつもは蓮が着いたと連絡が来てから玄関を出るのだが、父に蓮とのことを色々と言及されるのが嫌で、今日は予定の時間よりも少し早く玄関を出て家の前で蓮が来るのを待っていた。蓮は私に気がつくとハザードランプを点滅させてから、駐車場の脇へと静かに車を停めてドアを開けてくれた。「佐奈、外で待っていてくれたの?家の中にいてくれて、良かったのに。」「なんか待ち遠しくて。でも出て来たばっかりだから大丈夫だよ。」木の葉が色づく十一月。肌寒い風が舞っている。父のことを言いたくなくて、他の言葉で返すと、蓮は後部座席から柔らかいふかふかのブランケットを取って渡してくれた。そして、そのまま両手で私の手をギュッと握り温めてくれる。顔を少し上げて上目づかいで私を見つめると、少し口を尖らせてから小さく言う。「佐奈、嘘ついてる。佐奈の手、冷たくなってる。寒くない?風邪ひいちゃうといけないから温度上げるね」少し冷たくなった手から、じんわりと蓮の温かさが伝わってきて、暖を取るように蓮の手が私の手を覆いながら小さく動かす度に、蓮の手の感触を感じて照れも混じったこそばゆさが全身を包んでいた。「いつもありがとう、大丈夫だよ」手が温まると、蓮は
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-09
Baca selengkapnya

47.贈り物

佐奈side「んー贈り物なら、定番は花束かな。あとは焼き菓子とかも多いよ。ただ団体によってはプレゼント自体を受け付けていない場合もあるから事前に確認した方がいいかも。」「そうか、大丈夫か後で確認してみるよ。ちなみに佐奈は、何を貰ったら嬉しい?」「私は花だったな。小さい頃、発表会の時は、フリルのドレスを着て、髪の毛も綺麗にセットしていつもの自分とは全く違ったの。演奏する時はすっごく緊張するんだけれど、終わった後にミニブーケが色んな人から届いているのね。そのブーケを全部持つと、両手で抱えるくらいの大きさになって、なんだか本物のお姫様になった気分がしたんだ。」『お姫様になった気分』、そんなこと言ったら人によっては苦笑するかもしれないけれど、蓮はきっと優しい瞳で聞いてくれる気がした。そして、予想通り蓮は私を見て、優しく微笑んでいる。そんな何でも受け止めてくれそうな安心感が蓮にはあった。「花束かー、好きな花はあるの?」「花の名前は分からないんだけど、青や水色、紫とかの落ち着いた色合いの花が好きだな」「なんだか佐奈の雰囲気とぴったりだね。冷静さと知性を兼ね備えている」「蓮って何でも褒めてくれるね。でも、演奏会に持っていくなら薔薇とかカーネーションが多いかな。赤やピンクの花束や、オレンジや黄色も明るく華やかでオススメだよ」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-09
Baca selengkapnya

50.蓮の想い

佐奈side久々のクラシックは、感動の一言に尽きた。ホール全体に広がる、美しく調和するハーモニーと繊細な音色。そして盛り上がり部分は、身体全体を震わせるような迫力があって、曲の世界観に深く浸っていた。演奏が終わっても、しばらくは拍手の余韻と感動の波が収まらなかった。コンサートが終わり車に向かっている途中も、私の興奮は鳴りやまなかった。私は蓮に早口で感想を言っていた。「はあーやっぱり素敵だった。それぞれの音が魅力的で、それなのに全体の調和がしっかりまとまっていて、没入というの?とにかく聞いていて感動して鳥肌立っちゃった!!」「良かった、佐奈がそんなに喜んでくれて嬉しいよ。友人にもあとで伝えておくよ」「蓮、今日はありがとう。誘ってくれたことも、助けてくれたことも嬉しかった。今日、蓮とここに来れて本当に良かった」「佐奈―――――」蓮は私の名前を小さく呼ぶと、私の腕を引いて自分の胸元へと引き寄せる。夜風に当たって寒かった頬が、蓮の胸の中に導かれ、生温かい熱を感じている。蓮のシャツから柔軟剤の香りがほのかに漂ってきた。蓮の指が私の髪を優しく梳かして撫で、首元で髪をかき分ける。「蓮&he
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-11
Baca selengkapnya
Sebelumnya
1
...
345678
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status