美月side「世羅?どうかしたの?何かあった?」私の言葉に世羅は困ったように少し戸惑いながら口を開いた。世羅の瞳には、再会の喜びとは別の重い憂鬱が宿っていた。「実は、星野家が、いや正確には舞が復縁を求めてきて。前回、今後のリサイタルは柳グループとして一部費用を負担するという話で決着がつき、正式に婚約破棄をすると示談書も書いたのですが、それを無効にしたいと言ってきたんです。どうやら私が前回全額払ったことに味を占めて、一部負担だけでは物足りなくなってしまったようで……」「それで、復縁って……。人を何だと思っているの?」彼女の強欲さに腹が立ち声を荒げた。世羅の優しさや誠実さを、舞はただの金銭的なATMとしか見ていないのかと思うと許せなかった。(世羅が、この一件でどれほど傷ついたのか考えたことないの?自分のことにしか興味がないんだわ……)「はい。それで書類を理由に断ったのですが、本人が納得しないんです。会社の買収も強引にしてきたとメディアに流すと言ってきて。もちろんそんなことはしていませんし、何回も交渉や契約や話し合いの末に合意したことです。ただ……」世羅は顔を曇らせ、最上階の窓の外にある大阪の街並みに視線を向けた。その表情は、深い疲弊を表していた。
Last Updated : 2025-12-09 Read more