All Chapters of 夜明けと共に忘れるはずの恋だった: Chapter 141 - Chapter 142

142 Chapters

141.新天地への扉②

美月side「スイス……。今度はヨーロッパなのね」「美月にはやっと自分の居場所ができたのに、また振り回してしまうことになる。未来だって今の学校が大好きだろう。だから、迷っているんだ。実際に断ろうともした。でも、その施設でなら今の研究をさらに進化させて、もっと多くのそれこそ世界中の何百万人もの命を救える可能性があるんだ」世羅は自分の成功よりも常に「誰かのために何ができるか」を優先する人だ。そして何より家族の幸せを一番に考えてくれている。そんな世羅を見て、未来はビックリするほど力強い声で答えた。「パパ、私、大丈夫だよ」未来の声に、私と世羅は難しい決断をすぐにした娘に対して不安も混じった瞳で見つめた。「学校を離れるのは少し寂しいし、新しい場所は緊張するけれど、パパがたくさんの人を助けるお手伝いができるなら、私、応援する!スイスでもチアできるかな?」未来の言葉に世羅の瞳が潤んだ。私も世羅に向かって深く頷いた。「世羅、私たちはどこへ行っても大丈夫よ。未来も応援するというなら、私はそんな未来の想いも大切にしたいの。日本からアメリカへ来た時、私には何もなかった。でも今は違う。私にはあなたと未来がいる。家族が一緒ならそこが私たちの居場所になるのよ」
last updateLast Updated : 2025-12-31
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142.夜明けと共に忘れるはずの恋だった

美月side翌日、未来のチアの発表会が終わり、夕暮れ時の海辺を三人で散歩していた。 オレンジ色に染まる水平線を眺めながら、世羅がふと私に問いかけた。「僕の都合で色んな所へ振り回しているけれど、美月は今、幸せ?」私は立ち止まり、吹き抜ける潮風を頬に感じながら、隣に立つ世羅を見上げた。「ええ。とても幸せよ。……初めて会った日の朝、ホテルの部屋を出る時に私は思ったの。この恋は夜明けと共に忘れようって」「この恋は今の状態の私を苦しめるものだって。だけど、あの時、未来を変えようともがきながらも動いたことで今がある。こんなに輝かしくて幸せなことはないわ」世羅は何も言わず、私の手を強く握りしめた。 「僕もだよ。美月に出逢えたおかげで未来に会うことも出来た。美月が諦めないでくれてよかった」二人で視線を交わらせていると、先を歩く未来が振り返って手を振っている。「パパ、ママ! 太陽が沈んじゃうよ!」沈む夕日の中、手をつないで歩き出す三人のシルエット。 私の薬指には、あの日、世羅から贈られたダイヤモンドの指輪が海の煌めきを吸い込んでいつまでも変わらぬ光を放ち続
last updateLast Updated : 2025-12-31
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