陸side「美月のやつ、いい気になりやがって……俺の気持ちがなんで分からない」俺は、会場のテラスに出て、夜景を見下ろしながら憤りを抑えきれずにいた。グラスに残ったウイスキーを一気に飲み干す。二年ぶりに見た美月は、相変わらず綺麗だった。それどころか、以前よりもどこか洗練され輝きを増しているようにも見えた。名古屋に戻ってきて、またいつでも会えることが出来ると思い声を掛けると、美月は怪訝そうな顔をしていた。『もうあなたの都合のいい玩具ではない』睨みつけるような冷たい瞳で俺の元を去って行く美月は、まるで別人のようで俺は大きな衝撃を受けた。婚約破棄する直前は揉めたが、それまでの美月は俺に歯向かったりすることのない従順な女だったからだ。「そもそも都合のいい玩具って何だよ。俺がどれだけ美月のために尽くしてきたと思っているんだ」―――――初めて美月を見た時、そのあまりの美しさに俺は一気に心を奪われた。大学のミスコンでグランプリを取ったこともある美月は、誰もが振り返る美人で、美月の父親と話をしている際にお茶を出してくれてニコリと微笑んだ姿を見て、その日から美月の笑顔をしばらく忘れられなかった。あんなにも心臓が高鳴ったのは初めてだった。思い切って婚約して欲しい
Last Updated : 2025-12-15 Read more