美月side「それがね、応接室に入る前にうちの社員の前で、この会社を遠藤製薬の子会社にしたいって言い始めたの」事務員の佐藤さんの声は震えていた。私は耳を疑った。「うちの会社を遠藤の子会社に? そんなことを、わざわざ社員の前で言ったんですか?」「ええ。一部の社員は待遇が上がるかもしれないって喜んでいるけれど、子会社にしたら遠藤製薬側から役員や代表取締役を送り込むとも言っていて……。私はそんな甘い話ではないと思うのよ」「それって……買収じゃないですか」「ええ。社長をはじめ、今の役員たちは全員退任させられる可能性があるわ。それでね、外部から役員を迎えるのが嫌なら、美月さんが代表を務めるなら今いる全社員のポジションを保証して待遇も改善するって言っているのよ」「え……」頭の中が真っ白になった。陸は、私を社長の椅子に座らせることで私を縛り付けようとしている。「社長は、その場での回答はしなかったんだけれど会社が乗っ取られたら元も子もないわ。美月さん、社長から話があるとは思うけれど、一度……考えてくれない?」
Last Updated : 2025-12-20 Read more