美月sideアメリカでの生活が半年を過ぎた頃、父が、現地の化学メーカーとの視察を兼ねてサンフランシスコへやって来た。空港のロビーに現れた父は、私の顔を見るなり少し驚いた表情をしていた。「美月……元気そうで良かった。そんな顔で笑うようになったんだな」サンフランシスコの眩しい太陽と世羅の温かい眼差しが、私の背筋を真っ直ぐに伸ばしてくれているのかもしれない。その日の夜、世羅も交えて三人で食事をすると、父は、慣れない手つきで現地の料理を口にしながらポツリポツリと語り始めた。「美月、遠藤さんとの婚約の事、本当に済まなかった……。遠藤陸の横暴さを感じていながらも、会社の存続のために、私はお前にあんな不当な婚約をお願いしてしまった。全くもってひどい父親だった」父は人目を憚らず涙を流して私に謝罪した。その震える肩を見て、私はそっと父の手に自分の手を重ねた。「お父さん、もういいの。あの経験があったから、私は柳さんと出会うことができたし、会社のことも自分の将来についても真剣に考えることができた。だからもう自分を責めるのはやめて」「頭を上げてください。僕もあの時、美月さんに出会えたことに感謝をしているんです。あのことがなければ僕たちは出逢うことすらなかった」
Dernière mise à jour : 2025-12-25 Read More