Все главы 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 通: Глава 11 - Глава 20

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第1部 二章【闇メン】その2 第一話 初仕事

10. ここまでのあらすじ  椎名良祐は求人広告に麻雀の打ち子の仕事をする派遣会社を見つけた。 麻雀に自信のある椎名はさっそくそこへ連絡して面接を受けることに。するとその面接はなんと実際に麻雀を打ちながらやるというものだった。 厳しい審査を突破して椎名は合格。 超一流の打ち手しか雇ってもらえないという裏仕事『闇メン』に椎名の名前が登録された――  【登場人物紹介】  椎名良祐しいなりょうすけ  主人公。礼儀正しく清潔で爽やかな青年。堅苦しい性格ではなく、場面場面での使い分けが上手いだけ。基本的には気さくな人間である。渡邉クリエイター派遣会社社員。  渡邉二郎わたなべじろう  椎名の勤務する会社を設立した社長。人を見る目があり一目でその人の人となりを見極める。麻雀はそんなに上手くはない。  福島社ふくしまやしろ  表の顔は喫茶店の気さくで優しい美人ウェイトレス。しかし、ひとたび卓に着くと人が変わる。知る人ぞ知る凄腕雀士。勝つためにはあまり手段を選ばない。勝利こそ正義という女性には珍しいタイプ。  福島創ふくしまそう  喫茶店『えにし』の二代目マスター。ヤシロの父。アイスコーヒーを美味しく淹れる名人。麻雀の腕もプロ顔負けの超一流。    その2第一話 初仕事  最初の
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第1部 二章【闇メン】その2 第二話 魂のぶつかり合い

11.第二話 魂のぶつかり合い「リーチです」 従業員の左座(ぞうざ)さんからリーチが入る。だが、おれの手も勝負手だからリスク覚悟でぶつけていく。 危険牌を通しておれもテンパイ。「リーチ」 言ってしまえば麻雀とは魂のぶつかり合いだ。己自身をぶつけていく、真剣に、思い切りぶつけるだけ。ただ、ひたすら本気でぶつかるだけ。 その衝撃で自信を砕かれた方が真の意味で負ける。そういう勝負だと思う。「ゾーちゃんのリーチはいつも高えからなあ…… どうすっかなぁ」と例の爪のきれいなお客さんが言う。 初見の時はそれらの会話も重要なヒントになる。そういった情報から力関係や雀力数値を予測して正しい対応を行えるようにするのだ。「ツモです」左座手牌二二三三三四伍④⑤⑥⑦⑧⑨ 六ツモ「リーヅモドラ…裏。2000.4000の1枚です」 まずは左座の満貫ツモ。たいした手ではないがそれでもこれでリーチ棒含め上下12000点リードされてしまったのは事実である。お客さんは親だったので4000の支払い。「早いよ、なんも悪い事してねーのにもう4000失点すんのかよ。まいったな」 そうは言いつつも余裕のある表情。この客もまた上級者であるように見受けられた。嫌な予感が高まる。カランコロン 来客だ。「いらっしゃいませ! 二本木(にほんぎ)さん。いま23000点だけど東2局の親番2回ですぐ案内できますよ!」「トップは?」「34000です」「うーん。……いいや待つわ、雑誌も読みたいし。次入るからやってて」「承知しました。ではもう少々お待ちください」 そう言うと二本木はソファに掛けて今月号の現代麻雀を読み始めた。「なんだ、二本木さんやらないの? 入ればいいじゃない」と対面の爪綺麗君が言う。すると……「おう、新田(にった)か。後ろ向きだから分かんなかったわ。今日は遅刻してねーんだな。ハハッ! 次入るから待ってろ裏メン」 出たあーーーー! 予感的中。こいつ裏メンだ。うわあ、バカみたいな卓立ってるぞこれ。身内だけの客不在バトル。こんなとこで負けたらやってられない。ていうかオーナーどこ行ってんだよ。「あ、おれちょっとトイレ行かせてください」と言い席を立つ。“オーナーさん。今ひどいことになってます。メンバー2人裏メン2人の卓が始まってます。早く来てなんとかして下さい。よろし
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第1部 二章【闇メン】その2 第三話 嘘電話

12. 第三話 嘘電話  オーナーの竹林恵一(たけばやしけいいち)さんからメールの返信がきた。“渋滞してて、申し訳ない。あと15分ほどで着きます”  よく考えたらもう待ちが1人いるので次回からはこんなワケの分からないゲームではなくなるからまあ、いいか。そう思っていたのだが。 ピロン  二本木さんのケータイが鳴る 「……ごめん、職場でトラブルあったみたいで行かなきゃいけなくなった。また来るから。わるいね」 カランコロン  二本木さんは駆け足で去っていった。 (うおおおおい! マジで?! そんなことあんのかよ) 「ちょ、ちょっとすいません。メール一本だけ送っていいですか?」「じゃあ止めておきますね」「ありがとうございます」  やばい、このままこのゲームが終わると次のゲームもメンバー2裏メン2の戦いになる。それだけは避けなければ。 そう思って竹林さんに素早くメールを打ち込んだ。 “ちょっと一本電話なりメールなりしてください。じゃないと客不在のゲームを延々と続けることになりそうです”  すると竹林さんからメールが“理解した”とだけ来てそのあとすぐ着信があった。 ピリリリリリ! 「もしもし。はい… はいそうです。はい… 分かりました。はい… 失礼します」 この電話はもちろん偽装で、会話などしていない。それっぽく言っただけだ。
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第1部 二章【闇メン】その2 第四話 初日終了

13.第四話 初日終了「――てなことがありまして、今は抜けて外に出ているんですけど。参っちゃいましたよ」『ハハハ! 負けなくて良かったな。オーナーにはよく言っとくよ。今度からそう言う時は事前にこちらに知らせるようにって。連絡さえあれば防げるからな』「あのあともう2時間くらい来客ないままですけど、大丈夫でしょうか」『大丈夫、この後は忙しくなってくるから、それは気にすることないよ』「そうですか、ならいいですけど」 これは渡邉さんの言う通りで、その後は忙しくなってきた。 ここから先はほとんど入りっぱなしだった。抜けて欲しい時はコーラをオーナーが出すのでそしたらラスハンコール(このゲームで抜けます。という意思を表すコール。これをせずにやめることはマナー違反とされる)をしてくれという取り決めでいたが一向にコーラが出てこない。(うん、確かに抜く必要ないもんな) おれは休憩2時間本走6時間ほどでその日の仕事を終えた。 麻雀は運良く20000ほどの勝ち。その他に日当が8000出るので今日の利益は28000。スタートは好調だと言っていいだろう。 上家はついてなかった。対面の『尾崎』という男がキッチリ絞る麻雀をしていたから親番に連荘が一度も出来なかった。おれは尾崎の対面で本当に良かった。こういう手合いは上家にいても下家にいても厄介だ。 初日の仕事を終えて『えにし』で本日分の給料を手渡しでもらう。負けたら次の日の足しにするために初日の給料はその日にもらう約束だった。「どうだ『龍』の初日は」「ついてました。手強い人もいたけど今日の所はおれの勝ちです」「尾崎って奴は来てたか?」「居ました、対面でした。抜け目なくて強かったですね。あの方が手強いと感じました」「ほう、何回同卓したんだ」「5回ですかね」「へぇー、尾崎洋平と5回も打ってよく勝ったな。あいつはここら一帯で一番強い客だ。あいつの絞りには気をつけた方がいい」「そのようですね。今日も自分の下家を絞り殺してましたよ」「ハハハ、そうか。尾崎の絞りは健在だったか。なんせあいつは我慢が趣味だからな。絞るのが大好きなんだ。ここらじゃ『絞りの尾崎』を知らない雀士はいないぜ」「我慢が趣味……?」「ああ、本人がそう言ってたから間違いない」 だいぶ変な人だなと思った。それが正解かとかは置いといて、普通とは違う
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第1部 二章【闇メン】その2 第伍話 ラッキーボーイ

14. 第伍話 ラッキーボーイ  給料を受け取った後は少し寄り道をしてから帰るようにした。 勝田台に来るのは久しぶりなのでせっかくだから駅前をウロウロしてみたかった。まだ時刻は午後6時半だ。あまり知らない土地に行くということが椎名は大好きだったので、この派遣裏メンという仕事はぴったりだった。 明日の行き先は西船橋だと言う。下車したことがない全く知らない土地だ、そういうのが一番ワクワクする。  ――翌日。  西船橋到着。駅から10分ほど歩いた先にある雀荘『ラッキーボーイ』今日の行き先はそこだった。 しばらく歩いていたら遠くに見える雑居ビルにそれらしき店の看板を発見した。知らない土地に降りて、初めて入る雀荘に上がるその階段を登る時のドキドキは麻雀打ちにしか分からないだろう。  カツン、カツン、カツンと雑居ビルの階段に革靴が響く。  重い鉄扉に小さく『ラッキーボーイ』という札がある。ここで間違いない。 ガキン! ガシャ。ギイイイイ……  かなり扉が重い。油を差したほうがいいなと思った。 「いらっしゃいませー!」「4名様ですか?」「いえ、フリーです」  このやりとりを何回したかわからない。椎名はフリー客に見えないような優しくて大人しい見た目をしているのだ。もちろん優しくて大人しいフリー客だっているが、基本的ににはそれは珍しい。 「失礼ですが当店のご利用はお久しぶりでしょうか?」「いえ、初めてです」「初めてのご利用、まことにありがとうございます。お飲み物は何かお持ちしますか?」「あ。じゃあアイスコーヒーをミルクだけでお願いします」「アイスコーヒーミルクだけで
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第1部 二章【闇メン】その3 第一話 とんでもないプレッシャー

15.ここまでのあらすじ 本物のエキスパート雀士のみが登録を許され、裏メンバー派遣業務を行うという『渡邉クリエイター派遣会社』に登録されることになった椎名。 椎名は勝田台から船橋までの千葉成京線エリアを任された。 次の行き先は西船橋『ラッキーボーイ』 そこで新たな強敵が椎名の前に現れる――【登場人物紹介】椎名良祐しいなりょうすけ主人公。礼儀正しく清潔で爽やかな青年。堅苦しい性格ではなく、場面場面での使い分けが上手いだけ。基本的には気さくな人間である。渡邉クリエイター派遣会社社員。渡邉二郎わたなべじろう椎名の勤務する『渡邉クリエイター派遣会社』を設立した社長。人を見る目があり一目でその人の人となりを見極める。麻雀はそんなに上手くはない。福島社ふくしまやしろ表の顔は喫茶店の気さくで優しい美人ウェイトレス。しかし、ひとたび卓に着くと人が変わる。知る人ぞ知る凄腕雀士。勝つためにはあまり手段を選ばない。勝利こそ正義という女性には珍しいタイプ。福島創ふくしまそう喫茶店『えにし』の二代目マスター。ヤシロの父。アイスコーヒーを美味しく淹れる名人。麻雀の腕もプロ顔負けの超一流。尾崎洋平おざきようへい勝田台周辺の雀荘で遊んでいる遊び人。毎日遊んでいるが本業は会社経営者。絞りを得意とし、下家を絞り殺すのが趣味という我慢強い打ち手。その3第一話 とんでもないプレッシャー「工藤さん、あんまり圧かけないでよね。初めての人には怖いから!」ともう1人の強面が最初に話しかけてきた強面に言う。「圧なんざかけてねえだろう。挨拶しただけだ!」その通りであったし、笑顔でもあったが工藤氏はスキンヘッドで体格もいいので、それだけでかなりの圧がある。もう1人の上家の人も強面だし。残る対面の人も猛獣のようなオーラを纏っている。 するとその時「よろしく」とニコっと挨拶した対面の顔が見えた。(あれっ?) そこには優しそうなお兄さんがいた。(おかしいな。とんでもないプレッシャーを確かに対面から感じたんだけど……) 椎名は直感力が優れている方だ。危険人物は対峙した時に分かったりする。ただ、『えにし』のウェイトレスをしているヤシロがあんなに強いとは見抜けなかったが。とにかく、対面のオーラは間違いなく肉食獣の殺意だと思ったのだが。そこにいるのは優男だった。(気のせ
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第1部 二章【闇メン】その3 第二話 最強クラス

16. 第二話 最強クラス  北家の工藤が6巡目にリーチをして来た。ドラは⑨筒。その時の椎名は西家でトップ目。しかもテンパイしていた。 椎名手牌  三四伍④⑤⑥⑦⑨22456  役無しドラ1だ。変化豊富であるし、トップ目でドラ表示牌待ちリーチをするのはリスクばかりが高くなる。ここはダマがいいだろう。すると…… 「リーチ」  工藤からのリーチが入る。 それを受けて引いてきたのは⑤筒。(どうする? 一発目だが) ちなみに工藤の捨て牌には4巡目に⑥筒がある。 ストン打⑨  椎名はしれっと⑨筒を縦に置いた。さも、当たり前でしょ。と言わんばかりの落ち着いた様子でドラを捨てる椎名。 それを見た対面の南上コテツは同巡に追いかけてきた。 「リーチ!」 打② ダゴン! と宣言牌を叩きつけるような圧迫感を感じた。怖い。(実際にはそっと置いている) そして……「ツモ!」 ビシッとツモった(ように感じた)その牌は③筒 それをアガッたのはコテツだった。(うわー同じテンパイかあ)と椎名は思ったがアガリ形を見たら唖然とした。 南上手牌③③⑤⑥⑦⑨⑨234888 ③ツモ 「リーチ一発ツモドラドラ…裏。6000オールの2枚」  宣言牌は②筒である。工藤の先制リーチもあってそこには4巡目に⑥筒が切られているということも忘れてはならない。 「ど、ど
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第1部 二章【闇メン】その3 第三話 その名はライジン

17.第三話 その名はライジン 一日の仕事を終えると渡邉さんにメールで連絡を入れた。“無事終わりました”と。すると向こうから電話がかかってきた。ブーーーッブーーーッ!!「はい、椎名です」『おう、お疲れ様。どうだ? 今日も勝ったか?』「お疲れ様です。今日はやられましたね。ちょっと強すぎる人が1人いて」『へぇ、なんて奴だ?』「えーとたしか『ナンジョウコテツ』って言ってましたね」『聞いた事ないな。どんな奴だ? 特徴とかないか?』「稲妻模様のネクタイをした優男です。パッと見はあまり強そうには見えません。しかし、明らかに技量の差で負けました」『稲妻模様のネクタイ…… それ、噂に聞く『ライジン』ってやつかもしれないな。ネットで少し前に話題になってた麻雀のオリジナル戦術をSNSで公開してる奴。そいつの思考回路がすごいって一部麻雀ファンの中では有名になってて弟子もたくさんいるって。その雀士の写真が稲妻模様のネクタイが特徴だったはずだ』「あまりない柄ですからね。同一人物の可能性はけっこうありそうです、そっかあ。強いわけだ」『今日の給料はどうする?』「負けたし、今日貰えるなら欲しいですね。明日に備えて」『そうか、じゃあ『えにし』で待ってるから取りに来てくれ。あと、交通費は細かくて面倒だからそれは月末にまとめて支払うからな。悪いが、いくらかけたかはそちらでチェックしておいてもらえるか?』「承知しました。では約30分後に『えにし』で」『おう、アイスコーヒーでいいよな。それは奢ってやるから少し話でもしようぜ』「いいですね。あ、電車きたので切りますね。それでは」『おう』プッ、ツーツーツー(しっかしとんでもないヤツもいたもんだな。おかげで昨日の儲けもすっ飛んでっちまった。ふりだしだよ。フッ…… フフッ、フフフフッ!) 椎名はこの敗戦は今までで一番楽しい麻雀だと感じていた。あんなに手も足も出ないくらいの実力差があるとは。そんなことが麻雀に起こりうるとは椎名は知らなかった。 今日の負けに椎名は麻雀の新たな可能性を見た。実力でここまで勝てるようになるゲームなのだと。それを知り麻雀が前よりもっと好きになった。「ナンジョウコテツ…… 別名『ライジン』か… ちっとも大袈裟じゃないな、あの力はまさに神クラスだ。…また会えるかな……」 自分は井の中の蛙だろうと
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第1部 二章【闇メン】その3 第四話 元プロ

18. 第四話 元プロ 「思い返してみれば工藤さんという強面の人もかなりの打ち手でした。彼だけはコテツさんに食らいついていましたね」「あー、工藤ツヨシが来てたのか。そういやアイツん家近いな。あれは元プロだ」「元プロ……」「裏プロとかじゃねえぞ? れっきとした競技麻雀プロだったんだ」「へー……。こう言ったらアレだけど、似合ってませんね」「だから辞めてるじゃねえか」「そうか」「でも、緻密で繊細な麻雀してたろ?」「ええ、見た目の豪快さに惑わされますけど工藤さんはかなり繊細な精密麻雀をしてましたね。おれとは大違いでした」「えてしてそういうもんさ、麻雀ってのは。豪快そうな奴ほど繊細で、繊細そうな奴が意外と思い切ったプレーをしたりする」「確かに、おれもそれに当てはまりますね」 ──── 「さて、それじゃあこれが今日の分だ。お疲れ様」 渡邉さんは8000円を入れた封筒をおれに差し出した。「すいません、わざわざ封筒に……。次からはハダカでいいですよ」「そうはいかない。きみというプロに失礼だろ」(そういうものか。プロ、ね) 「メールでも知らせたけど、明日の行き先は津田沼の『陽(よう)』だから、明日も頑張って」「はい!」  給料を受け取るとコーヒーをズズッと最後まで飲み干した。「ごちそうさまでした!」「おう、じゃあ明日も朝10時から夕方6時まで8時間な。頼んだぞー!」「任せてください、それでは!」「お疲れ様」「お疲れ様でした」  椎名はそう言って店を出ると津田沼周辺のメシ屋を検索した。(明日は抜けれたらなにを食べに行こうかなー。仕事上がりに行くのもいいよな)とか
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第1部 二章【闇メン】その3 第伍話 お仕置きリーチ

19. 第伍話 お仕置きリーチ  津田沼の『陽』では何度も依頼されていて椎名は既にお客さんの名前や雀風(じゃんぷう)、力量に至るまでほぼ全てを把握していた。  この日、下家は横田さん(78)上家は小野寺さん(72)という高齢者卓だった。対面は新人メンバーの上籠(うえごもり)ユキオ。  現在小野寺さんの親番で椎名が3索を捨てた。 その3索を見て横田さんは止まる。考え込んでいる。鳴くか、否か。すると。 「ポン!」  そこに明らかなジャマポンが入る。小野寺さんだ。横田さんは確かに発声してないからポンで横取りされても文句を言うことは出来ない。出来ないが、明確に悩んでいる人がいるのにその行為は優しくない。そしてツモの順番が変わった直後に椎名にテンパイが入る。 椎名手牌 切り番二四伍伍六六七七④⑤⑥⑥⑥6  三萬は既に2枚切れ。本来ならテンパイ取らず。待ちがアガれそうだとしてもダマテンでいい手だが、今回はこれをリーチ。これが椎名の持ち技の1つ『お仕置きリーチ』だ。 意地悪なジャマポンなんかした結果リーチされたら鳴いた本人も(失敗した!)と感じるし、他の2人も(いらないことするから!)という視線でブーイングをいれがちになる。 これでもしツモでも決めようものなら(次からはジャマポンはやめとこう……)という気持ちが湧くのが人間の心理というもの。 本来はルール違反でもなんでもないのに。それをやったら良い結果にならないという経験をすることでジャマポンする人が減っていき不自然なほど優しいグループになっていくのだ。 そして当然だが、不自然に優しい麻雀はカモにされるだけ。 お仕置きは平和を守るためにやるのではない。自分が勝ちやすいグループを作るために相手の思考回路すら調整する。それが仕事で麻雀をする打ち手ということなのだ
last updateПоследнее обновление : 2025-10-22
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