Все главы 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 通: Глава 21 - Глава 30

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第1部 二章【闇メン】その3 ヤシロの切り順

20. 第六話 ヤシロの切り順  今日は依頼が多い日だった。担当者の椎名だけでは足りない。そんな日は都合が合えばヤシロも闇メンをやる。天才ウェイトレス福島ヤシロの、その精度が高くて優れた麻雀は男たちを虜にした。  ヤシロの麻雀は三元牌の切り順ひとつとっても優れていた。  ヤシロは中から切り次に白、最後に発を切るという手順を基本としていた。それはなぜかとある日椎名が聞いてみると「中は人気あるから使われやすいわ。デザイン的にもザ・麻雀牌といったデザインだし名前の響きも『ちゅん』でかわいい。なので好かれてるイコール出にくい牌になりやすいと思う」「へえ……。じゃあ発と白の比較は?」「白もシンプルで人気はあるし、何より視覚的に枚数を瞬時に数えられるという違いがあるの。白が何枚切れてるかの確認は0.01秒で出来るけど発は疲れてきてると何枚切れてるか数えるのが億劫でヒョイと切ってしまった後で(あ、ションパイだった!)ということがあるわ。なので重ねて鳴きやすい牌はこの場合発になるの」「なるほどなあ」「でも、これも相手次第よ? 玄人(くろうと)気取った人とかは往々にして発が好きだったりするし。システム化しすぎて読まれるのも良くないわ。ランダムに打つ時も必要」「玄人気取った人…… ククク」いい子100%という印象のヤシロがそのような言い草をする事がなんだかとても可笑しかった。「でもね、これが対子だとまた違うわよ」「?」「例えば、白対子 発対子 ドラ対子 の所でどちらかの役牌対子を処理したいとしてどちらも1枚切れだとしたら」「さっきの理論だと発残しだったはずだけど」「そうはならないわ。今回は白残し」「どうして?」「ションパイと1枚切れはまるっきり違うの。さっきはションパイだと分からないようにしたかったから発。でも今回は1枚切れでしょ」「そうか、字牌1枚
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第1部 二章【闇メン】その4 第一話 絶妙な三味線

21. ここまでのあらすじ  派遣先で最強クラス雀士『南上コテツ』と出会う椎名。圧倒的なその技量の差に椎名は麻雀の可能性を見た。 強者に完膚なきまでに負けることで逆に今までよりもっと麻雀が好きになってきた椎名だった。   【登場人物紹介】 椎名良祐しいなりょうすけ主人公。礼儀正しく清潔で爽やかな青年。堅苦しい性格ではなく、場面場面での使い分けが上手いだけ。基本的には気さくな人間である。渡邉クリエイター派遣会社社員。 渡邉二郎わたなべじろう椎名の勤務する会社を設立した社長。人を見る目があり一目でその人の人となりを見極める。麻雀はそんなに上手くはない。 福島社ふくしまやしろ表の顔は喫茶店の気さくで優しい美人ウェイトレス。しかし、ひとたび卓に着くと人が変わる。知る人ぞ知る凄腕雀士。勝つためにはあまり手段を選ばない。勝利こそ正義という女性には珍しいタイプ。 福島創ふくしまそう喫茶店『えにし』の二代目マスター。ヤシロの父。アイスコーヒーを美味しく淹れる名人。麻雀の腕もプロ顔負けの超一流。 尾崎洋平おざきようへい勝田台周辺の雀荘で遊んでいる遊び人。毎日遊んでいるが本業は会社経営者。絞りを得意とし、下家を絞り殺すのが趣味という我慢強い打ち手。 工藤強くどうつよし元競技麻雀プロの雀ゴロ。面倒見がよくプロをやめた今でも弟子が多い。スキンヘッドで見た目は怖い。 南上虎徹なんじょうこてつ最強クラスの麻雀打ち。色々な雀荘にふらっと現れてはバカ勝ちして帰る男。ネット上で戦術を書いて無料公
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第1部 二章【闇メン】その4 第二話 胆力

22. 第二話 胆力  今日の仕事先は西船橋の『ラッキーボーイ』だ。南上コテツと初めて遭遇した店である。(今日は勝って帰るぞ)と椎名は思っていた。前回はコテツや元プロの工藤ツヨシと同卓だったため散々な成績だったから。  到着すると今日も工藤ツヨシがいた。「いらっしゃいませ! 申し訳ありませんがただ今、全入り中ですのでお掛けになってお待ちください」と元気な店員に言われた。全入りって言っても2人しか居ないのだが。2人=全てというのもキツいものがある。まあ、遅番の時間帯はそんなもんか。時刻はまだ朝8時半だ。今日の出勤指示はかなり早めだった。いつもなら10時台なのだが。 「お、兄ちゃんまた来たのか。おれもあの日以来で久しぶりに来たんだよ。奇遇だな」と工藤が言う。「また、お願いします」「おう」 「いま南2局なので少々お待ちください」とおじいちゃんオーナーが言う。良かった。今日はオーナーがちゃんと先に来てるパターンだ。当たり前なんだけど、そうじゃないとけっこう困る。ここのオーナーは日吉(ひよし)さんというおじいちゃんで丁寧な物腰や冷静な佇まいが亡き祖父によく似ていて椎名は前回来た時から密かに慕っていた。  待ち席から日吉オーナーの闘牌を眺める。 南2局親15600点持ちラス目ドラ一6巡目 日吉手牌一一一三④④④⑤⑦赤5789 (いい手だが1枚切れの⑥筒がネックだな)そう思いながら見ていた。  ──すると次巡  日吉ツモ⑥ (引いたーーー!! 赤切ってリーチ! ドラ3の親満テンパイだ!) 打赤5 
last updateПоследнее обновление : 2025-10-25
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第1部 二章【闇メン】その4 第三話 リーチ棒の出し忘れ

23.第三話 リーチ棒の出し忘れ オーナーの日吉さんが抜けて椎名の出番となる。工藤ツヨシとの再戦だ。東家 工藤南家 椎名西家 元気な従業員北家 美人という並び。 東4局まではリーチ合戦もあったが流局続きで特に大きなアガリもなく、平和に東場は終了した。 事件が起きたのは南1局。工藤がリーチをしたのだがリーチ棒を出さなかった。 椎名は1巡だけ待った後で「工藤さん、リーチ棒」と言い出してもらった。「あ。悪い」 対面の美人さんは完全にベタオリしていた。東場は愚形でも追いかけリーチをするくらい攻めていたのに。 すると椎名もテンパイした。椎名手牌二三伍六②②⑦⑧⑨2344 四ツモ ドラ5 気持ちいい部分を引いてのテンパイ! 3面張なら勝負になると考え椎名は腹をくくる。「リーチ」打4「ロッ、ロン!!」工藤手牌1112345566789 4ロン「48000」 開いたその手は超弩級!(メンピンメンチンイッツーイーペードラドラ)だった。「かっ、数え役満……!」「あぶなぁ! リーチ棒出さないからおかしいと思ったのよ! ベタオリしてなきゃ7索出てたわ」と美人さんが言う。「さすがだな、蘭(らん)。一流プロ雀士の姉なだけはある」(へえ、そうなんだ) そう、工藤はリーチ棒を出さなかった。というか、出すのを忘れていた。そこに注目しなければいけなかったのだ。元プロの工藤程の男がリーチ時に千点棒を出すという当たり前の行為を忘れるくらい気を取られていた。それは何に? ということ。半端じゃなく高い手だという予想はそれだけで出来たはずなのだ。(それなのに、おれは強い3面張だからという理由だけで2枚待ちのドラ表示牌を勝負なんてして……バカかよ。負けて当たり前だ) リベンジを決意して挑んだ一戦目は豪快に飛んだ椎名。しかし、ここから先が椎名の強い所。1回飛んだくらいでは椎名の精神力は微動だにしなかった。特に今回は対面に美人さんがいたから。 蘭と呼ばれたこの美人さんを前にした椎名はいつも以上に強く、その後は挽回。この日は最終的に勝ち越して帰るのであった。
last updateПоследнее обновление : 2025-10-26
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第1部 二章【闇メン】その4 第四話 トイトイ偽装

24.第四話 トイトイ偽装 この日の椎名の麻雀はすごかった。特に強烈だったのはこの仕掛け。 親でポンポンと仕掛けてこんな手。椎名手牌四伍11999(赤伍伍伍)(中中中)ドラは9 ポン跨ぎのいい待ちとは言え読める相手から見たら染めを警戒しそうな切りになっていたので三-六は出そうな牌ではなかった。それに加えて工藤が5巡目に六萬を捨てておりその後に字牌が出てきたことがかなり引っかかる。 六萬は5巡目くらいじゃ普通なら安全牌残してまで先に捨てるような牌じゃない。そう、例えば三三六や三三三六から捨てた先切りなんじゃないか?(でもまあツモればいいかー)で仕掛けた満貫だ。するとここで1索が打たれた。「ポン」打9 これが椎名流奥義! トイトイ偽装の追加ポンだ。 これを見たらマンズホンイツが違うことが判明しトイトイが本命になる。 中を鳴いているとは言え多分トイトイだろう。そして親の中トイトイ赤には絶対に振り込めない。それにだけは当たらない牌を探すしかないと考え工藤が選択する牌は……?打三「ロン!」「えっ?!」椎名手牌四伍11999(赤伍伍伍)(中中中) 三ロン そう、しっかり抑えていた三萬切りだ。 切り順から工藤が三萬を多めに抱えていると予想し、その工藤が降りや迂回を選択するであろう圧力を与えて、かつ読ませて誘導し本来出ない牌を引き出す。それが椎名の仕掛けだった。 韋駄天のシーナは仕掛けの天才。彼は天才仕掛け師として後の世に名を残すことになる。そして、その代名詞とも言える技がこの『トイトイ偽装の追加ポン』という技となるのであったが、この時はまだ誰も知るよしはない。 ――8時間経過。「ふう、疲れた。やっとリベンジ出来たよ」「あなたぁ、すっごく強いわねぇ♡ またやりましょうよぉ」「蘭さんでしたっけ。機会があれば。今日は楽しかったです」「私も、楽しかったわぁ。また来てねん♪ 私は神戸蘭(かんべらん)よ」「椎名良祐です」 工藤は旗色が悪くなったと見るや勝ちを溶かす前に途中で帰ったが、蘭と椎名は8時間ぶっ通しで麻雀をしていた。長いと思うかもしれないが、8時間など麻雀をしていればすぐなのだ。 工藤も倒し、蘭にも勝ち、満足いく戦績で凱旋する椎名だった。
last updateПоследнее обновление : 2025-10-27
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第1部 二章【闇メン】その4 第伍話 年齢は無意味

25. 第伍話 年齢は無意味  ブーーー、ブーーー、ブーーー、  マナーモードのケータイが椎名のポケットの中で揺れる。渡邉からの連絡だ。 「はい」『おつかれさん。どうだった今日は?』「いきなり工藤さんに数え役満振って飛びましたが最終的には勝ちました」『ほお、さすがだな。何か連絡事項はあるか?』「とくにないですね。あ、神戸さんていう綺麗な方と同卓しました。プロ雀士の姉って言ってましたけど渡邉さん知ってますか?」『おお、神戸蘭が来てたのか。あれは杜若茜(かきつばたあかね)って言う女流雀士の姉だよ。強かったろ』「強かったですね。ていうか、杜若茜…… 苗字違くないですか? リングネーム的な?」『本名だよ。既婚者だからな』「どっちがですか?」『蘭が』(終わったーー……)『なんだ椎名くん、狙ってたのか? ま、蘭は美人だからなぁ。でもかなり歳上だぞ?』「いくつですか?」『多分もう40近くになったんじゃねえかな、まだ30代後半だとは思うが』「えっ…… 見えない」(20代後半くらいかなと思ってた)『女の年齢は見た目じゃわからんよ。まあ、年齢なんて意味はないんだけどな』「意味がない?」『そうだろ? 年齢なんてのはあとどれくらい命が残ってるかとか子供は産んでも母体は平気かとかいう予想をするためのデータでしかない、それも個人差あるしな。はっきり言ってあまり知る必要ないんだよ』「それは確かにそうかも……」『俺なら、惚れたなら結局その女が何歳だとかは関係ないかもな。まあ、蘭は既婚なわけだが…… ちなみに妹の茜も蘭とそっくりの美人だから検索して見てみな』「へー。あとで見てみ
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第1部 二章【闇メン】その5 第一話 本物の強者

26. ここまでのあらすじ  ウェイトレスのヤシロ、絞りの尾崎、裏メン新田、元プロ工藤、おじいちゃんオーナー日吉、プロの姉である蘭、そして最強雀士のコテツ。行く先々で強い奴らに出会い椎名は経験を積んでいく。  強者たちの麻雀を吸収して闇メンとしてさらに強く逞しく成長していく椎名だった。  【登場人物紹介】 椎名良祐しいなりょうすけ主人公。礼儀正しく清潔で爽やかな青年。堅苦しい性格ではなく、場面場面での使い分けが上手いだけ。基本的には気さくな人間である。渡邉クリエイター派遣会社社員。 渡邉二郎わたなべじろう椎名の勤務する会社を設立した社長。人を見る目があり一目でその人の人となりを見極める。麻雀はそんなに上手くはない。 福島社ふくしまやしろ表の顔は喫茶店の気さくで優しい美人ウェイトレス。しかし、ひとたび卓に着くと人が変わる。知る人ぞ知る凄腕雀士。勝つためにはあまり手段を選ばない。勝利こそ正義という女性には珍しいタイプ。 福島創ふくしまそう喫茶店『えにし』の二代目マスターでヤシロの父。アイスコーヒーを美味しく淹れる名人。麻雀の腕もプロ顔負けの超一流。 尾崎洋平おざきようへい勝田台周辺の雀荘で遊んでいる遊び人。毎日遊んでいるが本業は会社経営者。絞りを得意とし、下家を絞り殺すのが趣味という我慢強い打ち手。 工藤強くどうつよし元競技麻雀プロの雀ゴロ。面倒見がよくプロをやめた今でも弟子が多い。スキンヘッドで見た目は怖い。 神戸蘭かんべらん麻雀プロの姉。直感力に優れた麻雀を打ち、罠に引っ
last updateПоследнее обновление : 2025-10-29
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第1部 二章【闇メン】その5 第二話 ヤシロの出番

27. 第二話 ヤシロの出番  麻雀には『アタマハネ』というルールがある。これはけっこう珍しいルールで、要するに2人同時にロンアガリは不可能という決めである。今どきは2人同時に同じ牌でアガリになれば『ダブロン(Wロン)』という形でお互いアガリになるのが一般的だが、今回依頼された津田沼の『あおい』という雀荘ではアタマハネルールを採用していた。「へえ、アタマハネを採用してる店なんて珍しいわね。椎名くんは『ラッキーボーイ』に行くでしょ? なら『あおい』は私の出番ね」とグループ通話で行き先を話し合い明日の仕事が決まった。『じゃあ、頼んだ』『よろしく、ヤシロ』「10時からよね。引き受けました」  翌日。  福島ヤシロの『あおい』初出勤だ。行く前に細かいルールを確認する。 ・ダブロンなしのアタマハネルール・鳴き祝儀あり。赤は各種5に1枚入り。・リーチ後の見逃しツモあり。・誤ロンは倒牌後チョンボ。発声のみならアガリ放棄。 (ふむふむ、誤ロンは倒してなきゃセーフなのか。優しいわね)  確認した後、場所を検索。 (駅からは少し遠いわね。国鉄の方が一応近いみたいだけど…… 場所が悪いわ。こんなとこに雀荘があると思わないし。まあ、私はバイクで行くから駅とか関係ないけど)  時刻は8時50分 (そろそろ行こうかしら、探す時間もかかるかもしれないし) 「お父さん、行ってくるね」「気をつけて行くんだぞ」「はーい」「と、その前にトイレ」「トイレはお父さんが先だ! もうギリだから!」と駆け込まれる。「えー、アタマハネなんて聞いてないわよー。んもう、私だっ
last updateПоследнее обновление : 2025-10-30
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第1部 二章【闇メン】その5 第三話 最後の麻雀

28.第三話 最後の麻雀 工藤強(くどうつよし)は狩場を探していた。今までは自宅から程よい距離にあって手頃な雀力のいわゆる『カモ』たちが多い『ラッキーボーイ』を狩場にしていたが最近は思うように稼げない。(あの小僧。あいつがいると稼ぎにならない) そう、椎名のことである。 工藤にとって椎名は目の上のタンコブ。そこにいられると困るのだ。 椎名はマナーはいいし清潔感もあるし打牌速度も申し分ないので普通のお客さんなら同卓したいと思うだろう。だが、工藤は違った。元プロの工藤にとって麻雀は本気で稼ぐためにやってる副業。職人として打っているのだから負ける予定は一切ない。しかし、そこに現れてしまった自分より強い存在。(何度か対決してみたが、あれはだめだ。あれには勝てない)と工藤は悲しいほど悟ってしまった。 椎名と打つとことごとく自分のさらに上を行かれる。しっかりとした読みをしても自分の読みのそれすら読まれているという恐ろしさ。 工藤は椎名との麻雀はやればやるだけプライドを粉砕されると感じて撤退することを決めたのだ。その判断力はさすがだった。(今日は津田沼まで遠征してみよう…… もう、椎名とは打たない方がいい。どこか場末の、絶対勝てそうな店で一度砕けたプライドを修復した方がいい) そんな思いから工藤は津田沼の『あおい』にやってきた。 あおいの入り口は雀荘には珍しい一階にある作りだった。 ラーメン屋のような暖簾があり『あおい』とだけ書いてある。窓には大きく【麻雀】の文字。ガラガラガラ「いらっしゃいませ!」「初めてなんだが、打てるかな」 麻雀職人工藤強の最後の麻雀が始まろうとしていた。◆◇◆◇ 勝田台から大和田、八千代台、実籾を通過すると大久保の線路沿いの道に出る。そこまで行けばあとは真っ直ぐブッ飛ばしてけば津田沼に到着だ。 ヤシロは赤信号にもあまり捕まらずビュンビュン風を切って進む。~~♪♪ 鼻歌が自然と出る。歌っているのは麻雀打ちならみんな知っている曲でテレビ対局のオープニングでも使われている名曲『戦場の足跡』だ。(よし、到着ね!)「……なんか、ラーメン屋さんみたいな店構えね」ガラガラガラ「いらっしゃいませ! あ、もしかして福島さん?」「あ、はい。福島社(ふくしまやしろ)です。オーナーさんでしょうか?」「はい、私がオーナーの田所
last updateПоследнее обновление : 2025-10-31
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第1部 二章【闇メン】その5 第四話 工藤の勘違い(前編)

29. 第四話 工藤の勘違い(前編)  工藤強はここなら勝てると思った。場末のおばちゃんがやってる店。店内には22~24歳くらいだろうか、若い女が1人で待ち席に座って来店待ちしてる。ここなら稼げるだろうと思ってホッとした。 もしここでも負けるようであればいよいよ引退した方がいいとすら思っていた。麻雀職人失格だと。  奥からいびきが少し聞こえる。誰か寝ているようだ。「アンター! ご新規のお客様だよー! ルール説明してー!」  「……おおっ、そうか。やあやあ、随分きれいなお嬢さん」「そっちじゃないよ! そちらはアレ……」「?……… あーー。そうか」 (アレとは?)と工藤は思ったが特に深くは考えなかった。「あ、こちらの方ね。はじめまして、店主の田所です、本日はご来店ありがとうございます。当店のルールですが……」  ──── 「……とまあこのくらいですが、ご質問等ございませんか?」「多分、大丈夫です。今流行りの天井点数はないんすね」「ああ、6万点コールドとかいうやつかい。あれはどうも好かんのよ。諦めなければドラマは起こると信じているのでね」と店主は言いニコッと笑った。  「そうしましたらこちらの卓で早速始めましょう」  田所妻が換気のために全開にしていた窓を閉めると場決め用の牌を持ってきた。 「私達はスタッフなので先に福島さんに引いてもらってその対面が工藤さんでいいですか」「かまいません」
last updateПоследнее обновление : 2025-11-01
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