30. 第伍話 工藤の勘違い(後編) 一回戦はヤシロが何回もアガってトップ。工藤はなにも出来ずラス。 続く二回戦、三回戦、お客さんが来てメンツが変わり四回戦、五回戦、工藤にも勝負手が来る時もあったがそのほとんどがヤシロによって潰された。 そして六回戦。トップ目はやはりヤシロだったが満貫ツモを決めればラス目が飛んで念願の初トップという条件が工藤に出来ていた。千載一遇のチャンス。 そんな南2局親番中の手がこれ。 工藤手牌 親番 ドラ二四赤伍六六六⑤⑥⑦34678 これを6巡目にテンパイしてリーチしていた。トップ目のヤシロとは15000点差なのでツモれば逆転だ。ラス目は北家で1200点。するとラス目から5索が打たれてしまう。 瞬間、身体がピクッと反応してしまったが(いや、見逃しでいい。ツモればトップなんだ。焦らずとも三着目とだってそう簡単には逆転されないだけの点差があるし。何よりこの待ちはまだまだ山にある!)と言い聞かせてこれをスルー…… が! なんとヤシロの両手が動いている! 「ロ…「ロン!」 ヤシロが和了るなら見逃しの意味がない。それなら12000と祝儀1枚貰っての二着がいいから咄嗟にロンをかける工藤。 「あらー、アタマハネかあ」「へへ、悪いねお嬢さん。トップはおたくだからいいだろ」「もちろんいいわ」 アガっておきながら次の自分のツモが気になる工藤。2-5索は山にゴッソリいる読みなのだ、ここで上家が放銃さえしなければあるいは―― 2索 次をめくるとそこにいた次のツモは2索だった。
Последнее обновление : 2025-11-02 Читайте больше