All Chapters of 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 通: Chapter 121 - Chapter 130

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第1部 四章【スノウドロップ】その4 第六話 ハッピー・バースデー

120. 第六話 ハッピー・バースデー  ミサトはすぐに隣町に到着した。  思っていたよりも隣町は近かった。というか、隣も合わせてここら一帯はひとつの都市のようだった。東京都豊島区と板橋区みたいな。ちょっと都心から離れると民家しかなくなるが道は歩きやすいように整っているし、行き来する人も多い。 道はいくつもありその全ての先に看板があった。おそらく、世田谷区や港区といった具合の別の都市に繋がるのだろう。 「ねえ、もしかしてここら一帯はどっちに行っても都市なんじゃない。なのになんで『エル』さんが、さっきの所に来るって思ったの?」 「あー、あそこはエルの故郷だから。もうだいぶ前だけど、あの土地で生まれ育ったからね。来るならそこかなと思って張ってたんだけど、読みが外れたね。で、あそこに来ないならここかなって所が今から行くとこってわけ」 「なるほどね」  旧首都を探索するミサトたち。 「しかし異世界生活も慣れてきたわね。今日でもう1カ月くらいになったんじゃない?」「今日でちょうど30日経ったよ。1カ月というのはチキュウの単位だろ? この世界にはその数え方はないけど日数ならわかる」  へえ、1カ月とかないんだ。と思いながらふと目の前にある花屋が目に入る。 「きれー。地球にも似たような花があるけど同じものなのかな」「そう言えば転移する時も車内に黄色い花がありましたね」 「えっ、そうだっけ? ……ああ、あれは前日にお客さんからもらったもので……。あれ、待って、その次の日から30日経ったってことは! あっ、今日じゃん!」 「何が?」 「ユキ
last updateLast Updated : 2026-01-13
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第1部 四章【スノウドロップ】その4 第七話 きっと私のために

121. 第七話 きっと私のために  その頃、スノウとエルは巨大都市を散策していた。「これは、ずいぶん栄えてるのね。大きな建物こそ少ないけど、お店の数がすごい」「ハーー……。実は私も久しぶりに来たんですけど、こんなにも大都会になってるとは……。私が住んでいた頃はこんなにキラキラしてませんでしたヨ」「そうなんだ」「まあ、もう私がここを離れて10000日くらい経ちましたし……。変わってて当たり前なんですけどネ」「ざっと30年前ってこと? そりゃ変わるでしょ。それよりここはなんて街なの?」「なんて街とはどういった質問でしょうカ」「え、だからさ。この街の名前。エルは巨大都市としか言わないし……」「あ、トウキョウとかオオサカとかってことですか。そういうのはないですネ。私は『真ん中』って呼んでマス」「都市名なし?」「私がチキュウで驚いたコトのひとつが名前とか区切りの多さです。マージでは名付ける必要性がないと思うものには名前はついてマセン」  都市名くらいついてる方が便利そうだけどな、とスノウは思ったがないならないで大丈夫なのかなと文化の違いを感じていた。 「そう言えばさ、たまに讃美歌を弾いてる人とかいたけど、この星の神様ってエルよねぇ。エルって讃美されたりしてんの?」「え、まさかあ〜。マージにはシュウキョウなんかありませんヨ。あの歌はいい曲だから人気あるダケ。お祭りの日とかによく誰か弾いたり歌ったりしてますネ」「宗教なしか、いいね。あれは人類が作った発明で一番人殺しの原因になったから」「チキュウ人ほどの知的生命体でも間違いはあるんですネ」「それはそうよ」  商店街を歩いていると街を行き来する行商人が歌を歌っていた。&nb
last updateLast Updated : 2026-01-14
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第1部 四章【スノウドロップ】その4 第八話 サイ効率

122. 第八話 サイ効率 「スノウ、どうします? すぐ出発しますか? 歩きならいいですケド」 「さっき食べたばかりだもんねえ」 「そうなんです。魔力質だけ補給する食べ物とかは無いので瞬間移動でお腹はすいたけど、ここで食べたら食べ過ぎになっちゃうんですよネ」  せっかく来た巨大都市だし、ここはエルの故郷でもあるということなので今日は街を一日探索して私達はこの街に泊まることにした。   探索した結果分かったことは、ここには間違いなくミサトがいたということ。なぜかって、街中でサイコロ麻雀をしてる人たちがいたし、何よりあの麻雀小説の載ってる薄い冊子のようなものを持っている人がけっこういたから。 「そう言えばさ、この世界には掲示板ってあるのかな」  私は考えた。麻雀普及のためのホームページ制作とかしたいけどそもそもネットがないならどうするか。その答えは『壁新聞』。 掲示板さえあればそこに壁新聞を貼ることができる。それを使って麻雀の普及をすることが可能ではないだろうか。 「掲示板はありますよ。都会にはけっこうよくあります。何か貼るなら役人に申請が必要ですガ」 「じゃあ今から書くものを貼って欲しいの」  この都市ではすでにサイコロ麻雀は普及しているようだったので私はサイコロ麻雀の何待ち問題や何切る問題。いわゆる『牌効率』の問題を5問ほど作り、掲示板に貼ってもらうことにした。 問一1222はなに待ち? 問二4555はなに待ち? 問三1225という目が出た場合交換すべき目はどれ? 
last updateLast Updated : 2026-01-15
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第1部 四章【スノウドロップ】その4 第九話 オマツリ

123. 第九話 オマツリ  私が掲示板に貼った壁新聞はあっという間に話題になった。 ミサトのおかげでサイコロ麻雀がいまこの都市で大流行しているからか、この壁新聞を書いたのが私とエルであると知った人が何人も私達の所に押し寄せてくることになったのだ。 「エルさんの新しい相棒さんかい。エルさん、リス仙人はどうしたんだ? まあ、彼は基本的にリスだから相棒としては物足りないもんなあ」 「あの問題の答えはなんなんだ? 自分なりに考えてきたんだけど答え合わせさせてもらえないか?」 「ていうか、あの絵もスノウさんが描いたんだって? 上手だなー。うちの看板にも絵を描いてくれないか!」  「エル、どうする?」 「ま、南の都市に行ったってことは次の行き先はほぼ1箇所に絞られるので急いで追っかけなくてもいいでショウ。行き先が分かってるならいつでも瞬間移動で追い付けますからネ」 「そうなんだ。なら、今はここで仕事をしていこうかな。麻雀普及もそうだけど、この世界に娯楽の時間をってのがそもそもの使命なんでしょ? なら、今がまさにその時間でもあるものね」  ということでこの日は出した問題の答え合わせをすることになった。  「じゃあ、エル。問一の答えを皆さんに教えて下さい」 「えっ、私ですか。問一、1222ね。これは、1.3待ちです。1.222と区切ると1待ちですけど12.22と区切れば3待ちになる手ですネ」 「大正解! では、問二は── 誰かに答えてもらおうかな……。出来るひと手を挙げてください」  すると何名かが挙手してきた。 
last updateLast Updated : 2026-01-15
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第1部 四章【スノウドロップ】その4 第十話 いらっしゃいませ

124. 第十話 いらっしゃいませ 「エル、ヨシエさんってどういう人なの?」「あー、踊りが上手な人っていうことでここに呼んだノ。アナタと同じで、マージを楽しい星にしたくて当時の担当者だった私の父が選んで連れてきた人ヨ。たまにやるのよねそういう事。もっと前にはタテモノを頑丈に作りたくて日本の建築家を連れて来たり、ヨシエの希望で花火職人を連れてきたりもしたわ。ヨシエはね、ちょうどトラック事故で死んじゃったって聞いて、ならそのタイミングで転生ダ! ってネ」 (トラック事故で転生って本当にあるんだ。なんだかライトノベルのセオリー通りね) 「エルのお父さんも神様やってたんですね。継いだ感じ? 仲良しなのかな」「いいえ、父とは不仲でした。父は背が高くて高圧的で、たまに暴力も振るうし、子供だった私は怖かったカナ。みんなにはいい顔して人気者だったけど、私には怖い人だったわ。だから今でも大きな人が苦手ナノ……」 (なるほど、だから私をクリポン族の姿のままにしてたのか)  人間姿のスノウは身長169cmである。エルから見たらだいぶ大きい。それが父親を連想して嫌だったんだという事をこの時知った。 「……ところでさ。ヨシエさんは今何歳くらいなの?」「ナンサイ? そういった概念はないのでなんとも。ネンレイっていうんでしたっけ。それって何日で+1されるのかイマイチ覚えられないんですよね。チキュウに行った時調べたつもりなんですけど、ちょっと覚えられませんでシタ」 たしかに、言われてみればややこしすぎるかも知れない。1年は365日で4年に1度は366日となるとか。文化の違う異世界人から見たら覚えられなくても不思議ではない。 「えーっとですね、ざっと350日で+1だと思ってくれていいです」「700で+2で、1050で+3デスカ。と
last updateLast Updated : 2026-01-16
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第1部 四章【スノウドロップ】その4 第十一話 転生者

125.第十一話 転生者 ご飯を食べようと思って定食屋に入ったら友達が働いていた。そんな事ある? ここ、異世界なんですけど。「カオリ、なんでいるの? えっ、どうして?」「あらー、カオリの友達かしら。こんな所で会えるなんて信じられない偶然ね!」「えっ?」「私は財前ヨシエ。カオリの祖母です。一回死んで若返ったんだけど、そんなに孫とそっくりかしら」「えーーーー!!」 言われてみればカオリより少し背が低いかもしれない。いやでも、あまりにもそっくりだ。「なに? ヨシエさんはスノウの友達のおばあさまだったの? そんな偶然ってあるんだネ」「うん、驚いた。あっ、はじめまして。飯田雪と申します。この世界では『スノウ』と名乗っています。私のことはスノウと呼んでください」「スノウさんはじめまして。私は財前よし江。この世界に転生してきた元巫女です。今はここ、定食屋で働いてます」 スノウはなぜここに来たのか、どうしてこうなったのか、ここまでの経緯をヨシエに話した。「へえー、なるほど、あなたはまだ生きてるのね。なら早く帰った方がいいんじゃない? 心配してる人もいるでしょう」「まあ、使命を果たしたら帰してもらうつもりですけど、とりあえず今はやるべきことをやりたいと思ってます。都合の良いことに私は孤児院出身の現在は旅人です。心配はかけてないと思うので」「ふふふ、異世界まで旅に来るとは。面白い人生ね。ところで、麻雀を教えに来たってことだけど。それなら私もお手伝いできるわよ」「えっ、本当ですか!」「私は高校時代は麻雀部だったの。先生に無理言って作ってもらってね。懐かしいわ、青龍滝高校麻雀部」「青龍滝高校! そこ、よく知ってます!」「本当!? あなたとはなにかと縁があるわねえ~」 その高校はミサトとの旅で麻雀講師をしに行った麻雀部のある高校だった。
last updateLast Updated : 2026-01-18
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第1部 四章【スノウドロップ】その5 第一話 辛いのは苦手です

126. ここまでのあらすじ  スノウたちはミサトを探す手掛かりを見つけ移動を開始する。しかしそこにミサトがいた形跡はあるが旅立った後であった。 さらに調べた結果、ミサトの行き先を特定したスノウたち。ひとまず食事にしようと定食屋に入ってみたところ財前カオリの祖母に出会う。  【登場人物紹介】 飯田雪(スノウ)いいだゆき主人公。井川ミサトと旅をしている最中に気付けば異世界へと飛ばされていた。本作品内ではスノウと名乗る。 井川美沙都いがわみさと飯田雪の親友で麻雀の師匠。異世界に飛ばされてしまった。頼れるリスを相棒にしてユキを探す旅に出る。 エル異世界の神様。世界をもっと良くするために麻雀の伝道師となる人物を地球から連れてきた。 キュキュ異世界の仙人。知識豊富で使える魔法も多い少年。だが魔力を使い過ぎるとたちまち少年からリスになってしまうという欠点がある。ミサトの肩に乗りながら旅に同行する。 財前よし江ざいぜんよしえマージに転生した地球の巫女。麻雀が好きで高校生の頃は麻雀部だった。      その5第一話 辛いのは苦手です 「しかし青龍滝高校麻雀部がまだあったとは驚きだわぁ。私と早乙女(そおとめ)くんが麻雀をしたかったから作っただけのものだったのに」「去年は学生大会で大学生を相手に準優勝しましたよ。あれ、待って。早乙女くんってなんか聞いたような名前……。あれ、もしかする
last updateLast Updated : 2026-01-18
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第1部 四章【スノウドロップ】その5 第二話 魔法律

127. 第二話 魔法律  ヨシエさんはその後、お店には事情を話してしばらく休暇をもらうことにした。 「あの、今後付き合ってもらえるのは助かるのでコチラとしてはありがたい話ですけど、お店のほうはいいんですか?」 「大丈夫よ。最近は新しい人も増えて私は休みたい時に休めるようになってたから。タイミングが良かったわ」「いい職場ですね」「そうかもね」  なんて素晴らしい労働環境だろうと感心した。私が働いていた所なんて私が辞めるまでに私に代わる新しい人は一切入ってこなかったけどな。  私はかつてメイド喫茶の裏方事務という誰でもやれそうで、それでいて能力によって仕事速度がまるで違う仕事をやっていた。地味で地道な仕事だが、それが私には向いていた。 しかし、この仕事は向きすぎていて私が有能すぎたばっかりに『辞めたい』という話をしても『人が足りるようになったらね』と言って引っ張りに引っ張られ、他店閉店の際に裏方の人材を譲ってもらってやっと後釜が作れたのでそのタイミングでミサトと一緒に辞めて旅に出たのである。 「ところで私たちが食べた定食のサラダの容器。あれ、軽いのに硬くて丈夫そうだし、デザインも可愛いよね。神様のエルなら魔法でポンと作れるよね? あとでサイコロ麻雀用にひとつどうかな」 「あ、スノウ。そういうのは生成できないヨ」 「生成出来ない? そんなことがあるの?」 「ヨシエさん、あの容器は隣の街から買った名産品ですヨネ?」 「そうです。少し高くついたけどデザインに一目惚れしてね。店長の許可をもらってまとめ買いしたの」 「そういうものは生成魔法で作ったら職人さんに迷惑かけるでしょう。なので、[誰かの仕事を大きく奪う可能性のある魔法の使
last updateLast Updated : 2026-01-18
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第1部 四章【スノウドロップ】その5 第三話 出会って即対決

128. 第三話 出会って即対決  その頃ミサトは麻雀がしたくてしたくて限界が来ていた。 「そろそろ麻雀がしたいわね」「麻雀がしたいって言っても道具がないじゃん」「作ったわよ。もう一通りは揃えたの」「えっ! いつの間に」  毎日何度も魔法力が底つくまで使って気絶するまで牌を作ってを繰り返しているうちにミサトの魔法ゲージはかなりレベルアップして日に10回以上の魔法が使えるようになっていた。だが……。 「これは……なに?」「これはイーソーといって、麻雀の神様よ」「なんか、ぐしゃぐしゃだね」「う、私のイメージだとこうなのよ」  ミサトは絵心がない。索子の1(イーソー)のデザインは本来なら鳳凰だが、ミサトのこれはどう見ても鳳凰ではない。よく言ってもニワトリだ。いや、ニワトリだとしても不細工すぎる。 「まあいいか。それより、これでやっと遊べるね! ルールは把握してるつもりだけど、けっこう細かいルールだったよね。もう一度1から学び直したいな」「実をいうと、今日はハナからそのつもりだったわ。それで、出来る仲間をあと2人増やして麻雀がしたいと思ってたの」「サイコロ麻雀の大会でも開いて上手いなと思った2人を選出するとかー」  と、話していたそのとき、ブゥン! と空間が歪み穴があいた。そこから人が出てくる。 「おっととと」「すいませーん」 「びっくりした、瞬間移動は出た時に人にぶつかることがあるから。それだけは危険なのよね」 「……あっ、ミサト!」「ユキなの?」「そうだよ
last updateLast Updated : 2026-01-19
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第1部 四章【スノウドロップ】その5 第四話 バースデー麻雀大会

129. 第四話 バースデー麻雀大会  公園というか広場というか、ちょっと子供が遊ぶための場所とあずまやがある。そんな所がこの世界には多かった。そしてこの公園。このテーブル。なんて都合がいい大きさだろう。麻雀マットがピッタリだ。 ただ、椅子は2箇所に長椅子があるだけなので(立ち麻雀とか初めてだな)とか思っていたらミサトが「キュキュ。ユキのリュック。あれ椅子にできないかな」と言い出した。「あ、魔法でってこと? できるできる。硬質化魔法あるよ。でもそれはエルに頼んで。僕は出来ないから。エルなら硬質化できるし解除も簡単なはず。ね、エル」「うん、ていうか『キュキュ』って呼ばれてるんだ。いい名前をもらったネ」「いいだろ。気に入ってるんだ」「良かったネ。で、硬質化魔法ね。丁度もう一発くらい魔法使ったほうがいいなと思ってたんだ。食べ過ぎたカラ(さっき魔力たっぷり定食をスノウのぶんも貰ったから魔力太りしている)」  そう言ってエルは私のリュックに魔法をかけた。するとリュックがみるみる四角くなり固まった。 私はそれに座ることにしたがクリポンである私にはそれでも高さが足りなかったのでリュックの上で正座した。 「ミサトの分の椅子は?」「私はいいわよ。空気椅子でやるわ」(そう言うと思った)  ミサトはなにかと身体を鍛えるアスリート気質の女子でなので、多分立ったままやるか空気椅子だと言い出すだろうなと思ってはいた。予想通りだ。 「あ、ユキ! そう言えば」「なに?」「誕生日おめでとう」「ありがとう。やっぱり覚えててくれたんだ」「当然よ。よーし、それじゃあ今日はユキのバースデー麻雀大会ね。久しぶりの麻雀だ。倒れるまでやるぞー!」「空気椅子だもんね。疲れたら場所替え申請していいからね」  まだ正式な
last updateLast Updated : 2026-01-21
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