「行くならお前が行け」言い捨てて、彰人は足も止めずに個室へ向かった。陸は肩をすくめ、追いかけた。「元彼のお前が放置するなら、赤の他人の俺が関わるわけないわな」ドアが閉まり、喧騒が遮断された。陸はネクタイを緩め、酒を注ぎながら好奇心を抑えきれずに聞いた。「なあ、朝霧静奈は何を企んでるんだ?リリーに朝霧良平との親密写真を送らせて、偽の妊娠診断書まで作らせて、急に任務完了って。数日経つのに何の動きもない。一体どんな爆弾を落とす気だ?」彰人はグラスを揺らし、深く考え込んだ。自分も考えていた。単に良平を失脚させるだけなら、朝霧家はすでに破産申請し、美咲の不貞で良平の顔も潰れている。これ以上恥をかかせる必要はない。だが……彰人の目が光った。静奈の狙いは、単なる名誉失墜ではないのかもしれない。彼女が仕掛けた罠は、想像以上に深いのかもしれない。その時、外で激しい怒声とガラスが割れる音がした。陸は眉をひそめ、部下を呼んだ。「何事だ?」「オーナー、酔っ払いがロビーで暴れてます。止められません」「俺の店で暴れるとはいい度胸だ」陸は鼻で笑い、立ち上がった。「彰人、座ってろ。片付けてくる」出て行くと、良平がウェーターの襟を掴んで怒鳴り散らしていた。「リリーはどこだ!出せ!数日前から消えやがって、電話も出ない!どこに隠した!また他の客に売ったのか!」ウェーターは困惑して説明していた。「お客様、何度も申し上げましたように、リリーは退職しました……」「嘘つけ!」良平はウェーターを突き飛ばし、VIPエリアへ向かおうとした。「中に隠してるんだろ!探させろ!」良平は陸にぶつかりそうになり、警備員に止められた。マネージャーが説明する。「オーナー、このお客様がリリーを探せと一点張りで……辞めたと言っても聞かないんです」良平は酔眼で陸を見定め、腕を掴んだ。「お前、オーナーか?リリーの居場所を知ってるだろ!あいつは俺の息子を身籠ってるんだ!俺の種だぞ!」陸はさりげなく腕を外し、営業スマイルを浮かべた。「スタッフの言う通り、リリーは退職した。どこへ行ったかは……」言いながら袖を払う。「元雇用主として、従業員のプライベートまで把握する必要はない」「嘘だ!隠してるに決
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