一方で、当初一緒に同じチームに配属されたもう一人の実習生である賢人は、厳しい環境に耐えきれず、とうの昔に途中リタイアしてしまっていた。遥が手にしたこの成果は、彼女自身の不屈の努力と献身によって勝ち取ったものであり、文句なしに彼女が受けるべき正当な報酬だったのだ。しかし遥は頑なに首を横に振り、真剣な口調で言った。「違うんです、静奈さん。静奈さんのそばで働いたこの一年弱で、私は本当にたくさんのことを教えてもらいました」彼女には痛いほどよく分かっていた。静奈はずっと密かに彼女の面倒を見てくれていた。重要な総括レポートを提出する際、静奈は必ず遥の名前も目立つように記載し、上層部に彼女の顔と名前を売る機会を与えてくれていたのだ。学術界という世界では、指導者が学生や部下の成果を横取りして自分の手柄にしてしまうことは珍しくない。しかし静奈は全く逆で、いつも裏からこっそりと彼女の背中を押し、トップクラスの研究機関の目に留まるよう取り計らってくれていた。この恩を、遥は一生忘れるつもりはなかった。「とにかく、私が今こうしていられるのは、全部静奈さんのおかげなんです」静奈は彼女のその真っ直ぐで真摯な瞳を見つめ、心がポカポカと温かくなるのを感じた。彼女は手を伸ばし、遥の頭を優しく撫でた。「もう、大げさね。あっちのエリアも見たいって言ってたでしょ?行くわよ」遥に付き合ってヨガに通ったりショッピングをしたりする以外にも、静奈は自分と謙の「愛の巣」の空間づくりにより多くの心を砕くようになっていた。彼女は生花を買ってきては丁寧に枝葉を整え、美しい花瓶に活けた。リビングのローテーブルの上や寝室の窓辺など、部屋の至る所に生き生きとした生命力と優しい彩りが添えられるようになった。さらに少しずつインテリアやファブリックを買い足し、少しずつ、確実に、二人の家を温かく居心地の良い空間へと作り変えていった。謙が毎日仕事を終えて家に帰り、玄関のドアを開けた瞬間、いつも美味しそうな手料理の香りが鼻をくすぐる。彼女はエプロン姿でフライパンのフライ返しを握ったままキッチンから顔を出し、満面の笑みで「手洗ってきてね、もうすぐご飯よ」と彼を迎えてくれる。その瞬間、彼は本当に「自分は夢を見ているのではないか」という錯覚に陥るのだった。俺の静奈は、まさに「
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