瞳真を甘やかしすぎて、わがままで冷淡な、他人の痛みに共感できない子に育ててしまったのは、まぎれもなく母親である自分の責任だ。それに引き換え、パンパンは両親から素晴らしい教育を受けている。翔吾の奥様は、きっととても優秀で賢明な女性だったに違いない。同じ母親として、自分は足元にも及ばない。「それからね、彩葉さん、こっそり教えますけど……」万里が小さな手で招き寄せると、彩葉は長い睫毛を瞬かせ、身を乗り出して耳を傾けた。「パパはね、今でもママが使っていたヘアゴムを左手首に巻いていて、お風呂の時も外したくないんです。パパは、このヘアゴムを見るたびにママを思い出すって言ってました。これでもパパが一途じゃない、良い男じゃないって言えますか?」それを聞いた彩葉の喉が詰まり、胸の奥が重苦しく、ほろ苦い痛みが広がった。二人目の子供を失う前、たとえ五年間の冷え切った結婚生活の中でも、彼女は常に渇望していた。いつか蒼真が自分を顧みて、守り、心を動かしてくれる日が来ることを。だが、その願いの果てに待っていたのは、彼への愛が燃え尽きた灰だけだった。彩葉の今の絹糸のような漆黒の長髪は、実は蒼真と婚約してから、少しずつ伸ばし始めたものだ。ただ自分に女性らしさを加え、蒼真とウェディングフォトを撮る時、彼と釣り合う美しい花嫁になりたいという一心だけで。五年前、ようやく髪を伸ばし終えた彼女は、たった一人でスタジオの化粧室に座り、夜が明けてから日が暮れるまで待ち続けた。そして最終的に得られたのは、蒼真からの冷たい電話一本だけだった。「雫の持病が再発した。今、病院で治療に付き添っている。手が離せない。ウェディングフォトは延期だ」「パンパン、実はね、氷室おじさんも一途な人なのよ」彩葉はゆっくりと手を上げ、男の子の柔らかな頬を愛おしげに撫でながら、瞳の奥の感情を押し殺した。ただ、彼が一途に愛している相手は、私ではないというだけのこと。……一方、氷室家の邸宅・ブリリアージュ潮見――蒼真は全身に理性を失った猛獣のような怒気を纏い、瞳真の小さな腕を鷲掴みにすると、使用人たちの視線も憚らず、息子をほとんど引きずるようにして強引に二階へと連れていった。「ううっ!パパ!痛いよ……やめて!」瞳真はよろめきながら、泣き叫んだ。蒼真は
Read more