執事は頭を下げて答えた。「旦那さま、ご安心ください。お爺様のお加減は安定しております」宗也が屋敷に入ると、二階から微かに悠人の声が聞こえてきた。宗也は顔を上げ、二階を見上げた。「悠人は本家にいるのか?」「はい、旦那さま。夏川さんがご一緒で、悠人さまとゲームをしています」「美咲が来ているのか?」「はい」「音は?」宗也は驚きを隠せなかった。音は、悠人が危ないところによじ登った件は美咲に嵌められたせいだと信じ込んでおり、美咲を悠人に近づけることを頑なに拒んでいたはずだ。それなのに、悠人と美咲を会わせるなどあり得ない。「奥さまは……いらっしゃいません」執事は言葉を濁し、タイミングよく話題を変えた。「旦那さま、お爺様が先ほど目を覚まされました。すぐにお休みになってしまうかもしれませんので、お顔を見せて差し上げてください」「分かった」宗也は二階へと上がった。当主は目を覚ましてはいたが、顔色がすぐれず、ベッドに寄りかかったまま口数も少なかった。宗也は新しいプロジェクトの進捗を報告したが、当主が上の空なのを見て、早々に話を切り上げた。当主が眠りにつくのを見届けてから、宗也は寝室を出て悠人の部屋へと向かった。部屋の中では、美咲が悠人と積み木遊びをしていた。二人はカーペットの上に座り、真剣に遊んでいる。美咲は笑みを浮かべ、優しく悠人に積み木の形を教えていた。悠人も楽しそうだ。ニコニコしながら積み木を持ち上げ、美咲に渡して組み立ててもらっている。「悠人くんはすごいわね。このワンちゃんはどこに置けばいいか分かるかな?」美咲の誘導で、悠人はすぐに正しい場所を見つけた。美咲は嬉しそうに手を叩いた。「わあ、やっぱり悠人くんは天才ね!」「宗也、どうして入らないの?」背後から雅代の声がした。宗也が振り返ると、いつの間にか雅代が立っていた。部屋の中の二人も声に気づき、同時に振り返った。悠人は宗也を見て、嬉しそうに駆け寄ってきた。「パパ!悠人、パパがいい!」宗也は屈み込んで悠人を抱き上げ、笑顔で尋ねた。「どうしてここにいるんだ?ママは?」悠人は首を横に振った。そして部屋の中の美咲を指差した。「美咲ママ……」悠人は宗也に、美咲ママがここにいるよ、と
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