「そう、彼女は心彩ちゃん。新しくできた友達で、私のコンテスト作品のモデルなの」 音は言い終えると、心彩に向かって紹介した。「この人はこの家の主人よ。心彩ちゃん、藤堂さんと呼べばいいわ」 心彩は、目の前のこの並外れた美男子が一体誰なのか、ピンときていないようだった。 二人の顔を交互に見比べる。 宗也は音をちらりと見やり、至って真面目な顔で自己紹介した。「俺は音の夫だ。音を『お姉さん』と呼ぶなら、俺のことは『お義兄さん』と呼べばいい」 お、お義兄さん…… 音は危うく自分の唾でむせ返りそうになり、激しく咳き込んだ。 「何か問題でもあるのか?」 「ううん、何でもないわ」 音は慌てて手元のグラスを取り、水を一口飲んだ。 心彩はここでようやく事態を飲み込み、床から立ち上がると、目を輝かせて宗也を見つめ、はしゃいだ声を上げた。「わあ!音お姉さんの旦那さんだったんですね?すっごくかっこいい!うちの学校で一番かっこいい男子よりもずっとかっこいいです。お姉さん、こんな素敵な人と結婚できるなんて幸せですね!」 「心彩ちゃん!」 音は慌てて彼女を自分のそばへ引き戻し、座らせた。 宗也は日頃から容姿を褒められ慣れている。 とうの昔に慣れっこだった。 彼は音を見つめ、淡々とした口調で言った。「そうか?だが、お前の音お姉さんはそうは思っていないようだが」 「音お姉さんはそう思わないの?」 心彩は不思議そうに音に尋ねた。 音は誤魔化すように咳払いをして、彼女の頭を撫でた。「心彩ちゃんはまだ小さいから分からないのよ。かっこいい人が必ずしもいい人とは限らないわ。とんでもないクズ男かもしれないんだから」 「でも、お義兄さんはそんな風に見えないよ」 「会ったこともないのに、どうして分かるの?」 「だって、お義兄さんが手に持ってるクマのぬいぐるみを見て。あれ、人気ブランドの新作だよ。うちのクラスの女の子たちも、みんな欲しがってるけど買えないんだから」 音はここで初めて、宗也が人気ブランドの紙袋を手に提げていることに気づいた。 彼が自分にぬいぐるみをプレゼントしてくれたことなど、今まで一度もなかった。 十中八九、悠人のために買ったのだろう。 「あっ、私、そろそろ帰らなきゃ」 心彩は空気を
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