音は気が済むまで彼の寝顔を堪能してから、ようやくベッドを出て朝食の支度をした。作り終えても宗也が降りてこないので、清美に悠人と先に食べてもらうよう頼み、自分は二階へ上がった。寝室に入ると、宗也はもう目を覚ましていて、ヘッドボードにもたれて煙草をくゆらせていた。音は眉をひそめ、つかつかと歩み寄って彼の指から煙草を抜き取り、灰皿に押しつけて消した。「ベッドで煙草は禁止」宗也が彼女を見る。「俺に指図するのか」「昨日、私がやっと連れ戻したばかりの夫でしょう?指図して何が悪いの。それに煙草は体に毒よ。私、まだ若くして未亡人になるつもりはないの」宗也が片眉を上げた。「じゃあ昨夜、俺をお前の家に連れ帰ったのか」「私の家じゃなくて、私たちの家よ」音はわざと余裕たっぷりに彼の顎をつまみ、端正な顔を右へ左へ眺め回した。「とぼけないでよ。昨夜、浴室からベッドまで散々好き放題してた時、完全にシラフだったでしょう」「お前が誘ったんだろう」「そうよ、私が誘ったの。で、このまま、もう一度ちゃんと私の夫になる気はある?」「ない」「残念。もう手遅れよ」音はくるりと身を翻して彼の上にまたがり、両腕で彼の首にしがみついた。「昨夜あなたが言ったのよ。私が十分に積極的なら、もう一度一緒にやり直してくれるって」宗也は体をわずかに引き、目を細めて彼女を値踏みした。「いつからそんなに大胆になった」「あなたに鍛えられたのよ」音は身を乗り出し、唇の端にちょんとキスを落とした。「朝ごはん、できてるわよ。食べる?」朝食と聞いた途端、宗也は急に空腹を自覚した。ご丁寧に、腹の虫までぐうっと鳴った。音はその腹のあたりに目を落とし、にんまり笑った。「ねえ、私がこれだけ頑張ってご機嫌取ってるんだから、そろそろ許してくれてもいいんじゃない?」「どこが頑張ってるんだ。昨夜、一番頑張ったのは俺の方だろう」「あら、ちゃんと覚えてるんじゃない」音が笑って眉を上げた。「さっきまで覚えてないふりしてたくせに」「……」宗也の唇がぴくりと引きつった。何か言い返そうとした瞬間、音がぽんっと軽く頬を叩いた。「強がりなのはわかってるから。ほら、起きて。ごはん」ベッドを降り、浴室に入って歯ブラシに歯磨き粉を乗せ、タ
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