魔物たちの住む古城では、強力な部下を立て続けに失った事でいくぶん動揺していた。 ヘドロスライムは不在であった。「ガルガル…あのスライムはどこに行ったのだ」 獅子の魔物は苛立ちを隠さずに聞いた。「彼女は人間たちに恐れをなして逃げたんじゃないかな、バルガもいないし」 黄金の騎士が答える。 老いた魔導師は祭壇を仰ぎ、呪文を唱えて儀式を行っている。「おい。お父様はいつになったら復活なさるんだ?」 騎士がぶっきらぼうに声をかけると、魔導師は儀式を中断した。「魔物たちの絶対量が不足してきている」 探るような目つきで騎士が呟く。「あと少しだ。しかしまだ天使の血が足りぬ」 魔導師が答えると獅子の魔物が割って入った。「今度はオレが一人で行くグルル」「そうだね、あの半天使の実力は分かった。魔導師くんには悪いが、キミがカタをつけてもいいだろう」 騎士の言葉に魔導師がピクっと反応する。「まったく、天使どももその辺を歩いてりゃもっと楽なんだがな。ガルッ」 獅子がそうぼやき、騎士がハハハと笑う。(いよいよか…) 魔導師は一点を見つめたまま何も語らなかった。◆ セーラたちはレムリア城の城下街に来ていた。 この街には空飛ぶ装置の研究をしているトムという男がいるらしい。 四人はその男を訪ねてみた。 トムはセーラたちを歓迎し、熱気球の説明をしてくれた。「こう、ろうそくの火の上に紙の袋をかぶせるだろ。すると袋が上へ飛んでいくんだ。この原理を応用して気球を作ろうと思うんだけど、こいつには欠点があってね。紙や布は燃えやすいから危ないんだ。ああ、どこかに燃えなくて軽い布はないものか」 燃えない布と聞いてマリアは水の羽衣を思い出した。 あれの布地を使えば気球が作れるのではないかと思ったのである。 しかし布地がどこで入手できるのかはわからなかった。 四人は気球製作を手伝うべく、調べてみることにした。 とりあえず織物の村ロマーナに行ってみる。 村の人に尋ねると、水の羽衣はエルフの里でしか入手できないとのことであった。 しかし村の人もエルフの里がどこにあるのかはわからなかった。 一行が出かけようとすると、村長が声をかけてきた。「お主たち、エルフの里に行ったらこのエルフのルビーを返してきてもらえないだろうか。これは昔人間とエルフのいざこざがあったと
Last Updated : 2025-11-16 Read more