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第26話 「ヘルキャッスルの攻防」

Author: 4時間移動
last update Last Updated: 2025-11-30 16:32:31
 一行はヘルキャッスルに辿り着き中へ入って行く。

 入り口でセーラはなぜか違和感を感じたが、それ以上は気に留めなかった。

 中は広く迷路のようになっており、次々と魔物が現れる。

 さすがに敵の本拠地である。

 四人は現れる魔物たちを倒しながら進んでいった。

 二階への階段と外気の入る広い露台を見つける。

 そこで待っていたのは黄金の騎士であった。

「ようこそ。魔天使とその仲間たち」

 黄金の騎士は、全身金色のフルアーマーで、脚がいくつもある灰色の馬に乗っていた。

 手には暗い剣を携え、刀身からは血が滴り落ちている。

 まるでたった今誰かを斬ってきたばかりのような。

 騎士はゆっくりとセーラ達を見回した。

「そして、さようなら。スレイプニル!」

 そう言うと騎士は馬を駆り、襲いかかってきた。

 目にも止まらぬスピードで距離を詰め、剣でアレフの腹部を貫いた。

「ぐあっ」

「アレフ!!」

「なんて速さなの!」

「マリア、早くヒールを」

 騎士は更にそばでヒールをかけようとしているマリアに斬りかかる。

 セーラが天使の鉞でその剣を防御する。

 背後に飛び退く騎士。

 アレフは口から血を流し絶命していた。

 泣き叫ぶマリア。

 圧倒的な力の差にパーティーは退却せざるを得なかった。

「ガルガルッ! 逃げられると思うなよ!」

 しかしアレフを担いだカイが、階段を降りてきた獅子の魔物と鉢合わせ、その鋭い爪で切り裂かれた。

「あぐぅぅ」

 防具無視で裂かれたカイの胸から大量の血が吹き出す。

「キャアッ!」

 マリアが悲鳴をあげてその場にへたり込む。

(このままでは全滅する……!)

 セーラは慄然とした。

 以前のような空間転移魔法の魔力も感じられない。

 助けは来ない。

 セーラは迷わず碧い珠をまさかりの柄の穴に入れた。

 天使の鉞が碧く輝き出す。

「ふざけないでよ…」

 セーラが呟くと鉞は更に強く光りだした。

 気合いとともにセーラは近くの獅子に殴り掛かった。

 獅子の魔物は爪で防御する。

(ギィィィン!)

「何だと!?」

 獅子の太く鋭い爪が砕ける音が響く。

「あれが…我らを傷つけることのできる武器か」

 黄金の騎士は剣を斜めに構え直した。
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