獅子の魔物と黄金の鎧騎士がチェスの駒ではさみ将棋をしていた。 台には巨大なゴーレムの頭部が使われている。 幹部の中では仲が良いほうの二人は、こうしてたまにボードゲームを嗜む。「盾を取りに行ったガネーシャも帰らないそうだね」 黄金の鎧騎士が駒を動かしてポーンを取った。 「やっぱ君の手下は弱いんじゃない? アラブ系だし」 「グルル! ガネーシャなどに期待したオレが間違いだった。今度はオレ自ら行ってやる」 獅子の魔物は指笛でグリフォンを呼ぼうとした。 「待て、冗談だよ。恐らくガネーシャはエデンの盾を装備したその者に返り討ちにあったんだろう。ならばそいつが地上に降り立った稀少な天使でほぼ確だ。奴らパーティはどんな構成?」 「戻った部下に聞いたところ、天使以外はゴミのようだな」 「なるほど。だがボクも同行しよう。君の力なら敵が何人いようが関係ないが用心に越したことはない」 鎧騎士は取ったチェス駒を手のひらに乗せてジャラジャラと動かした。 「君はこのルークのように直情的だからね」 「ふん。いらぬ心配だ。オレ一人で充分!」 「いや駄目だよ。君がいつかのように思わぬ深手を負って再生まで時間がかかると困る。君とは一番気が合うんだ。ゲームは弱いけどさ」 「余計な一言を…付いてくるのは良いが手は出すなよ」 「オーケー。あと斧のほうだけど、天の流れをくむ者に装備させないと錆びが取れないから一緒に持っていくよ」 「お父様がまだ殆どお言葉を発せられないのはそういうことか」 「長年手がかりさえ掴めなかったのに、最初の斧を探し当ててから盾もすぐに見つかった。とすれば悔しいがあいつの言葉は正しい。残りの装備も集めてもらうまで天使は泳がせて生かしておかなくちゃいけない」 「グルルルル…天使は盾だけ奪い半殺し、仲間どもは八つ裂きにして殺す!!」 「復讐に燃えて早くエンシェントマターを探してもらわないとね。最後の装備を手にした時が」 鎧騎士が獅子の魔物のキングをナイトで挟んで取った。 「天使が死ぬときだ」◆ ガネーシャを倒した一行は戻る途中で突然の雨に見舞われたため、森の中でテントを開いた。 「少し雨に当たってくるね」 セーラは一人で外に出ていった。「マリア、アレフ、後をつけてみないか」 カイがそう言うとマリアが激昂した。 「馬鹿
Last Updated : 2025-11-11 Read more