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第25話 「天使長オルド」

Author: 4時間移動
last update Last Updated: 2025-11-30 16:31:27
 気球で西に行くと、岩山に囲まれたひときわ高い塔がある。

 その過酷な環境ゆえに、これまで塔を登れた者はいないと言われる。

 一行は今こそ、その塔に登ってみることにした。

 大仰な扉には鍵はかかっておらず、開けると問題なく入ることができる。

 中にある階段を登っていくが、ここは魔物が出てこない。

 塔の中が聖光気で満たされているため、魔物たちが近寄れないのだとセーラが語った。

 しかしながら登っている階段が果てしなく長い。

「この階段どこまで続いてるんだ?」

「そんなのわからないわよ」

「いくら魔物が出ないといっても、さすがにこれはきついな」

 そして永遠に続くかと思われた階段の目の前が突然開けた。

 どうやら頂上にたどり着いたようである。

 部屋はかなり広く、そこには玉座に座った老人がいた。

 老人は「よく来たな」と微笑むと、全身が光に包まれ、美しい羽根の生えた青年の姿へと変わっていった。

 青年は身体が透けておりセーラたちは驚いた。

「あなたは……」

「私は天使長オルド…じゃ」

 四人はしばらく言葉が出なかった。

「私はここに居ながらにして、この世界のすべてを見ることができる。だが、私の力は地上では大きく制限されてしまうのだ」

「そうか、それであんな汚いじじいの姿に」

「……。セーラよ、お前はもう感じているはずだ。ここでは秘めた本来の力を取り戻すことができる」

「そうなの? セーラ?」

 マリアが訊ねるとセーラは静かに頷いた。

「魔物たちの本拠地は、この塔の遥か南に位置する呪われし島『クリムゾン』、その最も深い森の奥に潜む『ヘルキャッスル』という古城だ。

 魔族の父はまだ封印されたまま眠っているが、いずれはこの塔にも魔の手が延びるだろう。倒すのは今しかない。しかしお前たちがここを出る前にやることがある。セーラよ、その天使の斧を私に貸してくれるかな」

 セーラはオルドに天使の斧を渡した。

 オルドはその斧を両手に持ち力を込める。

 すると斧は白くまばゆい光を放ち、倍くらいの大きさの鉞になった。

「それが真の天使のまさかりだ。そのあまりにも強大な威力ゆえ、斧の形に封印されていたのだ。セーラ、持ってみるがいい」

 なぜ斧型なのか疑問に思いながらも、セーラが鉞を受け取り構える
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