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第22話「獅子の魔物①」

Auteur: 4時間移動
last update Dernière mise à jour: 2025-11-21 01:26:14

 気球による空の旅は快適である。

 スピードは速くないものの、魔物たちに遭遇しないというのは何事にも代えがたい安堵があった。

 やがて隣の大陸が見えてきた。

 更にしばらく行くと前方に瓦礫と化した街があるので地上に降りる。

 かつてそこにあったエルマールの街は、もはや存在しなかった。

「ひどい……」

「街の人はどうなったんだろう」

 すると背後から獣の唸り声が聞こえた。

「グルルルーおまえたち、意外と早かったな」

 振り返るとそこにいたのは、以前、セテロの町外れでグリフォンに乗ってセーラを襲った巨大な獅子の魔物であった。

「きさま、一体何のためにこの街を滅ぼした!」

「街の人たちはどうしたの!」

「この街はおまえたちをおびき出すために滅ぼしたのだ。街の人間は知らんな。地獄にでも逃げたんじゃないのか。ガルガルガルガーッハッハッハッ」

「このやろう……そんなことのために!」

「次はオレ様から質問だ。本物の天使の斧はどこだ」

「本物!?」

「俺様にこんな偽物をつかませやがって。よくも恥をかかせてくれたな」

 そう言うと、獅子は偽物の斧を投げてよこした。

 確かにあの時バルガが奪っていった斧である。

 試しにセーラが持つと淡い青色に光る。

「おい、そこの女。おまえが半人前天使だったとはな。おまえの背中にある斧が本物だろう。それをよこせ」

「よこせと言われて素直に渡すと思う?」

「その言葉後悔するぞ」

 獅子の魔物が襲いかかってきて戦闘が始まった。

 獅子は鋭い爪が生えた四つの前足で空を切り裂いた。

 かまいたちのような斬撃が地面を切り裂きながら四人を襲う。

 四人は新調した防具を頼りにガードに徹した。

 致命的なダメージは受けない。しかし…。

「みんなは下がっていて! コイツは普通の魔物じゃない!」

 そう叫んでセーラはみたび家宝の斧を構えた。

 斧は青く輝き、獅子に会心の一撃を与える。

 カイとアレフはマリアのヒールで休みながら体育座りで見物することにした。

「くっ、このままでは済まさん」

 獅子は鋭く凶暴な牙でセーラに噛みつこうとした。

 セーラはひらりと避けた。

 すかさずセーラはたたみかけるように斧を振り回し、獅子の身体に幾筋もの切り傷をつけていった。

「……何故?」

 セーラは焦っていた。

 この巨大な獅子に自分は何回攻撃をいれたことだろう。

 獅子はダメージを
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