Home / BL / BL小説短編集 / Chapter 191 - Chapter 200

All Chapters of BL小説短編集: Chapter 191 - Chapter 200

239 Chapters

クリスマスラプソディ10

☆ ⌒Y⌒Y⌒Y⌒「キョウスケさんたち、ピアノの傍の席なんですね」 案内された窓際の席に着くなり、宮本から話しかけられた。「あれはあれで、恭介の得意技を発揮するのに、もってこいの席だと思うがな」 言いながら脇で控えているウェイターに、視線を飛ばした。するとそれを合図にしたかのようにサービス業らしい笑みを浮かべて、丁寧に説明をはじめる。「失礼いたします。本日はクリスマスイブにふさわしい、特別なメニューをご用意しました。お飲み物をお選びくださいませ」 テーブルの上に置かれたメニュー表をふたりそろって手にし、まじまじと眺めた。「陽さんは何にします? 俺、明日仕事なんで、ソフトドリンクになっちゃうんですけど」「そうだな、うーん……。グラスワインの白でお願いします」「俺はアップルタイザーで」「畏まりました。少々お待ちください」 背筋を伸ばしてから一礼して去って行く背中をぼんやり見つめていると、「よかった」なんていう言葉が目の前からなされる。「なにがよかったんだよ?」 訊ねながら宮本を見つめたら、手にしたメニュー表をばさつかせるように弄びつつ口を開く。「てっきり、ボトルワインを頼むかと思ったんです。酔っぱらった陽さんを連れて帰るのは、すっごく大変だから助かったなって」 自分に対する文句だったのに、口調はとても軽快だった。嬉しげに微笑む宮本につられるように、橋本も瞳を細めて笑いかけた。「おまえに苦労させるわけにいかないから、一応自重したんだぞ。本当は樽ごと、飲み干したい気分なのにさ」「確かに。俺も明日仕事じゃなかったら、一緒に飲んでいたかもです」「樽ごと?」 わかっているのに、聞かずにはにはいられなかった。すると宮本は親指をたてながら、口角の端をあげてにんまり微笑む。「弟のときの挨拶で冷たい対応を見ていたから、両親がこんなにあっさり認めてくれるなんて思っていなかったし。やっぱり陽さんだからだよなぁって」「それは持ち上げすぎだ。しかもそれって、弟と同伴していた江藤ちんを落とし込む発言になってることに、気がついてないだろ?」 やれやれと思いながら頬杖をつくと、弄んでいたメニュー表をテーブルに戻しながら「むう?」なんて呟いて首を捻る。
Read more

クリスマスラプソディ11

(おまえがそうやって不思議そうにしてる顔、俺なんかよりも、ずっと可愛いって思うんだけどな――)「あのときは、佑輝の駄目さ加減が思いっきり露呈しちゃって、有能な江藤ちんがフォローしきれなかっただけなんですよ。「俺の躾が行き届かずにすみません」って謝ってる傍から、父さん母さんも至極済まなそうになっちゃって、自分たちの育て方が悪かったせいだと口にして、頭を下げる事態になったんです」 その当時のことを思い出し、ひどく沈んだ表情になった宮本。長々と告げられたセリフに納得した橋本は、小さなため息をついた。「なるほどな。それであのとき、妙に緊張した顔になっていたのか」「陽さんの身内に、きちんと話をしなきゃって、前日まで考えていたのを、いきなり自分の親に挨拶することになっちゃって、頭の中が真っ白になりました」 困った顔して頭を抱える宮本の姿に、プッと吹き出しそうになる。実際に橋本の実家に挨拶に行くときは、今以上に困惑するんだろうなと思いながら語りかけた。「どっちにしろ、挨拶することには変わりねぇだろ。気負いすぎなんだよ、雅輝は。見た目以上にしっかりしている、自分を信じろって」 頬杖をやめて、にっこり微笑みながら宮本にしっかり向かい合う。そんな橋本の笑みにつられたのか、暗い表情から少しだけ明るい顔を見せた。「失礼いたします、グラスワインのお客様」「はい」 説明したウェイターとは違う黒服の店員がやって来て、橋本の目の前に白ワインの入ったグラスを置いた。品のあるグラスに注がれたワインは、天井の照明を受けてキラキラ輝く。宮本が頼んだアップルタイザーも、同じように煌めいていた。 黒服の店員が去ってから、同時にグラスを手にする。「雅輝と過ごす、はじめてのイブに乾杯!」「陽さんが俺の家族に認められた記念日に乾杯!」 それぞれ違うセリフを告げて、グラスをカチンとぶつけてから口をつける。芳醇なブドウの香りを堪能しつつ、白ワイン独特の風味を舌でしっかり味わった。「こりゃ何杯でも行ける酒だ、ヤバい」 あまりの美味しさに、心の中で留めていたことが、言葉となって出てしまった。「樽ごと飲みたい、陽さんの気持ちはわかってますけど――」「わかってるって。自重するから」 自重すると言ってる傍から、グラスの半分を一気に飲んでしまった。
Read more

クリスマスラプソディ12

「陽さんってば、もう!」「はじめてのイブと、雅輝の両親に認められた記念日に乾杯なんだから、ちょっとくらい大目に見てくれてもいいだろ」「酔っぱらった陽さんの相手をする、俺の苦労を思い知ってほしいです」 宮本は面白くないと言いたげに、ぶーっと唇を前に突き出して、思いっきり不貞腐れた。「歩ける状態で帰れるように、ちゃんと調整するから」「それもそうなんですけど、酔うと際限なくエッチになるせいで、相手をする俺が大変なんですよ」「ブッ!」 もう一口飲もうとしていたのだが、告げられた内容が衝撃的すぎて、思わず吹いてしまった。「おまっ、声のトーンもう少し落とせって」「誰のせいだと思ってるんですか」「わかった、わかったから。ちょっとずつ飲むことにする……」「お願いします!」 いつも通りのやり取りをしてやり込められた橋本が、不満を残しながらワインを飲み込んだ瞬間だった。「お話し中のところ失礼いたします。ワインのお代わりはいかがでしょうか?」 さきほど橋本たちにワインを給仕したウェイターが微笑みながら、ボトルを片手にいつの間にか傍に控えていた。「あ……」 グラスの中はあと三分の一くらいしか残っていなくて、これから料理が出てくることを考えると、お代わりしたいところだったが、目の前にいる宮本の顔色を窺ってしまうのは必然だった。「陽さん、俺に遠慮せずに飲んだらいいじゃないですか」「じ、じゃあお願いします……」 苦笑いしながら頭を下げると、「よかったですね」なんていうことをウェイターから告げられてしまった。その言葉に橋本が目を瞬かせると、その視線に絡めるようにまなざしを向けられる。「ご自分だけアルコールを嗜んでいると、ご一緒している方に気を遣うのは当然のことです」 静かに白ワインを注ぎながら橋本の心中を察するセリフを、内心ウザく感じた。「はあ、まぁそうですね」 ウェイターからのねちっこい視線を感じて顔を背けると、正面にいる宮本が憮然とした表情で不快感を露にしていた。「私当店でソムリエをしております、前園と申します。今日お越しのお客様の中で、一番美味しそうにワインを召し上がっていたので、お声がけさせていただきました」「一番美味しそうに、ですか……」 広いフロアには30名前後の客がいるというのに、その中で一番と指摘されてしまった手前、なんだか気恥
Read more

クリスマスラプソディ13

「次の日のお仕事の関係でアルコールを断念しているお姿に、大変感銘を受けました。機会がありましたらお仕事がないときにでも、美味しいワインのある名店にご案内したいです」(あー、はいはい。俺はフェイクということね。だよなぁ。年増の俺を誘うよりも、若い雅輝のほうが食いごたえがあるだろうよ! それに見た目がまんまネコの雅輝を誘えば、簡単に挿入できそうだしな。や~い、騙されてやんの!)「ぉ、俺ですか?」 含み笑いしながら、心の中でヤジを飛ばしている橋本を尻目に、宮本は自分を指差しつつ驚いて椅子に座りなおす。「はい。お客様はアルコール、いける口なんでしょう?」「それなりにいけると思いますけど、お酒を飲むと車に乗れなくなるので、俺は飲みません」「ですからお仕事がないときに、ご一緒したいなぁと思っているんですが」「恋人に呼び出されたときに、お酒のせいで逢いに行けなくなるのが嫌なんです。だから俺は飲みません」 言いながら、宮本は橋本に視線を飛ばす。会話に加われと無言でいきなり無茶ぶりしてきた恋人に、めんどくせぇと思いながら前園を見た。すると、瞳を細めてニッコリ微笑まれてしまう。「あのさコイツ、こんなふうに見えるけどタチだから」 意味のわからない前園の笑みをジト目で返しながら告げると、呆けた顔に変わった。「はい?」 橋本が告げたセリフが信じられなかったのか、何度も目を瞬かせて自分を見つめる前園に、不機嫌を示すべく、眉間に深いシワを寄せながら説明する。「だからアンタが誘っても、跨ることはできないって話だ。わざわざ恋人がいる前で、誘うんじゃねぇって」「ああ、そうでしたか。てっきりご兄弟かと思いました。年が離れていたようにお見受けしたので」「陽さんとは兄弟以上の関係ですので、お引き取りください。ワインのお代りは無用です」 彼氏らしくキッパリ断った宮本に、前園は残念そうに去って行った。「雅輝、モテるじゃねぇか」 羨望と嘲りの混じった笑みを浮かべると、顔を歪ませながら肩を竦めて小さなため息をつく。「てっきり陽さん狙いだと思いました。俺を誘うなんて、趣味悪いですよね」「それってさりげなく、俺の趣味が悪いって言ってるだろ?」 わざと不貞腐れてみたら、金魚のように口をパクパクさせる。「やっ、そんなことはないですって。むう……」 あからさまに慌てふためく様子
Read more

クリスマスラプソディ14

「陽さんってば、俺をやり込めたのが嬉しくて、そんなふうに笑ってるでしょ」「それは違う。おまえがちゃんと彼氏らしく最初からアイツを牽制したり、追っ払ってくれたろ。前はそんなことすらできなくて、おどおどしていたじゃないか」 橋本に指摘された宮本は、あいまいな表情を作って黙り込む。「なんだよ、褒めてやったのに」 宮本が形容のできない妙な表情をしているせいで、場の雰囲気があまりよくなかった。「すみません。俺あまり褒められたことがないので、どんな態度をしていいのかわからなくて」「だったらこれから、俺がうんと褒めてやる! そしたら慣れるだろ?」「陽さんが俺を褒める……」 橋本が声高々に褒めると言ったのに、宮本の顔色は相変わらずだった。そのせいで無駄に上げた橋本のテンションも、だだ下がりする。「なんだかなぁ。バレンタインには女からチョコ貰ったり、クリスマスイブには俺の前で男に誘われたりと、すげぇモテてるというのに、本人まったくその自覚がないっていう」「確かに陽さんと付き合ってからは、服装に気をつけたりしましたけど、それ以外は全然変わってないんです。それなのに周りの扱いが一気に変わってしまって、困惑しているというか」 グラスを意味なくぐるぐる回しながら告げられたセリフを聞いて、橋本なりに考えながら語りかけた。「なんつーか、ほら。ド近眼の眼鏡を外したらイケメンだったキャラみたいな感じで、雅輝も変わったんだと思う。冴えないモブキャラが、格好いい主人公に変身しちゃったと表現すればいいか」「俺が格好いい主人公?」 目を大きく見開いて反応した宮本に、橋本はほっとする。このまま無反応を決めこまれてしまったら、正直持ち上げようがないと思っていたので、心底安堵した。「だから、もっと自信を持てって。俺の彼氏!」「陽さん……」「もう少しだけ自信を持ってもらわないと、俺の実家に行ったときに、大事なところで下手こくのは、どこの誰だ?」 おどけた口調で問いかけた橋本に、宮本は満面の笑みを唇に湛えてまっすぐ前を見る。「下手こかないように、陽さんの実家に顔を出すまでちゃんと練習して、自信をつけておきます」「そうしてくれ。すみません、アップルタイザーください」 ちょうど料理を運んできたウェイターに、宮本と同じ物を頼んだ。「あれ、もう飲まないんですか?」「誰かさんが、
Read more

クリスマスラプソディ15

☆ ⌒Y⌒Y⌒Y⌒「どれをとっても美味しかったですね!」「予約が一年待ちというのもわかる気がする。静かにピアノが流れる店の雰囲気や、ここからの眺めも最高だしな」 橋本が窓の外を眺めたタイミングで、宮本はもじもじする。目の端にその動きを察知したので、思わず声をかけた。もちろん周りと宮本自身に配慮して、声のトーンを落とすのを忘れない。「どうした、トイレか? 遠慮せずに行けって」「違いますよ。そんなんじゃないです……」 ちょっとだけ不貞腐れながら、出されたデザートのケーキにフォークを突き刺す。その様子はケーキに当たるような感じに見えたので、なんだかなぁと思いながら話しかけた。「おいおい、やめてくれよ」「なにがですか?」 手荒に何度もスポンジにフォークを刺す宮本に、橋本は瞳を細めながら口を開く。「雅輝が俺の中を、そうやって荒っぽくグサグサしたら、たまったもんじゃねぇなぁと思ったんだ」「そんなことしません。大事にいたす所存です」「ホントかよ」 橋本がカラカラ笑うと、宮本は「本当なのに!」とむくれながら呟いた。「俺のデザートやるからさ」 言いながら、宮本の前にデザートを差し出す。それを不思議そうに眺めたのちに、橋本に視線を飛ばした宮本の顔には、疑惑という二文字が浮かびあがっていた。「陽さん、なにを企んでるんですか?」「企んじゃいねぇよ。ただ、めちゃくちゃにしてほしいだけだ」「なっ!?」 いきなりなされた橋本の要求に、宮本は椅子の上で小さく跳ねた。「おっと、危ない!」 ちょっとグラついただけなのに、なぜか上半身を屈める宮本を見て、橋本が慌てて声をかける。「危ないって、おまえのその動きはなんだ?」「やっ、別になにもありませんよ、本当に!」「そういやおまえ、料理の中盤から、なーんか動きが怪しかったんだよな。視線が定まっていなかったし、変な作り笑いして俺に合わせていたというか」 橋本がここぞとばかりに追求しかけた瞬間、それまで聞こえていたピアノの音が聞こえなくなった。どうしてだろうとグランドピアノがあった場所を見てみると、そこにはなんとピアノの椅子に榊が腰かけていて、すぐ傍に和臣が立ち竦み、にこやかに談笑していた。
Read more

クリスマスラプソディ16

「恭介のヤツ、なにか弾く気だ。和臣くんのために、カッコいいところをみせようって魂胆だな」 橋本が笑いながら説明したら、宮本も遠くにいるふたりに視線を飛ばした。「キョウスケさん、すごいですね。ピアノも弾けちゃうなんて」「外資系の証券会社にお勤めの、仕事ができる超イケメンで、なにをやらせても器用にこなす男を、絶対に俺は敵に回したくはないな。っていきなり難易度の高そうな子犬のワルツを弾くって、やっぱりすげぇ……」「二匹の子犬が、仲良くじゃれあっているように聞こえます。楽しそう」 そのまま演奏を続けると思ったのに、変なところで音は鳴りやみ、榊が両手を膝に置いたまま、橋本たちを見る。それにつられるように、和臣も自分たちを見て、なぜかピースサインを送った。「陽さん、俺たちを見てますよね?」「そうだな。これから、なにかあるのかも……」 視線をピアノに戻した榊は、深いため息をついてから細長い指で力強く鍵盤をたたく。高音から低音にメロディが流れるその前奏は、アレンジされたものだとすぐに気がついた。「これって、恋人はサンタクロースって歌ですよね。なんか原曲よりも、すごい迫力がある感じ……」「なんつーか、雅輝の運転に似てる気がする」「へっ? 俺の運転ですか? こんなに激しくないですって」「おまえはそう思っていないだろうが、隣で乗った俺の印象がそのまんま、演奏でうまく表現されてる。恭介は乗っていないのにこんな表現ができるということは、和臣くんから聞いた感じを、ああやって音楽で表しているんだな」 一音一音が弾んでいるだけじゃなく、軽快でリズミカルな雰囲気は、宮本がコーナーを駆け抜けるときに見せる表情みたいだと、橋本はつけ加えた。「あのね、陽さんっ」「なんだ?」 曲がちょうど、サビの部分に突入したときだった。それを耳にしながら、宮本の顔を見る。(恭介のチョイスした歌が『恋人はサンタクロース』だからか、雅輝がサンタクロースに見えなくもない)「これ、受け取ってください」 宮本は橋本のデザートが置いてあった場所に、濃紺のビロードの箱をそっと置いた。見るからに宝飾品が入ってますというそれと、宮本の顔を交互に眺める。「安心してください、指輪じゃないんで」 橋本が問いかけようとした矢先に、たたみかける感じで告げた宮本の顔は、耳まで真っ赤になっていた。
Read more

クリスマスラプソディ17

「ゆ、指輪!?」「やっ、いきなりそういうのは重いと思って、やめたんですけど」 赤ら顔の宮本を見ていうちに、橋本の頬も赤く染まっていった。「俺は別に、重たいなんて思わないけどさ」 本心を言いながら置かれたままのケースを素早く手に取り、静かに蓋を開けた。「これは……」 中に入っていた物の輝きに、目を奪われる。フロアの天井にぶら下がっているシャンデリアの光を受けて、瞬くように輝いているそれを、瞬きを忘れて見入ってしまった。「ネクタイピンです。それなら仕事で使えるかなって」「このくっついてる石はなんだ?」 橋本は恐るおそるそれを突っつきながら、宮本に訊ねた。ネクタイピンについている石は大きくないものの、青く輝く色合いと中に浮かび上がっている星模様で、高価なものだというのが見てとれた。「……スターサファイアです」「っていうことは、このシルバーはプラチナでできてるんだな?」「ご明察通りっス……」 ネクタイピンが落ちないように、ボタンに引っかけるチェーンがついているが、何かの拍子でチェーンが切れたりしたらと思うと――。「仕事でこれを付けるには、かなり勇気がいるな」 ハイヤーの運転手として、ただハンドルを握るだけじゃない。お客様から預かった大きな荷物の運搬など稀にあるので、躰を動かすこともしばしばある。「そんなこと言わずに、付けてほしいです。なくなったら、また買ってあげますから」「また買ってあげるなんて言ってるけど、ほいほい買える代物じゃねぇだろ。おまえの趣味を封印してまで買ってることくらい、俺にはわかるんだぞ!」「スターサファイア、石の意味知ってますか?」 宮本のお財布事情を知っていたので、あえて口にして指摘したというのに、いきなり話題転換されて、橋本の頭がパニくる。「博識の恭介じゃあるまいし、そんなの知らねぇよ」「運命です。俺にとって陽さんは運命の人で、その星の輝きと同じように、陽さんはキラキラしている俺の憧れの人なんです」「ぶっ!」 臆することなく真顔で説明した宮本に対し、橋本は顔だけじゃなく、全身が火照ってしょうがない状態に陥った。「雅輝てめっ、よくもそんなこと、素面でペラペラ言えるな。俺のどこがキラキラしてるのか、全然わからねぇよ、まったく。プレゼントつきで、剛速球投げつけてくるな。対処に困ってしょうがねぇ……」
Read more

クリスマスラプソディ18

橋本は片手を使って、顔をぱたぱた扇ぐ。そんな恋人の顔を、宮本はきょとんとしたまま見つめた。「剛速球なんて、投げつけてないのに。俺の素直な気持ちを言っただけですって」「おまえの気持ちがピュアすぎて、腹黒い俺には衝撃が半端ねぇんだよ」 言いながら橋本がテーブルに突っ伏しかけた途端に、グランドピアノのほうから拍手喝采が聞こえてきた。「あ、恭介の演奏、全然聞けなかった」 しまったと思ったときにはすでに遅し。グランドピアノの周りにいは、いつの間にか人だかりができていて、その中にいる榊は苦笑いをしつつ何かを言いながら、和臣のほうを見ていた。「俺はキョウスケさんの演奏のお蔭で、陽さんにプレゼントを渡すことができました。話をしながらでしたけど、素敵な演奏に耳を傾けていましたよ」「アイツら、このまま帰るっぽいぞ」 人だかりの中から和臣の手を引っ張った榊が、出口に向かって歩き出した。名残惜しそうな顔した和臣がコチラに振り返る。橋本は遠くから見てもわかりやすいように、大きく右手を振り、宮本はニッコリ微笑みながらピースサインを作った。「あとでメッセしておくか」「俺の分までお願いします」 榊たちが去ったあとは、蜘蛛の子を散らすよう席に戻っていく。しかしピアノを演奏する者がいず、人々の囁き声がそこかしこから聞こえてきた。「キョウスケさんの素敵な演奏のあとだと、やっぱり弾きにくいのかもしれませんね」「そうだな。ずっとピアノを弾いてたヤツに比べて劣るところはあるのに、勢いというか聞き入ってしまう何かを、恭介はもっていたと思う」「陽さんってば、ピアノの音の違いなんてわかるんですか?」 宮本は顎を引きながら、目を瞬かせる。「若い頃はジャズやクラシックなんてジャンルにとらわれずに、いろんな音楽を聞いていたし。耳はいいほうかな」 橋本の説明を聞いた宮本は、嬉しさを表す感じで瞳を細めた。「やっぱり、陽さんの引き出しは大きいなぁ。今度教えてくださいね」 喜びに満ちた弾む声を聞きながら、橋本はネクタイピンを手に取り、締めているネクタイにつけてみる。スーツの隙間から覗くそれは、ギリギリのラインでスターサファイアが見え隠れした。「……似合うか?」「男前二割増っス! ますます惚れちゃいそう」「ああ、そう……」 またしても宮本に直球を食らった橋本は対処に困り、視線を右往
Read more

クリスマスラプソディ19

☆ ⌒Y⌒Y⌒Y⌒ ベッドの上で仰向けになっている橋本は、喘ぐ呼吸もままならない状態だったが、懇願せずにはいられなかった。抵抗すると、それ以上に責められることがわかっているので、シーツを握りしめて我慢する。「ううっ、頼むから雅輝、恭介にメッセする気力っ…くらいは残してくれ、よっ」 橋本の自宅に到着後はじまった行為は、いつも以上にネチネチしたもので――。「だって陽さんがカッコいいせいで、俺の性欲が高まりつづけて止まらないんです」「勝手に高まるな! しかもっ、俺の躰がおかしくなるような責め方をするなって」「でも気持ちいいんですよね? さっきから中がヒクヒクして、俺のを気持ちよくしてます」 あきらかにつらそうな顔の橋本を見ながら、宮本は腰をゆっくり前後に動かしつ、意味深な笑みを唇に湛えた。「それはおまえが狙い撃ちするからだろ、変になるっ、ンンっ」「だって陽さんが気持ちいいと、俺も同じ気持ちになるし。もっと変になって」 橋本の両膝を易々と持ちあげるなり、そこを狙ってぐいぐい突っついた。「やめっ、そこばか、りっ」 下半身を捻って宮本の動きをやり過ごそうとした橋本に、自身の肩に橋本の片膝をのせて腰をぐいっと奥に進めた。もう片方の足はベッドに戻すと、フリーになった手で胸の頂きを摘む。「ぅ、んっ!」 ぴくんと跳ねる橋本の躰に連動するように、宮本も上半身を震わせた。「ヤバい、自分で自分の首を絞めてるのがわかるのに、陽さんをどんどん追い詰めちゃう」「おいつ、める、なっ」「追い詰める、よっ、一緒にイこう?」 我慢できなくなったのか、もう片方の宮本の手が橋本自身を激しく扱きはじめた。「あぅっ、あ、ぁあっ…もぅダメっ、イ、くぅぅっ」 快感に身を任せた橋本が宣言通りにイくと、宮本も後を追うように中で爆ぜた。「ま、雅輝っ…あっん…」 達したばかりだというのに、宮本自身から注がれる熱が直に伝わり、妙な高揚感を与える。「おまっ…いつま、でイってる、んだっ」 ドクンドクンと脈を打つようにいつまでも注入されるせいで、どうしていいか全然わからない。先にイってる関係で、先に橋本の躰が冷静になりかけていた。
Read more
PREV
1
...
1819202122
...
24
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status