橋本が視線を右往左往させて答える姿を見ながら、宮本は両手を組んで指をポキポキ鳴らした。薄暗闇に響く不気味な音に、橋本の躰から冷や汗が吹き出す。普段はそんなことをしない宮本の行動から、嫌な予感しかなかった。「陽さん、安心してください。優しくしてあげます。そんなふうに言われたら、手加減しなきゃいけなくなっちゃった♡」「雅輝、落ち着け。絶対に優しくする気ないだろ。だって関節を鳴らす必要ないのに」「え~、これは軽い準備運動ですよ♡」「そんなもん、する必要ないって! 目がギラついてる、怖い!」 ヒッと息を飲んで固まった橋本を見下ろす宮本の視線が、これからおこなわれることを暗に示していた。粘り気を感じさせるそのまなざしは、どこから手をつけようかと、品定めをしているようで――。「雅輝頼むから、いつも通りに!」「大丈夫大丈夫。いつも通りにしつつ、新しいこともチャレンジしてみようかと思って♡」 イヤラしい笑みを浮かべた顔が近づく瞬間に、橋本は「あ、そうだった!」なんて間の抜けた声をあげた。「陽さん、どうしてこのタイミングで、なにかを思い出すんですか。ヤル気が思いっきり削がれました」 近づいた顔が遠のき、いつもの顔に戻ったのを確認してから、橋本は安堵の溜息を零して話し出す。「ヤル気が削がれてくれて助かった。あのさ、面白そうなコーナーを見つけたんだ。新規のお客様を乗せたときに、それを偶然見つけたんだけど」 ヤル気が削がれたと言った宮本の顔が、橋本の言葉により違う意味で輝く。「面白そうなコーナー?」「ああ、隣の県にまたがる街道でさ。トラック運転手なら通ったことがあるかもしれないけど、いかんせん道幅が狭いから、使ってないかもなと思って」 橋本は跨る宮本の躰を押しのけると、リビングに置きっぱなしになってる上着からスマホを取り出し、画面に地図を表示させて寝室に戻った。「この裏道、知ってるか?」 宮本の手にスマホを持たせて、道路地図を指差した。躰に寄り添いながら顔色を窺うと、それを見るなり、宮本のテンションがあからさまに下がる。「この道、仕事では使わないですけど、走ったことくらいありますよ。バードストライカーズのメンバーで、遠征に行ったときに走りました」 宮本は押しつけるように橋本にスマホを手渡すなり、ベッドに勢いよく横たわった。「やっぱ走ったことあるん
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