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クリスマスラプソディ18

Author: 相沢蒼依
last update publish date: 2026-05-02 07:20:52

橋本は片手を使って、顔をぱたぱた扇ぐ。そんな恋人の顔を、宮本はきょとんとしたまま見つめた。

「剛速球なんて、投げつけてないのに。俺の素直な気持ちを言っただけですって」

「おまえの気持ちがピュアすぎて、腹黒い俺には衝撃が半端ねぇんだよ」

言いながら橋本がテーブルに突っ伏しかけた途端に、グランドピアノのほうから拍手喝采が聞こえてきた。

「あ、恭介の演奏、全然聞けなかった」

しまったと思ったときにはすでに遅し。グランドピアノの周りにいは、いつの間にか人だかりができていて、その中にいる榊は苦笑いをしつつ何かを言いながら、和臣のほうを見ていた。

「俺はキョウスケさんの演奏のお蔭で、陽さんにプレゼントを渡すことができました。話をしながらでしたけど、素敵な演奏に耳を傾けていましたよ」

「アイツら、このまま帰るっぽいぞ」

人だかりの中から和臣の手を引っ張った榊が、出口に向かって歩き出した。名残惜しそうな顔した和臣がコチラに振り返る。橋本は遠くから見てもわかりやすいように、大きく右手を振り、宮本はニッコリ微笑みながらピースサインを作った。

「あとでメッセしておくか」

「俺の分までお願いします」
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    「さっ佐々木さん、頭を上げてくれませんか。俺はふたりが逢っていても、ヤキモチなんて全然妬きませんよ。雅輝のバカは、走ることしか頭にないんですから! 参ったなぁ、もう!」 所々上擦った声で弁解した時点で、橋本の嘘はバレバレだった。営業スマイルもかなり崩れているような感じなのも、頬の緊張感で伝わってくる。「陽さんあのね……」「ただな、佐々木さんに頼まれたからって、俺に隠し事をしてほしくなかった」 ギリギリ聞きとれる声量で橋本が本音をポロリした途端に、離れていた宮本が駆け寄り、タブレットを小脇に抱えて橋本の利き手を掴んだ。「ごめんね、陽さん。心配して、ここまでわざわざ来てくれたんだよね?」「べ、別に。おまえの心配なんて、してなかったけどな。場所がここだった時点で、走ることに夢中になってんだろうなぁと思っただけだ」「それでも来てくれたんだよね? こんな夜遅くで、明日も仕事があるというのに」 橋本を掴んでいる、宮本の手の力が強められる。痛いくらいに握りしめられたそれに、文句でも言って抗いたいのに、宮本が傍に来てくれたという事実が嬉しくて、されるがままでいてしまった。「雅輝が楽しそうに走ってる姿を、拝んでやろうと思っただけ。それだけだ……」「雅輝さんは僕が頼んでも、走ってくれなかったんです」 ふたりの会話に割って入った佐々木が、意外なことを告げた。「雅輝が走っていないだと?」 信じ難い佐々木のセリフで、穴が開くほど凝視した橋本の視線に、宮本は照れくさそうな顔を見せる。「雅輝、どうして走っていないんだ? 走ることが好きなおまえが走っていないなんて、腹の具合が悪いとか、そんな理由しかないだろ」「橋本さんは本当に、雅輝さんが走らない理由がわからないんですか?」 橋本が宮本に問いかけたというのに、なぜだか佐々木が先に口を開いた。「コイツが走らない理由は……」「どうして、すぐに答えられないんですか?」 橋本に鋭いまなざしを飛ばす佐々木に、反論はおろか、そのほかの返答もできなかった。すると宮本は掴んでいる橋本の手を解放し、ふたりに背中を向ける。素早い行動に宮本の表情がどんな感じなのか、まったくわからなかった。「雅輝?」 答えられないことに嫌気がさして、手を放されたと思った橋本が、距離をとった宮本を掴もうとしたときだった。「すみません。ちょっとト

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