あせりに支配された瞳はぎらぎらと殺気立ち、分別という余裕が失われている。 これは異常だ。ルキシュの身を案じているせいだというのはわかるが……。「どっちだと訊いている!!」 あまりに険立った面に言葉をなくしたユイナに対し、レンジュは怒声まで発する。 今までレンジュは女性に対して腹を立てたことなどめったになく、怒鳴りつけたりしたことは一度もなかったのに。「おい、おちつけよ」 完全に常軌を逸しているレンジュをなだめようと肩をとろうとしたハリの手を逆につかんで、レンジュは黙れとばかりに睨みつけた。「レンジュ、彼女は大丈夫よ……彼女は、とてもきれいだから、少しくらい抵抗しても、きっと殺されたりしないわ……」 無事、ではすまないだろう、おそらく。だけど、あれだけの美貌の持ち主なら、殺されることはない。生きてさえいれば、きっと――「そんなんじゃ、ない」 絞り出すような声。苦汁に満ちたその声を聞いて、ユイナははっと口元をおさえた。 そうだ、彼女はひとに触れられただけで火脹れを起こすんだった。 それを知らない盗賊たちが、よってたかって彼女を凌辱しようとしたなら――。「心配なのはわかるが、おまえ一人が行ったところでどうにもなるもんか。みんな、じき戻ってくる。明日にでも討伐隊が組まれるだろうから、そのときまで待て」 一人事情を知らないハリは、そうさとそうとする。だがレンジュにそれを耳に入れている様子はない。鬼相の浮いた顔をして、先に捕まえた男の所へとって返し、胸倉を掴んで揺さぶった。「おいきさま! 他のやつらはどこだ! きさまらの根城はどこにある!!」「……へっ……、ヘへっ、知ら……えよ。おれらの、……は、一つや二つじゃ、……からな……」 男は痛みと出血にすっかり血の毛の失せた顔で
Last Updated : 2025-12-28 Read more