「あの竜の厄介な所は刃物が効かなそうな所ぐらいね。宿敵にはハンマーでも持って戦ってもらうわ」「そうか、任せろ」「あの竜は夜行性みたいだから、明日の昼間にぶっ叩くわ」 作戦も決まった所で、マルクエン達は「何かあったら頼ってくれ」と言っていた鍛冶屋のギルドマスター『サツマ』を尋ねることにした。 立派な工房ではカンカンと金属を叩く音が外まで鳴り響いている。「すみません、ギルドマスターのサツマさんに会いに来たのですが」 マルクエンは近くに居た職人に声をかけた。「あぁん? どちら様で?」「私はマルクエンと言います」 その名前を聞いて職人は目を大きく開いた。「何だ、アンタが竜殺しか!! 親方!! マルクエンさんだー!!!」 呼ばれて奥からのっしのっしと歩いてくるドワーフのサツマ。「おう、どうしたんだ?」「えぇ、実は先程、竜の偵察をしてきたのですが」「何!? もう行ってきたのか!! それで、どうだった!?」 食いつくサツマにマルクエンは話し続ける。「それがどうも、金属の鱗で剣では厳しい戦いになるかもしれません。そこでハンマーをお借りできたらと思ったのですが……」「おう、あるぜーハンマー!! 付いてきてくれ!!!」 工房の横にある直売所へマルクエン達は連れて行かれた。「ここいらの好きに持って行ってくれ!」「では、お借りします」 マルクエンは一番大きなハンマーを片手で軽々と持ち上げる。「流石だな、50キロのハンマーだ!!! マルクエンさんにゃ軽すぎるかな?」「えぇ、もっと重い物がアレば良いのですが」 冗談を言ったはずのサツマは口を開けたまま固まったが、また大笑いした。「ハッハッハ、すまねぇ、アンタを見くびっていたよ。付いてきな、とっておきがあるぜ!!!」 今度は倉庫へと案内される。「これぞ幻のロマン武器!! 持っていけるものなら持ってけドロボー150キロハンマーだ!!!」 黒光りの巨大なハンマーを目の前に、ラミッタは呆れていた。「こんなの使える奴なんて限られているじゃない。どうして男はこういうの作っちゃうのかしら」「良いじゃないか、ロマンがあって!」「ロマンですか……」 マルクエンの言葉にシヘンも苦笑いをしている。「さて、マルクエンさんのお手並み拝見……」 サツマが言い終える前に、マルクエンはまた片手でハンマーを持
Last Updated : 2025-12-15 Read more