それから、俺たちは園内を歩いた。 つないだままの手をすりすりと優しく親指で撫でられたり、人混みの中を進んだり、時折、レプスが耳元にふっと囁いてきたり。 アトラクションの中では、背中を押されたり、わざとらしく密着してきたり。 肩が触れるたびに、くすぐったいような、期待のような熱が胸の奥で燻っていく。(……ああ、もう) 誕生日だってことを、これ以上なく思い知らされる。 嬉しくて、照れくさくて、でもなにより──早く、この手の続きをしたくなっていた。*** そして夜、俺たちは園内ホテルへ向かった。 正門近くに佇むその建物は、外観だけでも圧倒されるほど豪華だった。 ヨーロッパ風の高級ホテルのような佇まいで、ロビーにはシャンデリア、絨毯は足音すら吸い込む厚み。 チェックインの前には、ホテル内のレストランで夕食を取った。 コース仕立てのディナーは、どれも目にも美しく、味も本格的だった。 レプスは一皿ごとにワインとの相性を解説しながら、俺の食事の進み具合まで完璧に管理してくる。苦手な食材をさりげなく避けてくれていたのにも気づいて、心の中でため息が漏れた。(もうこいつ……どこまで俺の好み把握してんだよ) 食後のデザートは、俺の誕生日プレート付き。 チョコレートで書かれた「Happy Birthday, Minato」の文字を見て、思わず頬が緩んだ。 それから、レプスは当然のようにチェックインを済ませ、俺をエレベーターへとエスコートした。「……ほんとに、泊まっていいの? こんなとこ」「もちろんです。本日はご主人様の誕生日ですから」 最上階の、角部屋。 ドアを開けた瞬間、ふわっと甘い香りが漂ってきた。 天蓋つきのダブルベッド、シルクのリネン、バルコニーから見えるのは園内のイルミネーション。まるで物語の中に迷い込んだみたいな部屋だった。 レプスにエスコートされ、俺はベッド脇のふかふかのソファに腰を下ろした。 広い部屋。 静かな空間に、ベッドメイキングの音だけがかすかに響いている。 俺はまだ、さっきまでの余韻を引きずっていた。 あの手。囁き。密着。 目を閉じれば、唇が触れたあの瞬間の温度すら、まだ鮮明だった。(……これ、絶対、今夜……燃えるやつじゃん……) 勝手に期待して、勝手に緊張して、どうしていいかわからなくなっていたとき─
Last Updated : 2025-12-17 Read more