※近親関係・強制的婚姻に関する描写あり 私の表情に浮かぶ驚愕を見て取り、樒は満足気に目を細めた。「私とお兄様はね、兄妹であると同時に、夫婦だったの」「夫、婦……?」その言葉が、私の耳元で反響する。視界が暗く沈み、背中から冷や汗が流れてきた。今までの話を聞けば、予想できたはずだ。それでも私の心は、必死に樒の言葉を拒んでいた。動揺する私を前に、樒は薄笑みを浮かべた。「その頃、私は婚約相手を一族の中から探さなければならなかった。けれど、まだ幼かった私は、異性に興味を持つことすらできなかった」樒の伸びやかな手が、自らの胸元にそえられる。まるで恋に憧れる少女のような甘やかさが、その指先には宿っていた。「だから私は『お兄様を夫とする』という両親の提案に、すぐ頷いた。お兄様ならいいと思ったから。ずっと一緒に育ったし、お兄様はいつだって私に優しくしてくれたから」樒の口元に浮かんでいた微笑みが、石を投げ込まれた湖面のように崩れていく。「だけど、お兄様は最後まで抵抗していた。『これは間違ってる』と、何度も私を説得しようとした」糸が切れたように、樒は両手をだらりと下げ、小さなため息をついた。「お兄様の言うことは聞きたかったけれど、一族にとって、彼の意志はもはや、あってないようなもの。私たちの婚姻はトントン拍子に進み、ひと月後には正式な儀式が行われていた」「うぅ……しきみ……」頭を抱える〝王様〟の、くぐもった声が響いた。樒は、まるでそれが聞こえていないかのように、先を続けた。「そして、私の体の準備が整い次第、『義務』が決行されることになった」「義務……?」私の問いに、樒はこくと頷く。「後継ぎを作ること。大人たちは、そう言ったわ。私たちのような『美しい者』の血を受け継ぐ子どもがまた生まれれば、家は再び隆盛を取り戻せる
최신 업데이트 : 2026-02-03 더 보기