そんな杏奈はまるでおとぎ話に出てくる妖精のように、とっても初々しく見えた。だが、それを見た竜也は眉をひそめると、席を立ってドアまで歩いて行き、杏奈を教室の外へ引っ張り出した。「何しに来たんだ?」竜也の口調は、彼女をとがめるようだった。杏奈は、クスっと笑った。「浩の学校の学園祭に来たの。それがいけないっていうの?」そう言って、杏奈は、竜也を上から下までじろりと見た。そして、ちらっと教室の中に目をやると、勝ち誇ったように眉を上げる真奈美と目が合った。すると、杏奈は再び竜也に目線を向けた。「あら。あなたたち家族三人の楽しい時間を、お邪魔しちゃったかしら?」「何を言ってるんだ?」竜也は冷たい顔で杏奈を見据え、叱りつけた。「やきもちを焼くことしかできないのか、お前は。今日だって、真奈美が来ることを知ってたんだろう?」竜也はそう言いながら、あからさまな敵意を込めた目で、杏奈をじっと見つめた。浩は、前から真奈美と今日の学園祭に来る約束をしていたんだ。そんな彼が杏奈まで呼ぶわけがないのだ。それに、誰も杏奈に今日の学園祭のことを知らせていないはずだ。だからどうせ、真奈美が来ることを知って、わざわざ騒ぎを起こしに来たに違いない。そう考えると、竜也の目に浮かぶ嫌悪感はますます強くなっていった。「真奈美はお前の妹だろう。なのに何度もあの子を攻撃して。浩が真奈美を好きなのは確かだ。でも、だからって浩と真奈美の顔に泥を塗るためにここに来るなんて、許されないぞ」杏奈は竜也の言葉に、呆れて鼻で笑った。自分は、浩の実の母親よ。自分の息子の幼稚園の学園祭に来ただけで、笑いものにされるなんて、おかしいじゃない。彼女が何かを言い返そうとした、その時、真奈美と浩が教室から出てきたのだ。そして杏奈の姿を見ると、真奈美も少し驚いたようだった。「お姉さん、どうしてここに?」浩は眉をひそめて杏奈を見た。「ママ、僕はあなたを呼んでないよ。なんで来たの?みんなの前で僕のママだって言って、真奈美おばさんに恥をかかせるつもり?」それを聞いて、真奈美は浩の手を引き、小声で彼をなだめた。「浩くん、そんなこと言っちゃだめ。いくらなんでも、彼女はあなたのママなのよ。そんな言い方はないでしょ?」「真奈美おばさん、彼女があなたをいじめるのは
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