6番の作品は、さっき大絶賛されていたあのドレスだ。観客もとても印象に残っていたので、そのドレスが受賞したと発表されても、誰もが納得していた。でも、真奈美の言葉は、まるでそのドレスが杏奈のデザインではないとでも言いたげだった。真奈美がこう何度もいちゃもんをつけてくるので、主催者である翼も、さすがに少し腹を立てていた。彼は、竜也の方を振り返った。「中川社長、あなたの連れがうちのコンテストで何度も騒ぎを起こしているんですけど、どうにかしてもらえませんか?」竜也は翼からとやかく言われるのは気に入らなかったが、真奈美の態度は、確かに目に余るものがあった。なぜ今まで、真奈美がこんなに杏奈を目の敵にしていたことに気づかなかったのだろうか。今日だって真奈美は、証拠もないのに、何度も杏奈を陥れようとしているのが見え見えだ。そしてコンテストの閉幕直前になっても、またこんな騒ぎを起こすなんて。どう見てもわざとやっているとしか思えない。そう思うと竜也は真奈美の方を向き、怒りを押し殺した声で言った。「真奈美、会場で騒ぎを起こすな」「私が騒ぎを?」真奈美は竜也が杏奈を庇うのが、とにかく気に入らなかった。「竜也さん、あなたは私を信じないで、あの女を信じるってわけ?」そう言って真奈美は竜也の言葉を無視した。それどころか数歩前に進み、観客の方へ向き直った。「皆さん、聞いてください。今日、私は控え室でこの女がデザインした服を見ました。それは黒いレースのトップスとスカートで、6番のあの綺麗なドレスじゃありませんでした。さっき私が控え室で服はダサいって言ったのを、彼女はきっと根に持ったんですよ。だから橋本社長とのコネを使って、どこかのデザイナーの作品を横取りしたに違いありません。そしてそのデザイナーには、どこからか適当なドレスを押し付けて、手柄を奪ったんです」真奈美の声はよく通り、会場中に響き渡った。さらにそう言い終わると、真奈美は杏奈の方を振り返った。「お姉さん、私たち、何年も一緒に暮らしてきたじゃない。あなたがどんな人間か、私はよく分かってる。今のあなたは何一つ持っていない。運良く橋本社長の彼女になれたけど、本当の実力がなければ橋本家ではやっていけないものね。だから、こんな手を使って有名になって、橋本社長にふさわしい女になろう
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