そしてツイッターのホーム画面を開くと、999件を超えるフォロー、コメント、それにダイレクトメッセージの通知が届いていた。それには杏奈も少し状況が飲み込めずにいた。このアカウントは、杏奈が登録したばかりのものだったから。もともとは、まずアカウントを少しずつ育てて、作品を発表しながら自分のブランドを築いていこうと思っていた。でも、まだ一度も投稿していないのに、まさか金田服飾の公式アカウントからメンションされるなんて。杏奈がデザインしたドレスを気に入って、たくさんの人がフォローしてくれたみたい。コメント欄では、ファンたちが彼女への想いを伝えながら、早く次のデザイン画を描いてほしいと催促していた。それどころか、同業のファッションデザイナーからも、コラボしたいっていう連絡が来ていた。そこで、ようやく状況を飲み込んだ杏奈は、思わず心の中でガッツポーズをした。だって、自分の作品が誰かに愛されることほど、デザイナーにとって達成感を味わえるものはないのだから。彼女はいくつかのアトリエからの誘いを断って、簡単にお礼のメッセージを投稿すると、再び食事の準備を続けた。確かに、一緒に仕事をする人が増えれば、自分の活躍の場ももっと広がるだろう。でも、金田服飾はこんないい条件で自分を育ててくれているだから、少し芽が出たからといって、すぐに裏切るようなことはできないのだ。それに、まだまだ学ぶべきことはたくさんある。そう思って、出来上がった食事を渉に届けた後、杏奈は自分の寝室に戻って、またデザイン画を描き始めた。夢中で描き続けていると、いつの間にか夜になっていた。その時、竜也が突然、酔っぱらった様子で寝室のドアを押し開けた。杏奈がちょうど筆を置いた瞬間、振り返ると同時に、竜也が彼女の方へ倒れかかってきた。杏奈は、とっさに手を伸ばして彼を受け止めた。「真奈美……」竜也は杏奈の肩に顔をうずめ、酔いに任せて真奈美の名前を呼んだ。それを聞いて、杏奈の体は、こわばった。竜也が心の奥で想っているのが真奈美だと分かっていた。それでも、酔った勢いで名前を間違えられるのは彼女にとってもあまりにも受け入れ難い不意打ちだった。もう愛想つきているとは言え、この人は自分が8年間も本気で愛した人なのだ。どうにも気が収まらなかった杏奈は唇
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