Lahat ng Kabanata ng フルダイブMMOで現実改変できる『箱庭』アプリの話: Kabanata 41 - Kabanata 50

80 Kabanata

第三十九話 「それぞれの目的」

 冥界の中心に存在する万魔殿では、緊急会議が開かれていた。 幹部の上位悪魔が集まり円卓の席に着く。 会議室にはルシフェル、ベルゼブブ、アスタロト、ハデス、タナトス、この五名で世界を取る、とルシフェルは公言した。 オノケリスがお茶と資料を配る。「最近、強大な力を持つヒットマンの集団に仲魔がどんどん狩られている。敵はいつも二人で現われる。これは二人の開発者が毎回操る者だけを変えていると私は推察する。つまり悪魔狩りをしているのは恐らくこの二人だけだ。奴らは神出鬼没で一つの場所に決して長居しない慎重さがある、それにこれからここへやってくるであろう智天使(ケルブ)セーラは開発者の一人の人格が封印されている、そのためまず生かして捉えるのが最優先だ。最後の開発者はトラップや痕跡を残して消えるのみで、抜け目なく、今のところ捕まえる術はない。だが…… 我らの勝利は揺るがぬ、そしてその時は近い。開発者全てを完全に滅ぼし、現実を改変できる『箱庭』というSSSランクマジックアイテムを手に入れる、そして最後はそのアイテムを使って天界へ入り、我が父、唯一神をも滅ぼして世界の理を変えるのだ」 幹部に仕える六大悪魔は招集こそされたが、会議には参加を許されず蚊帳の外であった。戦力外扱いかと憤る者やドアに聞き耳を立てている者もいた。 更にその六大悪魔に仕えるソロモン七十二柱、下~中位悪魔の生き残りは野放しで、地上へ出ては悪魔狩りにどんどん狩られてその数を減らしていた。 外で待っているオノケリスとアグラトは小声でお喋りをしていた。そこに肉感的な女魔マグナが、七つの大罪はもう二人もやられたみたいよ、と会話に混ざる。 それを聞いた七つの大罪『怠惰』の悪魔べルフェゴールは、静かにしてろ! と、井戸端会議をする女魔たちを威圧し、手を払って遠ざける。牛の尾にねじれた二本の角、顎には髭を蓄えた醜悪な姿のベルフェゴールは、大の女嫌いであった。「何アイツー、ひそひそ。髭おやじ!」 女魔たちは遠巻きから悪態をついた。 セーラ一行が万魔殿に向かう途中、悪魔狩りをしている二人の戦士に遭遇した。一人は二刀流武士、もう一人も日本古来の武士の姿をしていたが、結局三つ又の槍を用いたポセイドンの威光を頼りに悪魔の部隊を殲滅していた。セーラ達も助太刀に入り、ヅカヅカと我が物顔で街道を通る中級
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第四十話 「冥界突入」

 辺境の村タルヴァザで休息を取ったセーラ達は、朝早くに村を出発した。広大なカクラム砂漠の中央には灼熱の炎が噴き出している巨大なクレーターがあり、パーティーはカイの魔法«プロテクション»で身を守り、穴の底まで一気に抜ける。底には漆黒の門があり、罪人たちを見下ろす者の姿が彫刻されていた。 門の周りには地獄の番犬ケルベロスが複数、三つ首と二つ首の二種類がいて、蛇の尾を持ち、首や胴体から蛇が頭をもたげ、威嚇したり激しく吠えている。 カイは悪魔アスモデウスから奪った(拾った)レア武器、緋色の魔槍ロムルスで、ケルベロス達を根こそぎ薙ぎ払い黙らせた。 冥界の中心にある万魔殿を直接攻めると言うオルドらに、セーラ達も助力する形となったが、パトラは口数少なく何事か考えているようであった。だが、パーティーを離れることは無かった。 一行は門をくぐり抜け冥界へと入る。「真っ暗だな。街灯はないのか?」「冥界の内部だぞここは」 手探りで周りのものを確かめるカイにオルドが突っ込みを入れる。「お化け屋敷みたいで楽しいな♪」 などと能天気に言いながらマリアは松明代わりに、«ルミナス»の呪文を唱えた。マリアの前に小さな光球が出現する。 空には月ほどの大きさで輝く衛星が複数あり、この場所が自分らのいた世界とは違う次元にあることを思い知らされる。「ここからは闇の力が強くなる」 超低音で念仏を唱えるようにカイの右腕の痣が口を開いた。「わっ! また喋った!」「早速、出迎えが来たぞ」 慌てるカイを無視してジュリアンが前方を指差した。 髭が逞しい親父悪魔ベルフェゴールがセーラ達の前に立ちはだかる。様々な拷問器具を持ったゴーモンデーモンを複数連れている。「貴様がセーラか? 冥府の空気は懐かしかろう」« 怠惰の欠伸 » ベルフェゴールがスキルを発動すると、辺り一帯の闇の空気がいっそう濃くなり、パーティーは何だかやる気がなくなり、気怠くなってきた。「デバフの特技か……う~んだるい」 カイが面倒くさそうに上空を見上げる。そこには巨大な蝿のような異形の悪魔と、竜にまたがり右手に毒蛇の鞭を持った天使の姿があった。そしてベルフェゴールの背後には黒いローブを纏い頭部と背に黒い大小の羽根が生えた男と、それに瓜二つの顔をした全てが白いローブの男が控
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第四十一話 「呪言」

 オルド、ジュリアン、セーラ、カイの四人は、ヒーラーであるマリアを中心に囲み陣形を組んだが、パトラはやはり参加せず少し離れたところで、物憂げに戦況を眺めていた。(パトラちゃん……) マリアがパトラの心情を気にする。 パトラは冥界に戻るか、このままパーティーに残るか迷っていた。レアアイテム探しはいつでもできる、仲間、仲魔……フラッとパトラの足が敵側に向かう。「パトラちゃん行かないで!」 マリアの声に、はっと立ち止まるパトラ。 そしてベルフェゴールはセーラ達の陣形に一斉にゴーモンデーモンをけしかける。 しかしオルドが一瞬のうちに二本の刀で、襲い来る全てのデーモンを切り捨てた。「雑魚は任せておけ」「すごいけど、本命をやっつけてくださいよオルドさん」 カイが頼み込む。 上空から巨大な蝿の化け物が、親指大の白い卵を大量に産み落とす。ボトボトと粘液まみれの卵がセーラ達に降りかかる。「うおおおおぉ」「気をつけろ! 身体に入られると、寄生されて大量の子供を生み出すぞ」「むぐぐぐぐ!(気持ち悪い!)」 カイは粘液で身体に絡みつく卵を振り払う。鱗粉タトゥーが高熱ガスを吐き、卵を焼き払っていく。「人間めが」 そう呟くとベルフェゴールは、見ていてくださいと言わんばかりに上空と背後を気にかけながらセーラに飛びかかった。 ベルフェゴールの薙刀のような両剣と、粘液にまみれたセーラの鉞がかち合う。その間隙にカイの魔槍ロムルスがベルフェゴールの身体を貫いた、ように見えたが残像を残してベルフェゴールは空におり、カイに向かって両剣を振り下ろす。「くらえぇぇぃっ! 地球剣・愛国富士山落し!」「獲られる…!」カイが覚悟した瞬間、ジュリアンが敵を見ずに三又の鉾でベルフェゴールの土手っ腹を貫いた。今度は残像ではなく、ぐふっと口から血を吐くベルフェゴール。 その背後からタナトスが呪文の詠唱を終える。「まずい! 死の呪言だ」« 死霊叫喚 » セーラ達全員の精神にズシンと重く強烈凶悪な死のイメージが襲う。「耳を塞げ!」 オルドの声も虚しく、マリアとカイはあまりの精神的負荷に意識を失ってその場に倒れた。ジュリアンも予想外のプレッシャーに膝を着く。 呪言に耐えきったセーラがキッとタナトスを睨みつける。お付きのアグラトと目が合う。アグラトはタナトスの
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第四十二話 「生け捕り」

 決して消えることのない炎を纏った邪神サトゥルヌスことジュリアンを先頭にして、一行は群がる雑魚悪魔を先手必勝で蹴散らしながら、冥界の首都である万魔殿を目指した。 ジュリアンが選んだアバターは『黒き太陽』という常時スキルを持っており、敵が行動するまでの時間を30%遅らせる効果があった。 万魔殿まで歩くにはかなりの距離があったが、パトラが最短ルートを案内してくれたおかげでパーティーは体力の消耗を抑えられた。「マリア、大丈夫? 飛べばもっと早いんだけど」「うん、平気、ありがとうパトラちゃん」 マリアは少しずつ落ち着きを取り戻していた。 そして、ようやくセーラ達は万魔殿に到着する。 万魔殿は地下へと幾重にも階層深く続いていく場所だが、その入り口からもう禍々しさを醸し出していた。 地上に見えている外観は、くすんで黒ずんだ岩や金属で作られていたが、壁は生きているかのように蠢き、そのグロテスクさが絶望的な雰囲気を漂わせている。窓は殆どなく、冷たい風が吹きつける。 巨大な真鍮製の門を開けて入ると、中は一変して荘厳かつ壮麗、派手な広間になっていた。金や火で輝く装飾が施され、豪奢な華やかさがあった。天井には燃えさかるランプが吊り下げられ、内部を照らしている。外観とのギャップに圧倒されるパトラ以外の面々。 そこに眠りの神ヒュプノスが下の階段から登ってくる。頭と背に白き羽根、白いローブを着た優男であった。「ようこそ万魔殿へ。私はヒュプノスと申す者だ。ルシフェル様は派手好きでね、私も最初は驚いたよ」 そして邪神サトゥルヌスことジュリアンを見て意外そうな顔をした。「クロノス……フッ…なるほど…」 ヒュプノスはゆったりとした物腰のまま続ける。「汝らの目的がルシフェル様を滅ぼすことならば、ここ万魔殿にひしめく悪魔たちを倒して下層へと降り続けることだ。最下層にルシフェル様はいらっしゃる」 ヒュプノスは人差し指と中指の二本でセーラを指さした。その瞬間セーラは、かくんと脱力し眠りに落ちた。そしてふわっと上空に浮き、一気にヒュプノスのほうへ引き寄せられていく。「天使は貰っていくぞ」「セーラ!」 仲間の手も届かず、セーラは連れて行かれ、ヒュプノスと共に下層への階段に消えた。「くっそ、やられた!」 パーティーはそれを追って一層に降りる。すると、ま
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第四十三話 「決戦、万魔殿」

 眠りの神ヒュプノスに攫われたセーラの奪還を焦る一行は万魔殿の三層まで降りていた。 一、二層と変わらず暗闇が広がるフロア。「いったい何層まであるんだ…」 これまでは下級悪魔しかいなかったが、三層からは中位の悪魔も現れ、即殺、瞬殺が厳しくなり体力の消耗は避けられなかった。各層は迷路になっており、悪魔の中にはレアな武器防具や回復アイテムを持ったものもいたのが救いであった。 ジュリアンは『ポセイドンの三又鉾』をそのまま持ちつつ、クロノスが愛用していたレア武器、堅固無比な金属アダマンタイトでできた刃を持つ『アダマスの大鎌』を使って文字通り悪魔を狩り取っていった。(パッぱかぷぉ~っぷっぷくプー!) 突如トランペットのけたたましい高音が鳴り響き、闇の中から複数の悪魔が現れる。 フクロウの頭部に人型の胴体、鋭い長剣を持った悪魔と、猫の頭部に灰色の装束姿でトランペットを吹いている悪魔、そして尻尾が複数あるイタチのような下位悪魔を多数引き連れていた。 二刀流の武士オルドが、すかさずノートパソコンを開き、箱庭アプリで確認する。「データによると、ラッパを吹いてる猫はベレト、フクロウのほうはアンドラス、二匹ともソロモン王の72柱で中位以上の悪魔だ、特にフクロウのほうは凶暴で不和と殺戮を司る」 オルドのそんな情報は聞かずにジュリアンが炎を纏った『アダマスの大鎌』で猫悪魔ベレトに斬りかかった。「ニャッ」 猫悪魔は演奏を止め、トランペットで鎌を受けるが、楽器が砕けたため自らの両爪で受け止める。そのまま炎が全身に燃え移り暴れ回るベレト。「フギャァァ!」 そこにフクロウ悪魔アンドラスが長剣でジュリアンに攻撃を仕掛ける。防御するジュリアンこと邪神サトゥルヌスの左腕は鋼のように硬く、ガギィンと残響音だけが木霊する。憤慨し更に斬りつけようとするアンドラスだが、燃え盛る火炎に巻かれ、チイッと舌打ちをして剣で炎を払いながら後ろに飛び退いた。全身に火が回り暴れていたベレトはやがて消し炭となり動かなくなった。 オルドは流麗な動きで二本の刀を操り、イタチの下位悪魔を次々と斬り殺す。カイも氷柱のミサイルで援護する。「雑魚は任せろ!」「……」 一人残ったアンドラスは貯めていた力を解放しジュリアンに飛びつき渾身のパンチを繰り出す。ジュリアンは両腕で防御するも力を分
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第四十四話 「世界の核心」

 ───万魔殿(パンデモニウム) 最下層。 デスク上のLEDライトが強く光る暗室、悪魔に囚われたセーラは、全裸のまま両腕を鎖に繋がれた状態で吊るされていた。手枷は重く冷たい鉄製であったが、部屋は空調が効いていて裸でも寒くはなかった。 牢獄の中に在っても光り輝いているセーラの前に、恐る恐る眩しそうに顔を見せるハデス。「ルーテ、久しいな、我はお前と、戦いたくは、ない」「……わたし過去に貴方をぐちゃぐちゃにしたけど」「良いのだ、全て、許そう、お互い、様だ」「わたしをどうする気なの?」「冥界は、お前の、生まれ故郷だ、戻ってこい、ルーテよ…」「わたしには仲間がいる」「仲間とは開発者のことかな?」 ルシフェルが割って入る。セーラは答えない。 ルシフェルの目的は三つの人格が混在するセーラの中の、開発者ミシェルの記憶を引き出すことにあった。 開発者は箱庭内で自分を消去する方法を持つ。何故そんな致命的弱点とも言える穴を作ったか? 何らかの理由で箱庭から出られなくなった際に、永遠の輪廻から逃れるためと考えられる、開発者の一人はそれによって箱庭からだけでなく現世(リアル)でも存在が消去された、本人の意思によって……。 その方法や暗号(コード)をミシェルから聞き出すには、そもそも眠っているミシェルの人格を引っ張り出さなければならない。それにはハデスを生み出した開発者が直接語りかけるのが一番効果的だと思えるが、ライナスは神出鬼没で居場所が特定できない、ここに攻め込んでいるあと二人の開発者を捉えても、現段階では難なく現世に回避されてしまうだろう。 つまり今はこのセーラしか可能性がない。セーラの中に住むルーテやミシェルを起こす事は、自ら手をかけた天使ルーテとの邂逅という、ハデスの悲願でもあった。 主人格のセーラを深く眠らせれば、封じられている人格が現れると考えたが、話はそこまで単純ではないらしい。 ライナスにもっとも近いハデスと対話させる事で糸口を探っていくしかないが、彼女の精神がどこまで耐えられるか。「セーラ、お前を生み出した人間が誰だか分かるか」 セーラは目を閉じて首を振る。「お前は冥界の神ハデスと天使ルーテから分化、いやルーテの転生した存在そのもの、ルーテは意図を持って作り出された天使だ、ハデスを懐柔しようと考えた人物によって……」「あなたが何を言
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第四十五話 「六大悪魔」

 囚われのセーラを追う一行は、万魔殿の六層まで降りてきていた。箱庭アプリによると、ここからは上位の悪魔や魔神が出現するようであった。 悪魔どもの支配者たる三精霊、ルシフェル、ベルゼブブ、アスタロト、その直属の部下には六体の上位悪魔が存在する。ここまでは全て伝承の通りに(何者かによって)設定されていた。六大悪魔とは「上級精霊」および「魔神」と呼ばれている悪魔の中でも格上の六体である。 しかし、パーティーの体力は既に限界に近かった。「いったん引き上げて出直すか。だいぶ悪魔も掃除したし」 有名な侍に扮したオルドが床に両脚を投げ出して座る。「わたしまだ全然いけるけど」 平然とパトラが言う。「君の魔力は底なしか?」 ジュリアンが驚嘆しつつ続ける。「再びこの階層から行けるよう、跳空間転移(ディメンショナル・リープ)の座標印を刻んでおこう」「待って、セーラが」 マリアが口を挟む。「彼女はすぐに殺されはしないだろう。何らかの秘密を吐かせるまでは」「でも酷い目にあってるかも……!」 取り乱すマリアを見てオルドが割り込んだ。「セーラの身は心配だが、ここで上位悪魔が複数でも現れたら全滅しかねない、私たちはともかく、お前たちは…」 カイとマリア、そしてパトラを見るオルド。「私の回復魔法、治癒呪文(ヒーリング)はあと数回は使えるわ」「オ、オレだってバグればまだ戦える!」「アプリのマップでは九層が最下層、あと三つだがこのまま進むのはリスクが高い。できてあと一戦……」 オルドはバグについて以前の惨状を悔いており、その話を拒んでいるようであった。 パーティーがあれこれ相談してる間に、暗闇の向こうから三体の悪魔がぼうっと浮き上がる。すかさずオルドがアプリでチェックを行う。 褐色肌のインテリ系、できる風な眼鏡女魔フルーレティは凍結術を使う、山羊の頭に人間の女の体、額に五芒星、背に大きな翼を持つ悪魔はサタナキア、バフォメットとも呼ばれる、そして地面に届くほど長いピンク色の髪に、羊の角と黒き翼を四枚持った女魔がサルガタナス……。「三体とも上位悪魔だ!」 オルドはそう叫ぶと二刀を構えた。 サルガタナスはふふっと微笑すると他の二体を透明にし見えなくした。 見えない全方位から、フルーレティの雹の弾幕、サタナキアの|溶解液《S o l v
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第四十六話 「封印」

 パトラは永い召喚魔術(サモニング)の詠唱を終えようとしていた。 魔道開門(モーターヘード)、混沌の門が開き、瘴気が流れ込んでくる。(バー・ラモン・ステア・ルー)(混沌の門より 来たれ 闇の皇龍)「まさか…こんな巨大な龍は見たことがない…、制御できるのか!?」 門より出現した闇の龍の圧倒的なスケールにジュリアンが恐れ戦く。(我に暗き炎 四頭皇龍の力 与え給え…!)«皇龍咆哮(ダイ・フォー・マイ・シンズ)»「ギャアアあぁァ…ァ…ぁァ……ァ…」 超巨大な高次存在の闇の龍王である皇龍が召喚され、その四つ首から放たれる吐息(ブレス)によって、魔神三体は大轟音と共に塵も残さず消滅した。ブレスはそのまま部屋の壁を貫通し、遥か彼方へ飛び去った……。「ふぅ……さすがにちょっと疲れた」 パトラはそう言いながら床に座り込んだ。 しかしこれでパトラが六大悪魔よりも実力は遥かに上、ルシフェルやハデス並の力を持つことがハッキリした。ジュリアンは眉間に皺を寄せ、やはり危険な力だな…と呟いた。「まだもう三体の気配を感じる」 パトラが言うと、出番待ちしていた魔神三体はオロオロ、お前が先に行けいやお主が、などと擦り付け合い出す。パトラの召喚魔法に臆したか、戦闘向きでないのか、気配は一向にこちらに向かってこなかった。 サトゥルヌスことジュリアンが気配のする暗闇にむけて、ポセイドンの威光を放つと慌てて逃げる影が三つ見えた。 ジュリアンたちはこれからの上位悪魔との熾烈極まるであろう闘いに向けて、体力や魔力を癒す為にひとまず地上へ戻ることにした。 一方セーラが囚われている最下層。 手枷は繋がれたままだったが、吊るされた状態から後ろ手に変わり、足元には二人掛け黒革ソファが用意され、座ると腰や背中そして吊るされていた腕が大分楽になった。 また、ヒュプノスによって更に深い眠りに誘導してもらい、セーラは幸せな夢を見ていた。嬉しそうな笑顔に、何事か聞き取れない寝言。横向きで眠っているため口の端からは涎が垂れている。 しばらくすると、セーラは熟睡したまま仰向けに寝返り、別の天使の幽体がセーラの身体にぼんやり重なって見えた。 暗室の端の肘掛け椅子に座っていたルシフェルはそれを見逃さなかった。ガタッと音を立て椅子から立ち上がる。「まさか、いや…やはり、私には見える、あなたは箱庭
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第四十七話 「恋する女魔」

 ───万魔殿 第七層。 死の神タナトスは、頭に黒鷲の羽根が一対、背には床につくほど大きな翼が一対生えており、パッと見は堅物そうな青年の姿をとっていた。「もうすぐ我らが守護するこの層に敵がやって来るようだ」 タナトスは鷹揚に言った。「敵さんをお迎えするにはちょっと殺風景ですね、このフロア、タナトス様が好きにアレンジしていいのでしょ?」 アグラトが歌うように訊ねる。「まぁそうだが」「わたくし好みに家具とか配置してもいいですか」「これから戦闘が始まるのだぞ」 タナトスは以前見たアグラトの女の子部屋を想像した。(あのような部屋にするのか)「変な風にはしないでくれ、この階層は威厳に満ちていなければならん」「あはは、ガーリースタイルじゃなくて大人可愛いレイアウトにしますから」「いや、荘厳な感じに……」「ところでタナトス様」「なんだ」「逃げちゃいませんか」「この私が負けると申すか」「いえ、タナトス様は大丈夫でしょうけど、わたくしは死んじゃいそーじゃないですか」「単独でいなければ大丈夫だ、六大魔神の三体もいる」「死ぬのは怖くないんです、でもタナトス様とお別れするのが……」「死なせはせん、私は死を司る神ぞ、万物の生死は私が決める」「死ぬ時はどうかご一緒に」 アグラトはいつになく感傷的に言った。これから戦闘をするというよりもデートのようなお洒落をしていた。しなやかなセミロングの黒髪から伸びた二本の触角がチャームポイントで、柔らかな素材の黒のタイトワンピースがボディラインを魅せるメリハリのあるシルエットを作っている。前の出陣で買った服であった。 ◆ 休息を取ったオルドたち一行は、跳空間転移(ディメンショナル・リープ)で再び万魔殿六層に入った。 不自然なほど悪魔の姿は見えず、一行はそのまま七層への階段を降りた。 しばらく歩くと暗闇から二体の悪魔の影が現れた。その後方に死の神タナトスの姿が見え、彼の後ろの陰にも二体の悪魔が控えていた。 オルドが箱庭アプリでサーチ、上層にいた六大魔神の生き残り三体が一層下の守護者と合流したようであった。 先陣を切って現れた悪魔は、禿頭に捻れた三本角を持つ六大魔神筆頭のルキフゲ、もう一体は非常に小柄な少年のような魔神アガリアレプト、二体ともすぐに襲ってくる様子はない。 タナトスの
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intermission 「設定」

« 主要キャラ »・セーラ…18歳、智天使(ケルブ)、金髪ロングヘア、紅眼、やや天然な性格、混沌の魔導師(後述)が天使ルーテ(後述)をその身に取り込んで生み出した天魔のハイブリッド。ハデス打倒を成し遂げて戦死したが、唯一神の元で悪魔の要素を取り除き肉体を再生してもらった。・カイ…18歳、魔術師、茶髪マッシュルームカット、黒眼、ヒョロガリ、氷系の中位魔法と一般魔法を使う、優しくてチキンだが承認欲求が強い性格。マリアに片想いしている。・マリア…18歳、僧侶、ヒーラー、明るい茶髪のくせっ毛セミロング、茶眼カラコン、ダイナマイトバディ、細かいことは気にしない性格、性欲強し。・アレフ…19歳、戦士、黒髪短髪、黒眼、お目付け役としてパーティーをまとめていた。黄金の騎士によって斬り殺される。・混沌の魔導師… 年齢不詳、正体は冥界を治める神ハデス、黒装束のヨボヨボ老人。人類誕生前から生きており、箱庭システムのリセットを何度も経験している。・天使ルーテ…セーラに酷似した容姿。箱庭アプリ開発者の一人ミシェルが、ハデスを懐柔するために作成し転移して近づいたが逆に取り込まれてしまう。・オルド(ソロ)… 27歳、箱庭アプリ開発者の一人、黒髪ツーブロック、茶眼、事勿れ主義、箱庭世界の中心にある空高い塔に住まい、地上に降りている天使を束ねる天使長。・ジュリアン…27歳、箱庭アプリ開発者の一人、銀色長髪、黒眼、生真面目で直情的な性格。システムバグが起きるまで、ただ一人で箱庭の管理運営を行っていた。・パトラ…14歳、肩までの青い巻き髪、濃い青色の瞳、爆炎の魔導師、娼婦→ヘドロスライム→と転生した。ハデス部隊の元幹部。・スルト…18歳、ツンツン短髪、金眼、黄金の騎士から転生、細マッチョな剣士、輝剣ジョワユーズを持ち、八本足の軍馬スレイプニルを駆る、ハデス部隊の元幹部。・レオ…5歳、黒髪黒眼の子供、獅子の魔物から転生、虎に転生した元部下バルガを飼う、ハデス部隊の元幹部。・ダニー…39歳、黒髪短髪、音楽教師、箱庭アプリ開発者の一人。繰り返される箱庭の惨状を憂い自死した。・ミシェル…25歳、金髪ショートヘア、黒眼、箱庭アプリ開発者の一人。混沌の魔導師を懐柔しようと箱庭内に転移し、彼との交流の中で心を閉ざしルーテの中に自身の人格を封印した。・ライナス…容姿年齢不詳(ジュリアンの親
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