……『冒険』って、何だっけ? そんな事を考える日が来るとは数十分前までは全然思ってもいなかった。未婚のまま五人の子持ちになった頃よりも深く考えてしまうのは、全て目の前の光景のせいだ。 ——四人で未踏破ダンジョンの攻略に挑もうと、『深淵の森』にある古代遺跡の入り口から揃って潜った。 一、二階層目はもう聖獣達と攻略済みだった為敵が少なく、出ても何処にでもいる様なクマネズミくらいなものだったおかげで比較的安全に通過する事が出来た。 完全なる未踏破エリアである三階層目まで潜ったと同時にアイシャが私と手を繋ぎ、周囲にドーム型の結界を展開したのを合図にして、カラミタとリトスの二人が先陣を切って走り始めた。行動開始と同時に彼らがおこなった行為はもう一方的な殺戮としか言えず、敵が襲い掛かってくる隙も無い。無慈悲に、一方的に、先んじて。こちらの存在に気が付く隙すら与えずに次々と敵が撃破されていく。前衛を担っているカラミタが鉤爪の如く鋭い爪で敵を切り裂き、闘舞の様な動きの蹴り技で頭部を破壊し、竜を連想させる尻尾の長さを自在に変化させて心臓を突き刺して息の根を止めて複数体を同時に仕留める。後衛であるリトスは風属性や雷属性の魔法を中心に使いこなし、天井や壁に一切傷を残さず、最適かつ最低限の火力で遠方の敵を撃破していく。きちんとカラミタの分も残るように計算しつつ倒している辺りに弟への気遣いが見て取れた。 オーク、オーガどころかハイエナにも似たノールまでもがバッタバタと死んでいく。聖獣達との戦闘も凄いなと思って感心しながら見守っていたが、多少の手出しをする余地はあった。(今思うと、リトスみたいに残してくれていただけかも……) でも今は皆無だ。何もする事がない。遺跡が故に不安定なはずの足元はアイシャが修復魔法で綺麗に舗装してくれてまでいる。もう色々と意味不明だ。『子供達にとって“ダンジョン”という場所は安全か否かを知る為に、自分でも挑戦する』という当初の目的が完全に破綻している。『いいのか?これで』とは思うも……「ヒャッハー!」と面白い叫び声をあげながら敵を撃滅していくリアンや、演舞の様な動きで魔物を切り裂き続けるカラミタの姿を見ていると、『子供達が楽しければいいのかな?』と思えてくるんだから、親心とは不思議なものだ。(子供らだけじゃなく、血飛沫までもが空中に舞い踊る光景に対
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