その朝は、ウィンスロープ公爵邸の目覚めは静かで、とてもゆっくりだった。 使用人たちは部屋に近づかないように厳命されていたため、二人の寝室の傍は静まり返っていた。その静けさの中で、レティーシャは目覚めたものの、夢とうつつを行ったり来たりで、時間の流れをほとんど感じていなかった。(……朝?)カーテンのすき間、窓の外から淡い光が差し込んでいた。でも、それが夜明けの光なのか。それとも、昼前の柔らかな陽光なのか。レティーシャには判断がつかず、ぼんやりした頭は答えを出す気がなかった。(眠い……)寝台の天蓋越しに揺れる光。まるで夢の続きのように誘うようで、レティーシャはそれをぼんやりと眺めていた。ふと、レティーシャは重みに気づく。そして、隣の温もりに。隣を見ると、アレックスがいた。アレックスはレティーシャの肩を抱き寄せたまま眠っており、先ほど感じた重みはそれだった。その腕の重みが、レティーシャには心地よかった。 昨夜からずっと、アレックスの温もりは途切れることなく続いていた。レティーシャはそっと身じろぎした。 すると、アレックスの腕がわずかに強くなり、抱き寄せられ、ぴたりとくっついた肌越しに、レティーシャの体の中でアレックスの声が低く響いた。「……どこへ行くんだ、レティ?」「起こしてしまいましたか?」「離れようとすれば、すぐに分かるさ」アレックスの声音は、眠気を含んでいるのに甘く、レティーシャは胸の奥をくすぐられたようだった。レティーシャは頬を染め、そっと微笑む。「少し、窓の外を見ようと思っただけです」「それなら、俺も一緒にいこう」アレックスはゆっくりと体を起こし、レティーシャを抱き寄せた。その仕草は、まるでレティーシャを一瞬でも離したくないというようだった。「アレク様っ!」そのまま、レティーシャを抱き上げて寝台を降りようとするアレックスにレティーシャは慌てる。「自分で歩けます」「……昨夜は、痛がっていたじゃないか」「それは……それで……」アレックスはハハッと声を上げて笑うと、レティーシャを抱き上げたまま窓辺に向かう。窓から見えた外の景色は、薄い霧に包まれていた。 庭園の花々は露をまとい、風が吹くたびにきらりと光る。「……不思議な光景ですね」「神様も、俺たちを祝福しているのだろう」レティーシャが
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