「お待ちください、フレマン侯爵夫人」アレックスを押しのけて、オリヴィアがカテリーナに対峙する。「フレマン侯爵夫人、安心してくださいませ」オリヴィアは堂々とした佇まいだった。「オリヴィア嬢、“安心”とは何を担保に?」カテリーナの厳しい視線をものともせず、オリヴィアはパンッと胸を自信満々に叩いた。「お兄様はご自分が浮気したら去勢してもいいと仰っており、念書も書かせてあります」(去勢!?)思わず、レティーシャは隣のアレックスを見る。アレックスは項垂れていた。「オリー、ちょっと待て……」「止めないでくださいませ、お兄様。それとも、なんです……去勢宣言は嘘だったと」「いや、嘘ではないが……」「大丈夫ですわ、お兄様」(オリヴィア様は、アレックス様が浮気をなさるような方ではないと信じて……)「必要な道具もすでに準備してございます」(……信じて、いない)浮気するような人間なのかと、レティーシャは思わず責める目でアレックスを見てしまった。「それならいいわ。オリヴィア嬢、使い方を教えてくださいませ」夫人自ら去勢するのかとその場の全員が思っていると、アレックスが立ち上がって抗議した。「お待ちください。そもそも、なぜ浮気前提なのです」「お兄様、ご自分の胸に手をお当てになって」オリヴィアの容赦ない言葉にアレックスは態勢を崩しかけたが、アレックスも自分の胸を自信ありげにパンッと叩いてみせた。「私はレティーシャだけを愛しています。他の女性? はっ! 私はレティーシャしかいりません」(……アレックス様)「それですから、その器具はロドリゴ殿に使ってください」「おい!」アレックスにびしっと指さされたロドリゴが抗議する。「俺だってカリーナと関係を持ってからはカリーナだけだ」「関係を持ってから、でしょう? 俺はレティーシャと再会してから、レティーシャ一筋です! レティーシャだけです。レティーシャ以外はどうでもいい。例えば、あのラシャータならあの魔石で爆散しても一向に構わない!」「構えよ! ……って、あの魔石。でっかいだけじゃなくそんなに魔力が入っているのか?」「レティーシャの魔力がパンパンに入っていますからね。取り扱い要注意の超危険物です」「嘘だろ」「まさか、城内で保管しているのですか?」「ああ」「発動したら、この城くらい木っ端みじん
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