(兄貴?)扉の開く音にケヴィンは顔をそちらに向けたが、すぐに落胆した。「なんだ、ロイかよ」ロシェットに連行されて第三応接室に一人放り込まれたケヴィンは膨れていた。そして入ってきたのがロイだから、ケヴィンの機嫌はさらに悪くなる。「すみません、私で。相変わらずケヴィン様は主ラブですね」「気持ち悪い表現をやめろ、ロイ」ロイのこういうところがケヴィンは苦手だった。苦手だったが、現時点でこの部屋にはケヴィンの他にはロイしかいない。「どうしちゃったんだ、兄貴は」「どう、とは?」「兄貴の元気な姿は無事は国の安寧につながるから新聞が大々的に報じるのは分かる。でも、甘々デートってなんだよ?」「デートはデートですよ。かなり糖度高めでしたが、立派なデートでしたよ。あれ、ケヴィン様はデートをご存知ありませんか?」「知ってるわ!」ロイのこういうところが、ケヴィンは本当に苦手だった。「そうじゃなくて、いくらあの女に借りがあるからって何やってるんだよ」「え……ケヴィン様、ご存知ないんですか?」思ってもいないロイの反応。ケヴィンとしても『え?』である。「確かに俺も教えなかったけれど……え、誰も教えなかったのか? え……」「……なんだよ」「ケヴィン様、可哀そう」「よく分からないことを言って勝手に同情するのをやめろ! お前のこういうところ、本当にヤダッ!」(知らない? 何が? くそっ、ロイに聞くのは絶対に嫌だ).部屋に入ってきたアレックスは、威嚇する猫のようにフーッフーッ言っているケヴィンと、その傍で飄々としているロイの姿に状況を察した。「ロイ、ケヴィンを揶揄うのはやめろ」「申しわけありません。でも、これは私の趣味でして」「「違う趣味を見つけろ」」「仲良しっ!」兄弟に同時に突っ込まれたロイは笑い、「よかったですねー」とケヴィンを茶化した。これでまたケヴィンのボルテージが上がるところだったが、アレックスについて応接室に入ってきたカシムの姿に気づいた。カシムが味覚障害で庭師になったことを思い出したからだ。怪訝な思いは、カシムに続いて入ってきた人物の姿に驚いて吹っ飛んだ。「トニア! お前なんて恰好してんだ!」「騎士をやめて侍女になったからです」心底不思議そうにトニアが首を傾げる。「何か問題がありますか?」トニアはケヴィン
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